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はっきりした言い方

ぼくとヒロト、そして長谷川さんの3人は、朝のきょうしつにいつもより早く登校し、笹木さんが登校するのをまっていた。

ぼくとヒロトはいっしょにいるだけで、長谷川さんのおうえんみたいなものである。いつも口を出してしまうヒロトにもしっかりとしゃべらないように言っているので、今はうでをくんでどっしりと立っているだけだった。

そしてついにきょうしつの中に笹木さんが入ってきた。

長谷川さんはぼくとヒロトのかおを見て、ぼくらがうなずいたのをかくにんすると、笹木さんのもとへと歩いていった。


「笹木さん」

「あら長谷川さん。おはよう」

「おはようございます。ちょっとお話があるの」

「話?」

「はい。もう怜央くんとヒロトくんを無視するのはやめました」


長谷川さんのことばをきいた笹木さんは、くちびるをかみながらこちらを見た。

きっとぼくらがいろいろふきこんだと思っているのだろう。そのとおりなんだけどね。

きのう長谷川さんの家で、今日のことを話し合った。

話し合ったけっか、大事なことを3つだけ決めた。

いつもよりも早く登校すること。

登校してきた笹木さんときょうしつで話すこと。

自分の言いたいことをはっきり言うこと。

以上3つだ。

1つ目は、朝に話すことによって、今日一日のすごし方が変わってくるからなにごとも早いほうがいい、というヒロトのていあん。

2つ目は、きょうしつで話すことによって、周りのみんなに対してのいしひょうじができる、というぼくのていあん。

3つ目は、いつも言いたいことをはっきり言わないから、今回はがんばってほしい、というぼくとヒロトからのていあん。

長谷川さんはそれをしっかりきくと、キチンと実行することをぼくとヒロトと約束した。

そして今にいたる。

笹木さんは、長谷川さんにキッとしせんを戻した。


「いいの? 私と友だちになれないよ?」

「2人に言われたの。そんなことしなくても友だちはできるんだから、そんな無視とかしてまで友だち作るなら、違うやり方で友だちにはなったほうが私のためだって」

「ぐっ・・・」

「私、そんなこと言われたのはじめてでうれしかった。私がまちがったことをしてて、それを怒ってくれる友だちがいるっていうのは幸せなんだなって思ったの。それで私思ったんだけど、笹木さんのやり方はまちがってると思う」

「ま、まちがってるって何よ」

「だから私と友だちになってくれませんか?」

「「「・・・は?」」」


言われた笹木さんだけではなく、ぼくとヒロトも思わず声が出てしまった。

今、ぼくのききまちがいでなければ、長谷川さんは『無視をしろ』と遠回しにイジメともとれるようなことをしていた笹木さんに対して、『友だちになってください』って言ったようにきこえた。

でもこんなときに長谷川さんがじょうだんなんて言うはずもないし、まじめなかおはいつもどおりだ。ということは、今のはききまちがいではないということか。


「ダメ?」

「あ、あんた何言ってるの? なんでそこでそのことばが出てくるのよ。ここはいやがらせをしていた私のことをバカにするのが普通じゃないの?」


笹木さんもよくわからなくなっているのだろう。自分がいやがらせをしていたことを、自分で言ってしまっている。


「そうなの?」

「そうよ!」

「でも私友だちほしいし・・・」


わかった。長谷川さんはかんちがいしてるんだ。

ぼくとヒロトが『そんなやり方で友だちを作るなんておかしい』って言ったのは『イヤなことをしてくる相手とは友だちにならないほうがいい』っていうことだったんだけど、長谷川さんは『そんなやり方をされるぐらいなら、正々堂々言ったほうがいい』っていう風に考えたんだ。


「フフッ・・・」


ぼくは思わず笑ってしまった。

本当に長谷川さんは面白い。何を考えているのか全然わからないし、いつもよそうのななめ上ばかり行っている。友だちになれて本当に良かった。

ポカンとしていたヒロトがこちらを見た気がするけど、あまり気にせずにぼくは長谷川さんと笹木さんの行方を見た。


「どうして私と友だちになりたいって思えるのよ・・・」

「え?」

「だってそうでしょ? 私、あんたにひどいことしてたんだよ? なのに、なんで・・・」

「私、友だちになってくれるって言われてうれしかったから」

「うれしかった、の?」

「学校にかよいはじめて、いろんな人と知り合って、はじめて怜央くんとヒロトくんと友だちになって、毎日楽しいって思ってた。そして笹木さんが友だちになってくれるって言ってくれて、でもそのためには1しゅうかん無視しないとダメって言われて・・・私考えたけど、友だちほしかったから2人を無視しようって決めたの。でもけっきょく2人に怒られちゃったけど。それでも友だちになってくれるって言ってくれた笹木さんとは友だちになりたかったの。へん、かな?」


普通ならバカにされてるようにきこえなくもないけど、長谷川さんが言うとふしぎなせっとくりょくがあった。


「変よ。すごい変だよ・・・」

「ごめんなさい・・・」

「・・・でもうれしい、かな」

「じゃあ友だちになってくれる?」

「私の負け。友だちになるよ。でもこれだけは言わせてね。今回のことは私がわるかったわ。ごめんなさい」

「うん。ありがと」

「・・・あんた、怒ってないの?」

「友だちがまちがったことをしてたら、言ってあげるのは友だちのすることなんだ、っておしえてもらったから」


ぼくとヒロトを見る長谷川さん。


「はぁ・・・ホントお人よしだよね」

「おひとよし?」

「やさしすぎるってこと」

「そ、そうかな?」

「なんでてれるの。えっと・・・よろしくね」

「うん。こちらこそよろしくおねがいします」


ちょっとてれくさそうにあたまをポリポリとかく笹木さんと、ていねいにおじぎをする長谷川さん。

そしてそれを他のクラスメイトたちと同じように見ていたぼくとヒロトは、かおを見合わせてかたをすくめた。

きっとこの先もずっと長谷川さんにはかなわないと思った。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


いやーよかったよかった。

きれいにまとまってよかった。

でもいつもより長くなっちゃってごめんなさい。

書いてたら長くなっちゃうのは仕方ないですね。書きたいことが多すぎたんです。

でも書けないよりは100倍幸せなので、大目に見てくださいw


次回もお楽しみに!

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