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お返しの仕方

「これ、バレンタインデーのお返しです」

「ありがとうございます」


あまり気を持たせないように、去年と同じくデパ地下で買ってきたお菓子の詰め合わせみたいなものを高津先生にお返しとして渡した。

最初は物でもいいかと思っていたのだが、もしそれを使っているところを見てしまったら、なんか複雑なので、安定の食べ物にしたというわけだ。贈り物には食べ物が一番だ。すごい最悪だけど、嫌なら捨てることもできるし。

高津先生はそれを笑顔で受け取ると、ペコペコと頭を下げた。

見た目も良くて料理もできて性格も良い。

きっとじいちゃんなんかに紹介したら、俺のことを騙してでも結婚させられそうな感じだ。

こんな高津先生に言い寄られているのに、俺は何故か好きになれない。

嫌いってわけじゃなくて、ライクなのだ。ラブにはいきそうにない。友達としてなら友達以上までいってもよさそうなのだが、でも恋愛未満で止まってしまう自信がある。

どこが嫌いかというのもよくわからない。

秋山先生には悪いが、高津先生は恋愛対象外だ。というよりも今現在では、瑠璃ちゃんがもう少し大人になるまでは、恋人は作らないつもりだし、恋愛対象に入る人は現れないと思う。

俺って結婚できるんかなぁ? ハハハ。まぁいいや。

そんなこんなで高津先生にはお返しをした。

そして今日は割と早く帰ることができるので、バレンタインデーのお返しということで天野、中村と一緒に外食の予定だ。あの2人は俺が宝くじを当てたことを知っているので、言い方は変だが、気兼ねなくお金を使うことができる。もちろん瑠璃ちゃんも一緒だ。

2人の希望で、俺の家の近くの居酒屋で食べることになっている。

俺はさっさと仕事を片付け学校をあとにすると、少し急いで家に向かった。

7時半に居酒屋集合となっているため、ちょっと時間が危うい。

地下鉄に乗る前に瑠璃ちゃんにメールをして、地下鉄の出口まで来てもらうように伝えた。距離的には、俺の家と居酒屋の間に地下鉄の駅がある感じだ。

地下鉄の改札を抜けると、瑠璃ちゃんの姿を見つけた。


「ごめんね。おまたせ」

「おつかれさま」

「じゃあ行こっか」

「うん」


瑠璃ちゃんと並んで歩いて居酒屋へと向かう。

春が近づいているという噂もテレビでは言っていたが、そんなことは微塵も感じさせない寒さが北海道にはあった。さすが北海道。日本なのに違う国のような存在感がハンパない。

テクテクと歩いて居酒屋に到着。

もう2人は来ているというので、店員さんに案内してもらった。

チェーン店だが個室になっている座敷の一室に通されると、中には天野と中村が向かい合って座っていた。


「お待たせ」

「おつかれさまー」

「おつかれさん」

「って・・・すごい聞きたくないんだけど、何飲んでる?」


俺は靴を脱ぎながら2人のグラスを見て言った。


「カシスオレンジー」

「あたしピーチフィズ」

「お前らなぁ・・・」


完全に飲酒現場を見てしまった。

グラスがジュースのグラスじゃなかったし、お通しも置いてあったからまさかとは思っていたが、本当に飲んでいたとは。そういうのは家でやってくれよ。教師の前で飲むなよなー。

天野の隣に俺、中村の隣に瑠璃ちゃんがそれぞれ座った。最初から席は決まっていたみたいで、瑠璃ちゃんがスルスルと中村の隣に座っていったので、仕方なしに天野の隣に座ったと言うわけだ。

店員さんが注文を取りに来たので、とりあえずビールと瑠璃ちゃんのオレンジジュースを注文した。


「こう見えても教師なんだから飲酒事件とかやめろよな」

「大丈夫だって。次からはジュースにするからさ」

「私は武田がいればそれだけで幸せだよぉ~」

「え? 何? 天野さん、もう酔ってるんですか?」

「私は酔ってません」

「武田の隣に座れてテンション上がってるんだよ」


そう言って瑠璃ちゃんに気づかれないように、中村は『いつも瑠璃ちゃんが隣だから』と口パクで言った、と思う。

グラスを両手で持ちながら楽しそうに中身を飲む天野。


「お待たせしましたー。ビールとオレンジジュースですー」


店員さんがグラスとジョッキをテーブルに置いた。


「さっき言っておいたやつお願いします」

「あっ。かしこまりましたー」


そう言って店員さんが出ていく。


「なんか頼んでたのか?」

「先に食べ物頼んでたの」

「どうせ『好きなもの頼め』とか言われると思ったから、先にね」


俺の行動パターンが読まれてるのか。

まぁその通りだから否定はしないけどさ。

俺はジョッキを持ち上げて言った。


「とりあえず乾杯だな」

「何に乾杯にする?」

「そりゃあホワイトデーに乾杯だろ」

「とりあえず乾杯っていう大人はよくわかんないわ」

「酒飲む儀式みたいなもんだよ。ほれ、かんぱーい」

「「「カンパーイ」」」


俺たちはグラスをガチャガチャとぶつけあった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


かなりよっぺいさんが好きです。

あれほど元気になれる歌を歌う人はいないと思ってます。

僕もそのくらいの夢と希望と勇気とあんパンを与えられるような小説を書きたいと思ってます。


次回もお楽しみに!

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