130章 編成に思案す勇者
(クエスト達成おめでとうございます。
難度Aクエスト最良評価によりステータスアップが可能となりました。
現在のステータスを参考に、ステータスアップを行ってください。
また亜神<岐神>との友誼により神名<隔絶>を獲得しました。
神名獲得により消耗した神名を一つ回復できます。
現在消耗中の神名は<無限>の為、自動的にこれが選択されました。
その他今回のクエスト行為により
行動系<安定><潜伏><探索><登攀>
対人系<説得><信頼><信用><扇動><演説>
戦闘系<戦術><練気>
等を含むスキルを多数獲得しました。
必要ならば最適化できます。
最適化しますか?)
突如出現したウインドウにシステムメッセージが表示される。
消費した神名が回復したのは地味に嬉しいし、更にクエスト中に行った行為により勝手にスキルが習得されるらしい。
大いに驚く俺とミーヌ。
これは便利と言わざるを得ない。
スキルは本来ギルドなどで金を払った上に数日の訓練を経て身に刻むもの。
こんな簡単にしかも多数も自動的に習得できるのはまさに破格。
おまけに自分のステータスと合わせてスキル上昇も行えるとのこと。
だが見慣れない言葉に首を傾げる。
「なあミーヌ。最適化ってなんだ?」
「えっとね……今検索してみたけど、このカムナガラオンラインでは最適化を選ぶ事でスキルの統合と増強を行えるみたい」
「どういうことだ?」
「例えば効果が重複してるスキルを統一し、より高位のスキルに編成し直すとか」
「へ~便利だな、それ」
「うん。アルだと汎用型勇者セットがスキル欄にあるでしょう?
あれを増強できるみたいだけど」
「よし、じゃあ最適化をするか。
ミーヌは?」
「じゃあ私もするね」
「了解。それとステータスアップか……
特化型か汎用型か悩むな」
「アルは無茶をし過ぎるから汎用性より安全優先の特化型がいいと思う」
「うっ……そんなに無茶してるか、俺?」
「本気でそう思ってるなら怒るよ?
幾ら最善とはいえ巨人に一人で立ち向かう必要はなかったでしょ?」
「すみません……」
「大方私に負担を掛けたくないとか色々考えてくれたんだろうけど……
もっと信頼して?
アルの足手纏いにならないよう頑張るから」
「ああ、独断だったのは謝るよ」
「ん。でも……」
「?」
「私って我儘かな……」
「いや、好きな人の身を案じるのは自然な行為だろ?
俺もエゴを押し付けないよう配慮するから」
「うん!」
上機嫌で頷くミーヌの頭を撫でる。
そんな俺達を穏やかに見守る岐神。
意気揚々と歓談し、試行錯誤。
その結果俺達のステータスはこうなった。
ネーム:アルティア・ノルン
レベル:92
ランク:AA
クラス:ブレイブマスタリー(???)
称 号:光明 無限 隔絶 暁闇
身 長:182
体 重:68
ステ表:筋力A+ 体力A 魔力B
敏捷A+ 器用A 精神S+
装 備:聖剣シィルウィンゼア(亜神:ヴァリレウス)
概念武装アストラリエル
真魔銀の鎖帷子(軽量化・防護強化付与済み)
夜狩省霊装衣(全耐性付与済み)
抗魔のインバネス
スキル:ノルファリア練法(剣術:マスター)
洸魔術(前衛戦闘型:アデプト)
闘気術(前衛戦闘型:天仙)
気と魔力の収斂(増幅率:10倍まで)
救国型勇者セット(直感・鑑定・交渉・説得・信用・演説等々)
加 護:幻朧姫(旧神:咲夜)
光明神(旧神:アスラマズヴァー)
剣皇姫(亜神:ヴァリレウス)
遮礎神(亜神:岐神)
ランクアップ出来るステータスは散々悩んだ末、精神にした。
念法を使うたび死に掛けるのでは……この先の戦いについていけないと思ったからだ。
多分安全に使えるのはあと一回が限度。
それから先は自分の魂を削りながらの発動となる。
指一本分の化身であれほどの力をもった禍津神を顕現させた天邪鬼。
奴との衝突は避けられない。
更にこの世界を牛耳っている筈のヘルエヌの存在がある。
いつか必ずぶつかり合う時に向け、武器を磨かなくてはならない。
精神を上げる事により、上位チャクラの覚醒もしやすくなる筈だ。
……最適化し統合されたスキルセット名が若干気になるが(汗)
一方ミーヌといえば、
ネーム:ミーヌ・フォン・アインツベール
レベル:96
ランク:AAA
クラス:マジックマスタリー(???)
称 号:絶対 暗黒 隔絶
ステ表:魔力S+ 体力B 筋力B(?)
精神A+ 敏捷A 器用A
装 備:魔杖レヴァリア(亜神:ミィヌストゥール)
法術結界衣(軽量化・防護強化付与済み)
ヒヒイロカネのカチューシャ(全耐性付与済み)
抗魔・増魔の霊石
スキル:アイツンベール流魔導(魔術:マスター)
アイツンベール流闘技(格闘:マスター)
闇魔術(後衛戦闘型:グランドマスター)
零属促進回路形成(常在型)
賢者型術師セット(増幅・拡大・延長・守護・慰撫・推測等々)
加 護:幻朧姫(旧神:咲夜)
暗黒神(旧神:アーリマトゥール)
遮礎神(亜神:岐神)
やはり俺と同じ結論に至ったらしく、ただでさえ桁外れな魔力をランクアップしていた。
汎用性には欠けるが一点特化型の方が様々な事態を打破しやすい。
冗談まじりに筋力を上げたら? と助言してみたが、
「大丈夫。足りてるから。
試してみる?」
とにっこり微笑みながら言われた。
マジですみません……勘弁してください(涙)
その他スキル面では賢明で懸命な行動が評価されたのか、最適化後は賢者型術師セットに変化していた。
様々な術にプラス加算が入るのも嬉しいが、知識行動に絶対成功補整が入るのが大きい。
未知の事態の推測行動には必須で有用なセットだろう。
新しい力を得た俺達。
二人で手を握り意志を確認し合う。
「ミーヌ」
「アル」
多くの言葉はいらない。
瞳に宿す光を見れば十分。
打倒ヘルエヌとカムナガラの救済を改めて誓い合い、俺達は再度岐神に頭を下げるのだった。