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話の進め方

あのあと俺は、おっさんと俺が買った女の子のいろいろな手続きを済ませた。

曲がりなりにも同居という形になるので、それなりの手続きが必要となるのだ。そのほかにも色々とあったが、正直どれがどの契約書だったのかも覚えていないぐらいの書類にサインをした。控えはもらっているからまた帰ってからでも確認しよう。

そして俺とこれから住むことになるのは、9才の長谷川瑠璃(はせがわるり)ちゃんだった。

日本人形とまではいかないが、それなりに整った顔をしている黒髪の女の子だ。

しかし自分が奴隷だと分かっているからなのかもしれないが、一切しゃべろうともしないし、無表情を崩すこともなかった。

だがこうやって一緒に手をつないで歩いていると、なんだか犯罪者のような感じもした。警察に見つからなかったのは幸運だった。ってこういう考え方してる時点でアウトなのか?

これから一緒に住むのだから、コミュニケーションを図ろうとしていろいろ聞いたのだが、全部首を縦に振るか横に振るかで、会話らしい会話はなかった。

そして親交度も全然上がらぬまま、我が家に到着。

俺の家は1DKのマンションの一室だ。

さっそく部屋へ幼女を招き入れると・・・いやいや。女の子を招き入れると、いつ教育されたのかわからないが、自分が脱いだ靴をきちんと揃えてから中に入っていた。

育てるとか大袈裟なことを考えていたのだが、これだけ常識がある子なら結構楽そうだ。

俺は目の前にある小さな背中に向かっていった。


「ちょっと狭いけど、ここが今日から君の家だよ」

「・・・・・・」


あいかわらずの無言だった。

まぁ初日なんだし、いきなり仲良くなる必要はないよな。まだ焦るような時間じゃない。

とりあえず靴を脱いで上がった。

それなりに小奇麗な部屋だと自分では思っている。テレビに机があってその上にパソコン、ベッドに小さなテーブル、あとは冷蔵庫やレンジがキッチンに置いてあるぐらいだ。

シンプルイズベスト。それでもいいのだが、奥に積み上げてあるマンガや小説がそれをぶち壊している。そこまで多い量ではないのだが、本棚に入っていない本はなんか見栄えが悪い気がしていた。この際本棚は買おう。


「ん? どうした? そんなところに立ってないで、こっちにおいで?」


俺が座椅子に座ったとき、依然玄関で靴を脱いだまま立っている瑠璃ちゃんが見えたので、声をかけた。

瑠璃ちゃんは、俺の声にからだをビクッとさせると、トテトテと小走りで俺の方までやってきた。

そして今にも泣き出しそうな顔で俺の前に立った。そんなに俺が嫌なのかと思っていたら、急にあぐらをかいて座っていた俺の足の上に、背を向けてストンと座ってきた。

俺、瞬間的、動揺。

何が起こったのかと思いあたふたしていると、足の上にいる瑠璃ちゃんが小さく震えているのがわかった。

俺はやっとわかった。

この子は俺に奴隷として買われたんだ。だからこの先どうなろうとも覚悟はしていたのだろう。まだ幼いにしろ、それなりに知識は植え付けられていたんだろうし、俺もこのぐらいの歳の時に男女別々の授業を受けた記憶がある。

またはせっせと働かされることも考えられるが、そういう人間はこんな幼い女の子を買わないだろう。

俺に買われたということは、前者のようになることも前提で一緒についてきたのだろう。

全部俺の憶測でしかないが、間違いないと思う。

これがただトイレに行きたいのを我慢しているだけなら平和的でいいが、今はそんな状況ではないだろう。

主人の言うことは絶対。守らなければ罰。

そんな風に言われてきたのだろう。

なんてかわいそうなんだろう。

そう思うと、俺は無意識に瑠璃ちゃんを優しく抱きしめていた。

抱きしめたときに、瑠璃ちゃんがビクッとしたが、気にせずに抱きしめ続けた。


「もう大丈夫だから。俺は君にそんなことしないから。だから一生懸命生きて欲しい。楽しく生きて欲しい。それが俺が君を買った理由だ」


そう語りかけるように瑠璃ちゃんに言った。

今まで彼女は何人かいたわけだけど、その彼女たちにだってこんなこと言ったことがないのに、この子にはあっさりと言えた。言えた後だから思う。小っ恥ずかしい。

俺が顔を真っ赤にして余韻に浸っていると、瑠璃ちゃんから鼻をすするような音が聞こえてきた。


「ご、ごめんっ。痛かった? ってゆーかこんなおっさんにいきなり抱きしめられたらそりゃ泣くわな! ごめんごめん!」


自分でも何をしているのだろうと思い、慌てて両手を上げてレフリーに『何もしていません』とジェスチャーで伝える。しかしレフリーなんぞどこにもいない。当然だ。

すると瑠璃ちゃんがクルリと身を翻して(ひるがえして)、俺の胸に抱きついてきた。

そして俺の胸の中で泣いた。声を押し殺すようにして泣いた。

きっと声を上げてなくこと出来なかったのだろう。

そう考えると目の前で震えて泣いている小さな背中がとても愛おしく見えた。

俺は瑠璃ちゃんの頭を撫でながら、この子を幸せにしようと心に決めた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


ついに幼女登場です。

瑠璃ちゃんに萌えてください。

そしてやっぱり『ネタを挟まないと死んでしまう病』が再発してました。

完治したと思ったのですが全然でした。

ごめんなさい。


次回もお楽しみに!

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