表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

職場の飲み会 ◆


女慣れしてそう。

モテそうだね。



よく言われる言葉。



女慣れしてるなら、今ごろ好きな女と付き合ってるし。

いくらモテそうだって、好きなコに伝わらなきゃ意味がない。



わかっているのに、素直じゃない俺。

素直になれない俺。



そんな俺が、よりによってあのコを好きになってしまったから、すごく困ってる。



この前の飲み会が良い例。



いつもさりげなく好きなコの近くに座る俺。

このときは向かいをゲット。


好きなコは隣の班の1コ上。

天然でホヤホヤしてて、年上には見えない。

そのクセ仕事になるとホンワカとした雰囲気はそのままなのに、まるで別人。

偉そうな医者達の前で堂々と行うプレゼンは見事。



もう入社後すぐのプレゼンの見学で、そのギャップにやられてほとんど一目ボレ。



でも彼女はいつも余裕で、俺のことなんて男だと思っていないだろう態度がくやしくて、

それにいちいちドキドキしてしまうのもくやしくて、つい意地悪してしまう。



小学生かっていうくらい幼稚なあれ。

好きな子ほどいじめちゃうってやつ。



俺、バカすぎ。



「えーすけ君、いつも近くで嬉しいね」



ほわん、とか、そんな効果音を出してそうな笑顔で彼女が言う。



わざと近くに座ってんのわかってるのかって発言だけど、これが天然発言だってよくわかってる。



だから、動揺とかしない。喜んだりもしない。



「ユイさん、俺が遠くの席だったら構ってくれる人いなくて寂しいでしょ」



そんな俺は、ユイさんに対して、いつもできるだけ軽く言うように心がける。



「うん、寂しい!構って構って」



…かわいい。



彼女は俺のことをネコみたいなんて言うけど、彼女はイヌだ。

耳とシッポつけたいとか、俺末期。



「じゃあこれあげる」



雑念をふりきるように、あえて淡々と、割り箸の入れ物をユイさんの手首に巻いた。



ちっちゃい手。



「や、これはいらないから!ゴミだから」



口を尖らせて、割り箸の入れ物を俺に向かって投げつけるユイさん。


怒るユイさんも可愛くて、思わず顔に笑みが浮かんだ。

慌ててひっこめたから、たぶんきっと変な顔なはず。



「構ってもらって嬉しいでしょ」



内心は押し隠して、どこまでも上から目線。

あの思わせ振りに負けないようにするにはこれしかない。



「うん、構ってくれるから好き」



ほんとうに嬉しそうに言うから、喜んでしまいそうになるけど、我慢。

俺のことが好きとかじゃなく、構ってくれる人が好きなんだ。

もしくは友達とか、ペットが好きと同じ好きだろうから。



「ほんとMですね」



「Mじゃないよわたし!」



「あ、間違えた。ドMだった」



「ええっ?そっち!?もっと違うから」



いじめると一生懸命対応してくるのがとても可愛い。

だからついついいじめてしまう。



二人で騒ぎすぎて、主任におこられた。

ああ、ほんとに小学生みたい。



「ユイさんのせいで怒られたし」



身を乗り出して、小さな声で言う。



「ご、ごめん」



ひそひそと謝る彼女。



俺のが悪いのにどーして謝ってるんだか。

そんなところも好きだけど。



「ははっ、謝ってるし」



しょんぼりしてるのが可愛くて、声をあげて笑ってしまった。



真面目に好き、なんていまさら言えない。

声と態度に出ればいいのにこの想い。













評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ