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相談と飲み会の行き方

7月も半ばにさしかかり、あと何日もすれば夏休みになろうかというテスト期間。

そんなテスト最終日に、天野と中村に声をかけていた。


「瑠璃ちゃんから伝言があるんだ」

「瑠璃ちゃんから?」

「なんだろ?」


天野と中村は、なんのことかわからずに顔を見合わせていた。


「今度お話したいことがあります、だってさ」

「なんだろ?」

「なんだろね?」

「俺も何も聞いてないぞ? とりあえず伝えたからな。いつなら大丈夫そうだ?」

「あたしはいつでもだいじょぶ」

「私も夏休みは特に予定ないし」


女子高生ってのは、もっと予定満載夢満載なのかと思ってたけど、案外そうでもないのが、この2人を見てるとよくわかる。いや、もしかしたらこの2人だけかもしれないな。


「ってゆーか、今日行ってもいいよ?」

「今日? でも俺、まだ仕事あるし、テストの採点やってから帰ろうかと・・・」

「大丈夫! 残念だけど、今日は武田に用はないから」

「まぁたしかにそうだけど、瑠璃ちゃんだってまだ帰ってこないぞ。多分1時ぐらいにならないと・・・」

「だーかーらー・・・鍵ちょうだい☆」


そう言ってニコニコ笑っている中村の横で両手を差し出す天野。

何これ。新手のカツアゲ?


「ダメだって。天野に鍵渡したら合鍵作られそうで怖いわ。もし先に行ってるなら、瑠璃ちゃんを待ってたらいいだろ」

「あっ! じゃあさ! 小学校まで迎えに行こうよ!」

「おー。そりゃいいねー。楽しそー」

「えっ、ちょ、そこまでするの? ってゆーか今日じゃなくてもいいんじゃないですかい?」

「そうと決まれば出発だー!」

「アハハハ」


そう言って、カバンを取りに自分の席へと向かう天野。

俺の話なんて聞いてなかった。

俺としては、瑠璃ちゃんの相談に立会いたいんだけど、この様子だと帰る頃には終わってそうな雰囲気だな。


「恭子も瑠璃ちゃんに頼られて嬉しいんだろうさ。あたしもちょっと嬉しいし」

「そーゆーもんなのか?」

「そーゆーもんなのよ。瑠璃ちゃんに頼られてる恭子ってあんまり見たことないし。それに子どもの世話とかするの好きだし」

「ふーん」


子ども好きでなんやかんやで世話好きで料理も出来て微妙に空気も読める。ちょっと天然すぎるけど。


「いい嫁さんになりそうだな」

「ムフフ」

「何気持ち悪い声出してるんだよ」

「やっと恭子の魅力に気づいた?」

「天野の良いところは前から気づいてるっての。普通に良い子じゃん」

「はぁ・・・そういう意味で言ってるんじゃないっての」

「は?」

「香恵ー! 早くしないと置いてくよー!」

「急がなくても大丈夫だって。んじゃあとでねー」

「武田ー! バイバーイ!」


手をブンブンと振って教室を出ていく天野と、そんな天野を楽しそうに追っていく中村。

まぁ心配することはないだろう。天野が暴走したとしても、中村が止めてくれるし。


「さてと。俺もさっさと終わらせて早く帰るかなー」



そして夕方になり、テストの採点も一段落し、やっとこさ家路につこうとした。


「武田先生」

「はい?」


帰ろうと荷物をまとめていたとき、秋山先生に呼び止められた。


「どうかしました?」

「今日はもう帰るんだろ? ちょっと飲んで行かないか?」

「あーでも今日は・・・」


帰って相談の内容を聞きたい。

でもこのテストが終わった直後の時期じゃないと飲みに行く機会もないかもしれない。

瑠璃ちゃんのほうは天野も中村もいるから連絡だけ入れておけば大丈夫か。

幸い、瑠璃ちゃんのことを知っている中村と連絡先は交換している。


「いや、大丈夫です。行きますか」

「おっ! やっと行く気になったか!」

「あんまり長居できないですよ? 瑠璃ちゃんだって待ってますし」

「だーいじょぶだって。そんなに引き止めたりしねぇから」


たしかに秋山先生は酒癖は悪くなく、酔ってくると笑い上戸になるぐらいだ。


「まぁたまには同僚と話したいって思うわけよ」

「アハハ。付き合いますよー」

「よし。んじゃ行くとするか」

「あ、あのっ!」


不意に後ろから聞こえた声に、びっくりしたのは言うまでもない。

振り返ると奴がいた、のごとく、振り返ると高津先生がいた。


「私もご一緒したいなー・・・なんて」


勇気を出して言ったのだろうが、語尾がドンドン小さくなっていっていた。


「どうするよ」

「僕は秋山先生がいいなら構いませんよ」

「武田先生らしいな。飲むにも華があったほうが酒が美味いしな」


なにその言い回し。かっこいいわ。


「い、いいんですか!?」

「もちろん。たまには先生たちで談笑でもするか。おっ! 伊藤先生も帰りか?」

「えっ? 帰りますけど、今日は帰って昨日のサッカーの試合を見ようかと」

「ちょっと飲んでいかない?」

「おー。いいですねぇ」


というわけで、秋山先生と2人で飲むはずが、高津先生と伊藤先生もパーティに加わり、4人で飲むことになった。






学校を出たところで中村にメールで連絡を入れた。


『ちょっと遅くなるかもしれないから、瑠璃ちゃんの面倒頼めるか?』


返信は早かった。


『任せとけ』


絵文字も顔文字もデコレーションもしてない文面だった。

そしてすぐにもう一通届いた。


『武田のバーカ!』


なんじゃこりゃ。

そしてさらにもう一通。


『今の恭子。連絡先教えてくれてないって怒ってる(笑)』


・・・帰ったら教えてやるか。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


次回は大人のメンツでお送りします。

瑠璃ちゃんの相談の内容は、正親も怜央くんもいないので、紹介できません。

いやー残念だなー。すごい残念だわー!

内容は無理ですが、結果は出てきますので、気長にお待ちください。


次回もお楽しみに!

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