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真実の知り方

なおも瑠璃ちゃんの話は続いた。


「これはしんせきのおじさんから聞いた話なんですが、お父さんはすごい借金があって、ほけんきんで借金を返そうとして、お母さんと私を殺して、自分も首をつったそうです。でも私だけしんでなくて、お父さんがしぬ前によんだらしいきゅうきゅう車に運ばれたそうです。それから私は、しんせきのおじさんのところでくらしはじめました」


ここで瑠璃ちゃんの表情が暗くなってきた。


「しんせきのおじさんはおばさんと2人でくらしてました。でもおじさんもおばさんも、ほとんど家にいなくて、私がずっといえでるすばんをしていました。たまにかえってきて、れいぞうこの中に食べ物を入れて、またどこかに行ってしまっていました。そんな生活が1年つづいたときでした。ある日、知らないおじさんがしんせきのおじさんとおばさんといっしょに来て、私は知らないおじさんにつれていかれました。そのときはどういうことかわからなかったんですが、つれていかれたところに、私と同じねんれいくらいの子や、私よりもねんれいが下の子たちが他にもいて、そこのいちばん年上の子が教えてくれました『お前は売られたんだよ。私たちはこれからだれかに買われるんだ』って。そして私はうそだと思っていたんですが、しばらくしてくると、だんだんとその言葉が本当だったことがわかってきました。いっしょにいた子がいなくなったり、ちがう子が入ってきたりしてました。年上の子もいなくなりました。そしてある日、私は知らないおじさんにつれていかれて、まさちかさんに出会いました」


瑠璃ちゃんは淡々と話し終えた。

俺もその話を黙って聞いていたせいで、口を開くことができなかった。

何を言えばいいのかわからなかった。

『大変だったね』?

『つらかったでしょ』?

『おつかれさま』?

思いつく言葉が全部違う気がした。それだけ言葉が思いつかなかった。


「私はそこにいたほかの子の名前も、先にいなくなった子たちがどうなったのかもしりません。でも私は今ここでこうやって、まさちかさんといっしょにくらしてる。それだけで幸せだと思うんです。こうやって思うことがいいことなのかわるいことなのかわからないけど、私は、まさちかさんに言われたとおりに、幸せに生きたいを思ってます」


もうよくわからなくなってきた。

瑠璃ちゃんの過去を知ってしまって、俺が『奴隷』としてではなく、『人』として『瑠璃ちゃんだけ』を買ったことが正解だったのかどうかわからなくなってきた。

人生に正解は無いって言うけど、俺が『瑠璃ちゃんだけ』を買ったのは正解だと思えない。きっと正解は『全員買う』になると思う。そうすれば他の子もみんな救える。しかしそんな金は無い。だから正解にはたどり着けない。もう1人買ったところで、同じだ。それに俺は瑠璃ちゃんを育てながらもう1人を育てるなんて器用なことはできない。

そういう意味でもよくわからなくなってきた。


「まさちかさん・・・」

「えっ? あれ? なんで俺・・・」


気がついたら俺は泣いていた。

なんで泣いていたのかはわからない。

自分の不甲斐なさに泣いているのか、それとも瑠璃ちゃんの話を聞いて泣いているのかわからなかった。

でも涙は止まらなかった。

きっと泣きたいのは瑠璃ちゃんの方なのに、俺が泣いてどうするんだ。

でもそう思えば思うほど、涙が出てきた。

するとふいに頭に何かか覆いかぶさった。

瑠璃ちゃんが俺の頭を抱きかかえたんだとわかった。


「気にしないでください。私は今幸せです。これからもまさちかさんとの約束どおりに幸せになります」


頭の上から聞こえる瑠璃ちゃんの声も泣いているように聞こえた。


「でも私はまさちかさんも幸せになってほしいです。私が幸せになってもまさちかさんが幸せじゃなかったら、私は幸せじゃないです」

「・・・ふふっ」

「・・・なんで笑うんですか」


俺は思わず泣きながら笑ってしまった。

瑠璃ちゃんのムッとした声が聞こえた。

俺が『瑠璃ちゃんを幸せにする』とか言っておいて、瑠璃ちゃんにおんなじようなことを言われて、笑ってしまったのだ。

俺は瑠璃ちゃんから離れて、瑠璃ちゃんの顔を見た。

2人して泣きまくりだったな。


「そうだよね。俺が幸せじゃないと瑠璃ちゃんも幸せになれないよね」

「そうですっ」

「でも今の俺の幸せは、瑠璃ちゃんが幸せになることだから、まずは瑠璃ちゃんが幸せになってよ」


そうだ。

俺は瑠璃ちゃんを幸せにするって決めたんだ。今はそのことだけを考えて、他の子のことは考えないようにしよう。

そんなに器用に考えられるほど、俺は器用じゃない。

だから目の前のことを考えよう。

俺の言葉に、瑠璃ちゃんはちょっと不服そうであったが、俺が笑うと、ちょっと呆れたように瑠璃ちゃんも笑った。


「まさちかさんも幸せなってくれないと怒りますよ」

「その時はその時だよ。まずは小さなことからコツコツと、って感じかな」


そして2人で涙目のまま笑いあった。

俺はこれからも瑠璃ちゃんを幸せにするために頑張ろうと心に決めた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


これで瑠璃ちゃんの経緯が分かったかと思います。

雰囲気が伝わればいいなーと書いてます。

よくわからない点はあると思いますが、仕方ないと思ってください。

だって『小学生』が話してるんですよ?

全部わからなくて当然ですよね?

そうですよね? みなさん?w


次回もお楽しみに!

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