夕餉の後
沈黙が続いた下座に位置するテーブルの食事は終わり、ディアンの前の婦人が席を立ち年齢の順に次々に去って行き、末席に居たチャード姫が立ち去るとディアンはサスケを促してテーブルを離れた。
盛り花の向こうでは話は盛り上がり活気がある。
食堂の入口で待ち構えていた召使が先に立ち無事に二人は部屋に戻る事が出来た。
煌煌と灯っていた明かりの数を減らして二人は寝室に入った。
着替えを済ませたサスケは緊張のあまりベッド横の椅子に座りうなだれている。
「サスケ、そんなに心配する必要はありません。私の友人は友達を見殺しにすることはしないと思いますよ。考えてもごらんなさい。キリング国とこのブローレス国は経済力も繁栄度も格段の差があります。もちろん軍事力も。ブローレス国はキリング国の小さな領主ほどの力も持ってはいないのです。夕食の時も、この部屋に帰るときにだって襲うを思えば彼らに襲えない事はなかったはず。でもこうして私達は生きていて眠りに就こうとしています。だから大丈夫ですよ。あなたが調べた事は一般論です。半分は真実かもしれませんけれど半分は誇張されたものでしょう。なにしろ噂というものは大抵が根も葉もない話に尾ひれが付いたものが多いのです。さぁ目を閉じて。もう手帳を調べてはいけません。明日のためにおやすみ」
腕を取りベッドに横たえる。昼間と違ってサスケの脳の中の電気シグナルは動きが鈍い。
「はい……」
ディアンに言われるがままサスケは胸元の布団を首まで引き上げた。
天蓋付きのベッドは二つ並んだどちらにも薄いカーテンが支柱にとめてある。残った明りもディアンは消して支柱から薄布を外しサスケのベッドをすっぽりと覆った。
隣のベッドも薄布に覆われるのを薄目を開けて見ていたサスケは、寝返りを打ち膝を抱えしっかりと目を閉じた。
見えている世界が無くなると頭の中では、宇宙船を降り立った最初の一歩からの出来事が思い起こされている。
一人で動き回った自由時間、自信満々か弱い若い女性と二人の嫌味男の間に飛び込んだ出来事は鮮明に蘇って来てサスケを苦しめた。
絶対に正しい事をしたと心の中で言い訳しながらも、一番やってはいけない事をしたとの思いもある。どの地域にもその土地のルールがあるのだ。
サスケが昼間の疲れで眠りにつくとディアンは気配を消して隣の居間に移動した。
二人の居る部屋の周辺と回廊をつなぐ建物を一つ一つ人の電気シグナルを探し位置を確認する。
あと一人ザカリーがいればこんなところなどすぐに出ていけるのにとの考えがよぎったが、なぜそんなことを考えたのか不思議に感じ、その根拠となる元を探しすぐに突き止めた。
「そうか、サスケが原因か…」
サスケの不安な電気シグナルをディアンの身体に取り込んだ細胞が反応したのだ。
「面白くない」




