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5.鳥山修二

 香菜と陸はあの事件以来、一緒に帰るようになっていた。


 事の始まりは、一週間前。香菜がバイトを終えて店を出ると、陸が待っていたのだ。家まで送るという陸を何度も断ったが、結局送られてしまった。もちろん彼女は申し訳なさを感じたが、純粋に嬉しかった。

 二人で歩く夜道は、いつだって新鮮だった。彼との他愛のない話は、香菜を楽しくさせると同時にドキドキさせた。

 何度か彼に触れてみたいと思った。だが、出来なかった。乙女の苦悩だった。一種のジレンマだった。陸からすれば、自分など随分と年下の子供だ。恋愛対象にすら入れないのかもしれないと思うと、胸が苦しかった。

(今日こそは女として見てもらいたい!)

 更衣室で着替えながら決意をするのは、もはや彼女の日課となっていた。

(でも……どうやって?)

 こうして決意の後に悩むのも、彼女の日課となっていた。

 もう、そこでは陸が待っているだろう。遅いと申し訳ないと分かっていながらも、なかなか出ていけなかった。


 そんな彼女の気持ちなど気が付くはずもなく、陸は店の椅子に座って待っていた。

 仕事着を脱いだ彼は、料理人ではなく普通の男になっていた。朝は軽く立ててあった短髪が、今ではワックスが取れてくたびれている。仕事終わりの疲れた体で、何をするでもなく静止していた。

「お、陸!お前も今から帰るとこか?じゃあ一緒に帰ろうや」

 そこに、関西弁の男が話しかけた。彼は何か言おうとする陸にお構いなしで、ぐいぐいと腕を引っ張る。

「修二。悪いけど先に帰っててくれ」

「えー!何でー?」


 いちいちリアクションの大きい鳥山修二とりやましゅうじと陸は、知り合って五年になる。陸が先に働いていたらーめん鉄火山に、鳥山が後からやって来たのだ。鳥山は初めバイト生として軽い気持ちで働いていたが、すぐにこの店に魅了されてしまった。鉄の作るラーメンの美味しさと、この店独特の威厳に惹かれたのだ。そして、陸と同様に正式に働く道を選んだのだ。


「俺のこと嫌いなん?そうゆうことなん?」

「……何でそうなるんだよ」

 鳥山は軽い天然パーマの頭を、ひょろっとした手でわざとらしく押さえた。

「一緒に帰れへん理由って何?やましいことでもあるん?」

「ないよ、そんなの」

 陸が答えたのとほぼ同時で、更衣室の扉が開いた。そして、ぺたぺたと香菜が歩いて来た。

「ごめん、陸さん。待った?」

「ううん、大丈夫」

 立ち上がる陸のもとへ、香菜は犬のように付いた。彼に近づいた時に匂うラーメンの香りが、彼女を癒す。いい匂いだ、と思った。


「香菜ちゃんと陸、最近よう一緒に帰るなあ」

 鳥山は、まじまじと交互に二人を見つめた。長身の陸と女子高生の香菜の背の差は、大きかった。

「もしかして、付き合ってるとか?」

「え!ないない!ないよ!」

 真っ先に答えたのは、香菜だった。彼女は手と首をぶんぶんと激しく振った。何とも言えない恥ずかしさで、頬が赤くなる。

「あーあ、振られたな。陸」

「……うん、めちゃくちゃ否定された」

 がっくりと肩を落とした陸を見て、香菜は笑った。年上の彼のことを、かわいいと思った。

新キャラの登場です。自分史上初の、関西弁キャラです(笑)

天パで関西弁ってどうだろう?周りを盛り上げてくれるキャラとして、大切にしたいです(^^)

ちなみに私は関西人です。もちろん、関西弁。テレビで見る明石家さんまは、私にとって関西弁じゃありません!あれは純粋じゃない。やりすぎ!

でも、鳥山修二もちょっとやりすぎの関西弁かも、なんて思います(笑)純粋な関西弁を書くのって何だか難しい……。さんまさんもそういう事なのかな?いや、たぶん違いますね(笑)

以上、雑談でしたー♪

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