車での帰り方
「おかえり。どうだったんじゃ?」
「ただいま。ちゃんと報告してきたけどさ、おはようが先じゃないのか?」
「人が気を利かせてやったのに、その言い方はないじゃろ」
「寝たふりかよ」
「まぁ寝たふりしてたんじゃんが、駐車場についたのは知らんかったわい」
「ただ寝てただけじゃん」
「それにわしが行っても変じゃろ。関係があるわけでもあるまいし」
「おじいちゃん、おはようございます」
「おはよー」
「よーし。帰るかー」
「今のは車とカーをかけたのか?」
「かけてねぇよ。ずっと寝てろ」
~旭川市内~
「なんかあった?」
「んー・・・動物園に連れていってくれるのかと思ってたの」
「あー・・・」
「わしもそう思ってたわい」
「でもレンタカーの時間もあるし、もう2時間ぐらいで閉園だろうし。今日は寄れないかな」
「そっかぁ・・・」
「ごめんね。動物園はまた今度来ようね」
「うんっ」
「もちろんじいちゃんは抜きでな」
~旭川・札幌間~
「瑠璃ちゃん寝ちゃったのぅ」
「色々連れ回しちゃったから疲れたんでしょ」
「あらかじめ言っておけば良かったものを・・・瑠璃ちゃんもよく付いてきてくれたわい」
「俺も思うわ。今回はほとんど俺のわがままなわけだし、ほんとに嫌がったら1人で行こうと思ってたんだ」
「瑠璃ちゃん様様じゃな」
「全くだよ」
「なんて報告したんじゃ?」
「たしか大切に育てます的なことを言ったかな」
「たしかって、覚えてないのか」
「なんか墓地の雰囲気って独特じゃん? そんでいざ墓前に立つと頭の中真っ白になっちゃってさ。何言ったかハッキリ覚えてないんだよね」
「ダメダメじゃないか」
「でも言いたいことは言えたし」
「まぁ正親が良いと思ったんなら良いんじゃろ。良いと思うことが大事じゃ」
「ふふ。今日は付いてきてくれてありがとな」
「礼はいらんよ。ばあさんの墓参りも行けたしのぅ。・・・よーし。ここから札幌ー。なんか地元に帰ってきた気がするわい」
「・・・子どもみたいなことしなくていいから」
~札幌市内~
「ん・・・」
「あっ。おはよー」
「んん・・・おはようございます。あれ? おじいちゃんは?」
「さっき送ってったところ」
「バイバイしてない・・・」
「今度言ったらいいよ。いつでも会えるし・・・って危ないって。そんなとこから前に来ないでよ」
「えへへ。私もじょしゅせきに座りたかったんだもん」
「まぁいいけどさ。それより今日は連れ回しちゃってごめんね」
「ううん。私もお父さんとお母さんにお別れできたからよかったと思うよ。それにまさちかさんは私のためにつれてってくれたんでしょ?」
「いやー、今回ばかりは俺のわがままみたいなもんなんだけどさ。いい機会だったから瑠璃ちゃんにもーって思っただけなんだ。だからごめんね」
「ふふふ」
「なんか変なこと言った?」
「まさちかさんもわがまま言うんだね」
「そりゃ人間ですから。わがままの1つや2つ言いますよ」
~レンタカー返却後~
「久しぶりに運転したら、やっぱり緊張するなー」
「そんなに運転してないの?」
「3年ぶりぐらいかな。右折が怖い怖い」
「車は買わないの?」
「買ってもいいんだけど、休みの日ぐらいしか乗らないし、もったいないかなぁって」
「ふーん」
「もったいないで思い出したんだけど、瑠璃ちゃんって自分の部屋欲しい?」
「ほしいっ!」
「やっぱり年頃の女の子だもんね。うちじゃ部屋どころじゃないもんね」
「もしかして引っ越すの?」
「考えてるだけだけどね。瑠璃ちゃんももう少しで中学生になるんだし、マンションとか買っちゃおうかなぁって思って」
「マンション買うの!?」
「ん? 一軒家だと冬は雪投げとか大変だし、そこまで部屋数多くなくても良いと思ってるんだけど」
「でもマンションのほうが部屋いっぱいあるよ?」
「・・・マンション買うっていうのは、マンションの一室を買うってことだよ? あのデカい建物全部をどーんと買うってことじゃないよ?」
「なーんだ。びっくりしたー」
「いくら宝くじ当たったからってそこまで使えないって。貯金はしてるけど、ほとんど瑠璃ちゃんのお金としてとっておいてるし」
「はぁ・・・まさちかさんってすごいんだね」
「何が?」
「ちょっと思っただけ。なんかいろいろ考えてて大人みたい」
「俺、大人だよ?」
~家の前~
「やっと帰ってきたー」
「おなかへったー。カレー食べたーい」
「またカレー?」
「カレー好きだもん。いつ食べてもおいしいよ?」
「いや、おいしいけどさ」
「まさちかさんはキライ?」
「ソンナコトナイヨ。瑠璃ちゃんの作るカレーはおいしいからねー」
「早くカギあけてー」
「落ち着きなさいって。ほら開いた」
「ただいまー」
「はい。おかえりなさい」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
感想とか書いていただけると嬉しいです。
最近ここに書く事がなさすぎて困りますw
次回もお楽しみに!




