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地下鉄への歩き方

秋山先生と伊藤先生と別の道を歩きだした、俺と高津先生。


「・・・・・・」

「・・・・・・」


無言である。

こうやって高津先生と並んで歩くのが初めてだから無言なのではない。気まずいわけでもないし、話すことがないわけでもない。むしろ聞かなければならないことがある。でもこれ聞いちゃうと先の展開がなんとなく読めるんだよなぁ・・・。

でも聞かないわけにはいかないもんな。


「あの」

「・・・はい」

「地下鉄でしたっけ?」

「・・・ですよねぇ。バレてました?」

「はい」

「・・・はぁ」


そう。前に住んでいるところの話をしたときに聞いたのをしっかり覚えてました。

高津先生はバスで通勤してるんだけど、この今いる場所からなら、全然バスの方が近いのだ。


「まぁ・・・理由はわからなくもないですよ。でもこれは言わないほうがいいかなと」

「いや、そう意識させることが重要なのであって!」

「・・・・・・」

「・・・ごめんなさい」


ちょっと俺が冷ややかな視線を向けると、高津先生は肩をすくめて小さくなってしまった。

もう俺の気持ちも知ってるだろうに、なんでこんなにあきらめが悪いかなぁ・・・


「私、やっぱりバスで帰ります。すみませんでした」


立ち止まってそう言う高津先生。


「じゃあまた明日。おつかれさまでした」


そして無理に作った笑顔でそう言うと、踵を返して歩いて行こうとした。

とはいえども、ここで高津先生を1人で帰して、秋山先生に何を言われるか分かったもんじゃない。

本当はそんな後付けな理由じゃないかもしれないが、考えるよりも勝手に動いて行動してしまったとでも言い訳しておく。


「高津先生」

「・・・はい」


俺の呼びかけに立ち止まる高津先生。


「一緒に帰りましょうか」

「い、いいんですか?」

「って言っても、高津先生をバスターミナルまで送ってくだけですからね」

「・・・ありがとうございます」


その言葉を聞いた高津先生は、ちょっと顔を緩ませながらお礼を言った。

逆方向にあるバスターミナルへ向かって、今来た道を少し戻った。

そして俺はハッキリキッパリキッチリカッチリ言うことにした。


「あー先に言っておきますけど、俺、高津先生は恋愛対象外ですからね」

「えっ! こ、こんな時に言わなくてもいいじゃないですか!」

「でもハッキリ言っておかないとダメかと思いまして。あんまり言う機会も無いし」

「そうですか・・・」


(´・ω・)(しょぼーん)としている高津先生。

学校だとこんなにハッキリ言う事出来ないし、外でこうやって会う機会とかはもうこの先無いかもしれない。言うならこのタイミングしかないと思った。


「もしかして好きな人、いるんですか?」

「いえ。いません。でも今は恋愛とかよりも瑠璃ちゃんを育てることを頑張りたいんですよ。だから恋愛は二の次かなと」

「ふふふ」

「・・・なんですか」

「まさか子育てで断られるなんて思いませんでした」

「まぁ俺もいい歳なんで、そろそろ結婚とか考えないといけないんでしょうけどね」

「そんなこと言ったら私はどうなるんですか。武田先生よりも3つも上なんですけど」

「良い人見つけてください」

「そんなこと言ってもダメですからね」

「はい?」

「子育てが原因なんかで振られてたまるもんですか。それにこうやって私のこと送ったりしてくれるし。そういうのがいけないんですよ。そういう優しいところに女性は惹かれちゃうんだから」

「そ、そうなんですか?」

「そうなんです。だからむやみやたらにこういうことしないほうがいいと思います」


マジカヨー。全然考えてもみなかったわ。

だって男が女を送っていくのって当たり前だと思ってたのに、それだけで恋愛フラグが立つってどうなの?


「でも私には全然してもらっていいですよ?」

「・・・今回限りにしようと思います」

「やっぱり真面目ですねー」


そんなに真面目か?


「でもそういうところが好きなんです。私諦めませんから。そこんとこよろしくお願いしますね」

「いや、ちょっ・・・」

「あっ、ここまででいいです。じゃあおつかれさまでしたー!」


そう言って笑顔で去っていった高津先生。

なんかとんでもないことになってしまった気がする。眠れる獅子を目覚めさせた的な。

・・・帰ろ。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

感想とかあれば書いちゃってください。


開き直って愛情全振りの高津先生回でした。

正親ってばモテモテですね。

自分で書いててちょっとイライラしてきました。

年上に年下に好かれて幼女と同棲中?

なんだこれw


次回もお楽しみに!

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