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機嫌のとり方

「天野ー。いい加減に機嫌直せよー」

「ツーン」


家に帰ってきた俺を待っていたのは、瑠璃ちゃんと中村、そして超絶に不機嫌・・・というか拗ねている天野だった。

そんなに連絡先を教えてなかったのが嫌だったのかよ。

そんなわけで今ご機嫌とりをしていたのだ。

そして俺を見て、中村は瑠璃ちゃんと一緒にケラケラと笑っている。酒が入っている俺よりも酔ってそうだな。


「俺ともう話さないっていうのは無理だと思うんだけどな・・・」

「ツーン」


相槌代わりの『ツーン』が返ってくるだけだった。

そこまで意地張ってると、俺もイタズラしたくなっちゃうなー。

本気で天野に『ツーン』以外の言葉を言わせてやる。


「天野。俺と付き合うか」

「えっ!?」

「なんて嘘だよー!」

「・・・ぶっ殺す!!」


『ツーン』以外の言葉を言わせたのはいいけど、すごい穏やかじゃない言葉を言わせてしまった。

ちょっ悪ノリがすぎたか。

殺人予告と一緒にクッションを持って俺に殴りかかってくる天野。

殺意の波動に目覚めたかのようなオーラを感じる。なにかドス黒いものが見える気がした。

腕を振り上げてクッションを俺めがけて振り下ろしてきた。

俺は天野の手首を掴んだ。

ふん。所詮は天野だって女の子だ。俺に力で勝てるはずががががが・・・


「ってうおぉぉおおお!?」

「ふんずぶりゃぁぁああ!」

「掛け声怖っ!」


完全に鬼人と化した天野の力は俺が思っていた以上に強くて、油断していた俺はそのまま押し倒されてしまった。

女子高生に押し倒される教師。

これだけ見れば完全に性的な意味でアウトな雰囲気だが、違う意味でアウトになりそうだった。

この天野が持っていたのがクッションじゃなくて包丁とか六法全書とか広辞苑だったら、完全に殺人現場になっていた。クッションで良かった。


「殺す殺す殺す!」

「穏やかじゃないから! 落ち着いてくれ! 俺が悪かった!」


クッションで俺をボフボフと叩いてくる天野。

まるでデンプシーロールのように降り注いでくるクッションを両手ガードで防ぎ続けていると、だんだんと攻撃が収まってきて、クッションをボスンと小さく叩きつけた状態で、天野の攻撃は収まった。


「はぁ・・・」


小さなため息が聞こたので、恐る恐るガードの隙間から天野を見てみた。


「あ、天野さん?」

「武田はさ、私のことを女として見てないわけ?」

「それ以前に、教師と生徒だろ?」

「こんなに好きなのに、ここまで相手にされないとバカバカしくなってくるわ」

「バカバカしくって・・・」


適当にあしらってたのは事実だし、女として見てなかったのも事実だ。


「香恵には話してて私に話してないことあるでしょ」

「えっ!? な、なんでそれを?」

「ほらやっぱりね。最近香恵と仲良いっていうか距離が縮まった気がしてたもん」


女の勘ってすごいと思った瞬間だった。


「もしかして・・・香恵と付き合ってるなんてことはないよね?」

「「それはない」」


俺と中村が言ったのは、ほぼ同時だった。


「まぁいいんだけどさ。もし2人が付き合ってたとしても、私はそれを祝福するよ。でも隠し事されるのはちょっと嫌かな」

「恭子・・・」


中村が何か言いたそうにしている。

きっと隠している『瑠璃ちゃんのこと』を言いたいけど言えないから、悩んでいるのだろう。

でもこればかりはあまり言いふらさない方が良い。中村には悪いが、我慢して欲しい。

そう思っていた時だった。


「恭子ちゃん」


瑠璃ちゃんが口を開いた。

まっすぐな視線で天野を見た。

天野もそれに応えるかのように瑠璃ちゃんを見た。


「香恵ちゃんとまさちかさんは悪くない」

「今は瑠璃ちゃんは関係ないよ?」


優しく言っているが、天野の声音は威圧的だった。

それに対し、ちょっとムキになる瑠璃ちゃん。


「関係あるもん」

「ないって」

「香恵ちゃんが隠してるのは、私のことなの」

「えっ?」


やっぱり言っちゃった。

でも瑠璃ちゃんから言うのは別にいいと思う。瑠璃ちゃんだって人を見る目はあるし、本当に信頼してる人じゃないと言わないし。

そうして瑠璃ちゃんは自分のことを話し始めた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


前の回の感想欄が大変なことになってましたw

しばらくは正親に夜道を歩かせないようにします。


次回もお楽しみに!

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