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想像力の使い方

梅雨。それは梅雨前線とやらが日本列島を包み込み、雨がたくさん降る時期であり、嫌な人にとっては嫌な時期であり、結婚シーズンでもあった。しかし梅雨前線から完全にディスられた北海道は、そんなことは全く関係ないと言わんばかりに大がつくほどの晴天っぷりを発揮していた。四季がはっきりしている北海道で唯一と言っていい、季節感のない時期がこの時期だった。

そんな暑くもなく寒くもなく季節感のない夕方の道を、俺は親友の宏太(こうた)と歩いていた。

今日はたまたま早く終わり、いつもよりも1時間ばかり早く帰れた。それでも時刻は午後6時。


「なぁどっか呑んでいこーやー」

「ダメだって言ってんじゃん。瑠璃ちゃんが待ってるんだから早く帰れる日は早く帰らないと」

「なんだよなー。昔はもっと付き合い良かったのにさー。つまらんわー」


口を尖らせてホントにつまらなそうに言う宏太。

まぁ俺もちょっと真面目すぎるかなとは思うんだけど、瑠璃ちゃんが心配でダメなんだよね。

でも宏太にもちょっと悪い気もしている。あと秋山先生とも全然呑みに行けてないから、そのへんもなんとかしたい。だからと言って瑠璃ちゃんをうんぬん。


「せやったらさ、自分の家で呑もうや。宅飲み宅飲み」

「俺んち?」

「せやったら大丈夫やろ? ほら想像してみ。ピザとかとってさ、それを口に入れながらビールで流し込むんや。・・・あかん。想像したらヨダレ出てきたわ」


ジュルジュルと音を立てながらつばを飲み込む宏太。

・・・俺も想像したらお腹減ってきたじゃん。


「なーなー。別にえーやろー。ちゃんと終電までには帰るからさー」

「わかった。行こう。俺んちで呑もう!」

「さすが正親さん! 世界一位! そのドヤ顔がたまらないねぇ!」

「ドヤッ」


というわけで我が家に到着。

家に帰る前に、近くのセイコーマートで6缶パックのビールを買い、瑠璃ちゃんのために100%のオレンジジュースも買った。


「ただいまー」

「おかえりなさい」

「お邪魔しますー」

「あっ・・・いらっしゃいませ」

「おー! 瑠璃ちゃんや! 久しぶりやなぁ! 元気にしてたか? 大きくなっちゃってー」

「久しぶりです」

「俺のこと覚えてる?」

「はい。宏太さんですよね」

「おぉー。さすが瑠璃ちゃんや。良く出来たお子さんで」

「それほどでもないですー」

「正親は褒めとらんわ」


ありがとうございましたー。なーんてな。

玄関で軽くコントをやり、家の中へ上がった。


「今日の夜ごはんはピザにするから」

「・・・やった」

「ん?」


今瑠璃ちゃんが小さく『やった』って言ったように聞こえた。

そんなにピザを食べたかったんだろうか?

あんまりピザ食べてないからわかんなかったからかな。


「瑠璃ちゃんってピザ好きだっけ?」

「今日学校でピザの話してたんです。だからピザ食べたいなって思ってました」

「おぉー」

「これは俺のおかげなんとちゃう?」


確蟹。

瑠璃ちゃんが食べたいものを食べさせてあげられるチャンスは滅多にない。

宏太サマサマだ。

その後電話でピザを注文し、届くまでに簡単なサラダを作った。


ピーンポーン。


「来たっ!」

「はいはい。ってなんでお前が取りに行くんだよ」


宏太はインターホンが鳴ったと同時に立ち上がって玄関へと向かった。

金も払わないし、自分の家でもないやつが勝手にインターホンに出るな。

まぁこのまま出ていかなければ、逆に宏太が払ってくれるかもしれないし、ちょっと様子を見ておこう。


「・・・アレ?」

「・・・誰や?」

「アレ? 家間違えた? ・・・いや、間違ってないよね」


ん? なんだ?

玄関でピザを受け取って俺に『金を払え』と言うだけの簡単なお仕事のはずなのに、なかなか宏太が戻ってこない。

俺は立ち上がって玄関へと向かった。


「あっ武田」

「天野? 何してんだ?」


インターホンを鳴らしたのは天野だった。

ってなんでこんな時間に。


「なにこの子。正親の知り合い?」

「知り合いっつーかうちの」

「女房です!」

「・・・クラスの生徒」

「なんやお前。瑠璃ちゃんだけじゃなくて、こんな可愛いJKまで育ててるんか? このロリコン風情がっ」

「なんの話だよ。天野は別に俺が育ててる訳じゃないっての」

「教育してるんやろ?」

「言い方に注意しような」


俺は家の中に宏太を押し込んで、天野に要件を聞いた。


「なした?」

「瑠璃ちゃんに会いたくなっちゃんたんだけど、さっきの人は誰?」

「なんだその理由。アレは俺の親友」

「ふーん。女子高生には癒しが必要なのー。ってことでお邪魔しまーす」

「こらっ!」


ズカズカと上がり込んでくる天野。

止めようとしたのだが、天野の背後でスタンバっていたピザの配達員と目が合ってしまい、そのスキに天野の侵入を許してしまった。

俺は小さくため息をついて、ピザを受け取った。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


今回の3つの出来事。

宏太の2回目の登場。

天野の凸。

ピザが食べたくなってきた。


次回もお楽しみに!

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