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王宮魔術師は旅へ出る  作者: 逆姓 柳
序章
1/12

1話.夢から始まる物語

作者名の漢字はサカバネ リュウとよびます

これはただの夢だ、それも走馬灯的に昔の自分を追体験するタイプの


「お母さーん、魔術師ってなーに?」


黒髪黒目のイケメンではないがブサイクでもないはずの5歳くらいの少年、つまり子どもの俺が今は亡きお袋に始めて知った魔術師という言葉の意味を聞いていた


「それはね不思議な力で火をつけたり怪我を治したりする人のことだよ」


昔から体の弱かったお袋は優しく俺に教えてくれたんだよな


「それなら僕もできるよ、ほら火打石も打てるし怪我だって薬草塗って治せるもん」


「すごいすごい、それじゃあアル君も魔術師さんだね〜」


無邪気に俺もお袋も笑っているな、ああなんて懐かしいんだろうか



これはお袋がまだ畑仕事が出来てるから7歳くらいの頃だろうか


「母さん母さん聞いて聞いて」


「ん〜どうしたの」


「裏山に住んでる占い師のおばあちゃんがね、魔術教えてくれるって〜」


お袋は元気にはしゃぎ回る俺を微笑みながら見てくれてる


「ま〜すごいわね〜」


「なんかおばあちゃんが言ってたけどね、僕の『まほうてきせい』が高いとか『ほゆうまりょく』がじゅうぶんとかいってたー」


そんなこと知らずに畑耕してろよ昔の俺



今度は12歳くらいだろうか、身の丈に合わない杖を振り回して裾の長すぎるローブなんて着て魔術師ごっこしてるガキにしか見えねえな


「母さん、俺師匠にもう教えることはないって言われたんだけどこれって免許皆伝ってことなのかな」


「けほっ、ま〜凄いわねぇ〜、なら今夜はお父さんとルーちゃんとお祝いね〜」


「やった〜、ならお母さんのハンバーグ食べたい」


「いいわよー、お祝いだものね〜」


このころが俺の一番楽しかった時期になるのかね



ああこれは13歳の頃か、確かこのころからお袋の体調が悪くなったんだ


「くそっ、師匠が診てもダメだなんて、俺にもっと治療の魔術の知識があれば」


「けほっけほっ、大丈夫よ、今お父さんがギルドでお金を稼いでお医者さん連れてきてくれるはずだからね」


「おかしゃんしにゃにゃいでー」


妹のルーが大泣きしてやがる、この時期のルーは毎日泣いてたな、にしても知識があれば、か、結局昔よりも遥かに知識のある今でも病名すら分からないってのにな



この場面ってことは14歳の頃か、遂に親父が報酬に眼が眩んで請けた依頼で死んじまって、俺が金を稼ぎに出ようとした時だな


「お袋、とうとう親父のほうが先に死んじまったがどうにかお袋の治療費は稼いでみせるよ」


俺はなんで寝たきりのお袋に親父と同じ道を行くって宣言しちまってるんだろうか、自殺宣言みたいでとんだ親不孝ものじゃねーか


「………行かないで………」


「――――――――くそっ」


俺はこの言葉を聞いてよく家を出れたな、お袋の手くらい握ってやればよかったのに



まあ1日以内には介護で帰っては来てたんだけど



これは俺がギルドに入って2ヵ月ってところか


「くそっ、俺がどれだけ頑張ったところで月収銀貨1枚に銅貨50枚にしかならねぇ、日に日にお袋の容態は悪化するってのにこれじゃあ治療費の金貨まで到底間に合わねえ」


それでもよくあのハードスケジュールで倒れなかったもんだ、お袋の介護と妹の世話をしながらだったから遠くや数日かかるようなクエストは出来ずに、銀貨1枚に銅貨50枚も稼いでいたなんて、この国での普通の農家の平均月収が銅貨30〜50枚程度、銅貨100枚で銀貨1枚なのだから3倍は稼いでいた計算になるのか


「なにかもっと給料のいい職に就かないと厳しいか」



「おめでとう、今日から君たちは王宮魔術師だ」


タイミングが良かったんだよな、定職を求めて足繁くギルドの求人職業ボードに通ってると、偶然それを見ていたギルドマスターと俺が魔術師だってことを知ってる受付の人(可愛い娘ではなく体格と顔の厳ついオッサン)が、職業ボードにはない求人の王宮魔術師の試験を推薦してくれたおかげで、銀貨50枚で金貨1枚のなか最低賃金が月収金貨1枚と銀貨20枚の王宮魔術師になれたんだから



「お袋? おふくろ おい母さん、目を覚ましてくれよっ!! やっと金の目処が立ったところなんだぞ! これから病気治してまた元気な....姿....見して...くれるんだろ、ま...だ...逝かないで.....くれ...よ」


ああここか、あまり思い出したくはないが王宮魔術師になって帰ってきた途端これだもんな、未だに容易に思い出せる、家の周囲まで帰ってみれば人だかりが出来てて掻きわけて家に入ってみれば師匠が残念そうな顔で立ってて、妹、ルーがワンワン泣いてるんだから


本当に神様って奴がいるのならなんて残酷なんだろうか、いや神なんているのだろうか、宗教何て柄じゃないから信じてないが



ああ久しぶりに辛くない記憶か、15歳で王宮魔術師になってお袋のことをふっきてからじゃないと辛くない記憶がないなんて俺の人生終わってるな、親父は自業自得だから知らん


それで次は知り合いの顔がグールグル回って登場か、全員王宮魔術師になってから知り合った奴らだ、ギルドの時に知り合ったはずの悪友は登場すらしなかったのになんでこいつら出てきてんだ? どっちにしろストーリーなしの出てきてるだけだから尺がやたらと短いな、ふむここから考察するに俺の中じゃあこいつらの重要度はさほど高くないと、うわっ、俺凄い自己中


全部仕事が悪いんだ



18歳の記憶かこれは、ああ書類増えてる、部屋の家具の上にだけ山のように積まれてたのに書類勢力が足元にまで



そしてこれは今の22歳の視界、書類が見える、声が聞こえてくる


「――――され、――て下され、起きて下され」


「くそじじい、何の用だ、俺は見ての通り寝るので忙しいんだ」


「なにを惚けたことを言ってるのですかな、仕事はまだ山のように残っていますぞ、アルマ=ベルフェール第三研究室室長殿」



改稿済み(?)また改稿するかもしれません

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