会合 3
ゆがんだ唇を舐め上げて飛んできた小石を口の中で噛み砕いて吐き捨てる。
「フム。それではウッドハの名前が出たところで。招待客千人の振り分けと行こうか。Aグループ、ニスカラ、セラ、サローニ、スヴィンダの情勢に変わった所は。Bグループ。ゲーグ、ウルスル、ロエボル、ホーバー、コロニャはどの国と手結ぼうとしている」
風向きが変わり噴煙が黒い帯になって降りてきていた。
「まず私からだな、スヴィンダの外交使節団がホーバーに立ち寄った。立ち寄り先は軍事施設が主だが重要な施設は全部はずしてある。しかし分からないのは部門ごとに分かれて何度も接待を受けていることだ。短い滞在期間でほぼ毎日、多い日は三度も四度も会合を持っているということは、手を結ぶ話し合いは終盤でウッドハの式典あたりで調印するのではないかと思っている」
「フム、ホーバーが主導権を握りそうだな。新しい首脳が側近を一掃させたのか。人員をここに裂く必要ありそうだが、チームで当たらねばならないだろう。ベルジュロかバッケロを送り込もう。ディアン交渉を頼む」
「わかった」
降り積もった灰をふるい落とし目を岩陰に移せば、サスケはすっかり灰に埋まり岩の一部と化している。
「セラとサローニは同盟を結んだが内情は違う。どちらもゲーグル、ウルスル、はてはホーバーとも同盟を結んでも構わないと思っている。どちらの国もメイヤとブルムが喉から手が出るほど欲しい」
「無い物ねだりだな。しかしとうとうそこまで来たか」
「そうだ、我々がザカリアートの変化に翻弄されている間、きゃつらは増え続けて今度は武器を持って大勢で星を出ようとしている。メイヤとブルムは小型機だがスアレム人の持っているトラビスキに匹敵する大型機に作り替える技術を産み出したらしい」
「技術力でセラとサローニ。物資確保にゲーグル、ウルスル、ホーバー。征服欲が膨らんでとうとうここまで来たか。何も好き好んで肌に合わぬ星に降り立たなくともよかろうに。あいつらの考えは全くわからぬな」
「俺もそう思った。いやそれはまずい。今は連邦軍と戦って遊んでいる場合ではないからな。ディアン、サスケとやらを星に連れて帰るのは先になるな。ぬしはユーザーから船を買え。ついでに言えばサルッツアまで私がサスケを運ぼう。あの様子ではもつまい」
若者は暴走する、その暴走もたまには役に立つ事もあるとディアンを睨みつける。
荒れ狂っていた大気はザカリアート人の冷え切った空気に勢いをなくしたのか湿気の多い灰を落とし始めた。
弱弱しい電気信号を送る岩陰の生き物をエフリーは憐れんだ。
「かなり痛手を被っているな。従えディアン。手柄は横どりなどせぬ。わしの船に乗れ」
このまま放っておけば若いディアンは肉の塊を持って回らなければならなくなる。
年長者の指示に怒った顔のままディアンは答える。エフリーはよほどの事が無いと仲間に注文は付けない。
「わかった、少々遊びすぎたようだ。エフリーの船にロケットを格納してくれ。俺はそれで我慢する」
スアレム人の招待に自前のロケットに乗って出向き楽しんだ事は仲間にはばれている。それよりもサスケを忘れて加速した事がちょっとした負い目になって後悔している。遅れたついでに時間をかけて航行すればサスケの身体に衝撃を与えずに済んだのである。
「ほう殊勝な事を言う。わしのラウンジに来たらどうだ。歓迎するぞ」
あくまでも気に入っているロケットから出る気のない若者に歯をむき出して威嚇して見せた。
一人のザカリーの得た知識は必ず全員に伝達される。そんなところはスアレム星人とよく似ているが、
スアレム人のように異星人の衰退や興亡、惑星間の問題にまで介入する気はザカリーには無い。
出来ればザカリアートの存在を
宇宙にいる全ての住人の頭の中から消してしまいたいが、
現実は時が経つにつれザカリーにとって良くない方向へ転がり始めている。




