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王宮魔術師は旅へ出る  作者: 逆姓 柳
序章
5/12

5話.魔術の無駄使い

改稿済み

 

 

 失敗条件は誰かに見つかることだから、俺がしないといけないことはここに人を寄せ付けないことだ

 

 だがしかしながらここは王の部屋の前だ、常なら一人か二人ぐらい兵士が詰めている、これまでの経験からいって今は交代の時間のはずだからこの場にいないがすぐにでも戻ってくるはずだ

 

 今また魔術『音鳴り』を発動させて周囲の状況を耳越しにだが確認しているが兵士が二人近づいてきているのが分かる、ここに来るまであと30秒ってとこだろう

 

 だがしかしここで早まっちゃいけない、迂闊に兵士相手に魔術なんて使おうものなら一発でばれる、なんだかんだと重要な場所を任されてる兵士だ、何気なくエリートの優秀な奴らを揃えているからな

 

 ならばどうするか、簡単なこと、直接狙わなければいい話、今回はどうしようか……………ああ丁度メイドが兵士の前を通り過ぎるから利用させてもらおう

 

 流石に見えないところでの魔術の行使は難しいから、飛行魔術の時にも使った杖を構える

 

「『風結び』」

 

 メイドが丁度兵士の前を過ぎたあたりで俺はメイドに向けて魔術『風結び』を発動させる

 

 この魔術は草結びを任意の空気を固めて再現する物だ、戦闘用の風系の魔術である『エアバインド』を改造、主に強度を弱めてサイズと精密性を高めるといった工夫がされているが、まあ悪戯に使う程度にしか使えんだろうな、開発by俺

 

 そろそろ『音鳴り』で状況を判断しきれないのでまた別の魔術『鏡空』を発動させる、すると片目だけに望んだ場所の光景が映る、だがこの魔術、実は開発者がノーヴェンのジジイだったりするので俺としてはあまり頼りたくない

 

 何が嫌かってあのジジイ覗きのためにこれを作ったことだ、今は落ち着いてるが若いころは結構な数の女性が被害にあったらしい、似た者同士なんて言ったらいけない、さらに言うなら仕組みが空気中の水分を通る光を屈折させて遠くの光景を目に届かせるという高度な術であることも腹立たしい

 

 まあ何はともあれメイドの左足首辺りに『風結び』が発動している光景が見えるようになって、哀れにも俺の生贄になったメイドは見事にこけることになる…………はずだったのだが

 

「ふんっ」

 

 名も知らないメイドが右足をスライドさせて体の重心を移動させて転倒を回避した

 

 えええぇぇ! すげーあのメイド、不意打ちからの『風結び』を回避した、この前に近衛騎士団のエースにかけた時は見事にこけたってのに、今度メイヴに紹介してもらおうそう決めた、だけど悪いが今回は目立ってもらわないと俺が投獄されかねんからな、追い打ちをかけさせてもらおう

 

 正直、魔術の四重発動クワトロは難しいんだが形振りもかまってられない

 

「『圧し風』」

 

 今度こそメイドはまたまた俺の開発した魔術『圧し風』を受けて前へと倒れていく

 

 ここでまた魔術の解説をすると、『圧し風』とはただ風の塊が押し出す魔術で、『風結び』と共にただの悪戯専用に創ったものだ、ベースの原理は一緒で既存の魔術の改造だからお手軽に創れた

 

 だがここでまた俺の予想を超えてメイドが倒れる体を利用して『風結び』から足を引き抜き、ハンドスプリングの要領で体を常態にした

 

 そこまで倒れるの嫌なのか!!

 

「どっ、どうした!?」

 

 ま、まあ倒れなくてもひとまず目的は達した、異常に気付いた兵士がメイドに駆け寄っていくのを見て『音鳴り』以外の魔術を解く、これで兵士は暫くこっちに来ないだろうし、これにてステルスミッション終了かな

 

 ∴

 

「あっぶねー、まさか第一研のガリウスと近衛騎士のリズの奴が来るとは思わなかったぜ、あいつら冗談が通じねえからばれるとシャレにならん」

 

 どうにかこうにか隠れきったがもう二度と相手にしたくねえな

 

「まあいいや、侵入にも成功したことだし、王様の何か恥ずかしいものでも探すか、無ければ秘蔵の酒でもかっぱらってくか」

 

 とりあえず目の前にというか部屋の中央奥に鎮座する執務机を漁るか

 

「まずは一番上の引き出しからいってみようか………?」

 

 後ろを振り向いて誰もいないかを確認する、今何か後ろでカサリって足音が聞こえた気がする、だが誰もいない

 

 それを確認してから引き出しに注意を戻した瞬間に俺は突然に側頭部を殴り飛ばされた

 

 


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