手紙のもらい方
5年生になって3週間がたった。
ぼくはいつものようにじゅぎょうを聞いていた。
さいきんうしろから見てて気づいたんだけど、長谷川さんってじゅぎょう中も背中をピンとのばしているということに気づいた。しせいがきれいだなと思った。
そんなことを思っていたとき、長谷川さんのうしろにすわっている日野さんが、長谷川さんのかたをたたいてふり向かせると、何かをわたしているのが見えた。
なんだろう? このきょりだとぜんぜんわからない。
それをうけとった長谷川さんは、首をかしげながらつくえの中に入れてじゅぎょうをきくのに戻っていた。
「さっき何もらったの?」
じゅぎょうが終わると、ぼくは長谷川さんに聞いてみた。
「なんだ? なんかもらったのか?」
「えっと、手紙・・・かな?」
「手紙?」
「かえってから見てほしいって言われたからまだ見てない」
「なんだそれ。もう見ちゃおうぜ!」
「ダメだって。これは私がもらったんだから、ちゃんと家にかえってから読むの」
「なんだよケチくせぇな・・・」
「さすが長谷川さん」
そう言ってぼくら3人は笑った。
しかし次の日。
朝、いつものように教室に入って長谷川さんにあいさつをした。
「おはよー」
ぼくはいつものようにあいさつをしただけなのに、長谷川さんはあいさつをかえしてくれなかった。それどころか、つくえにつっぷしてしまった。
それはヒロトがあいさつをしたときも同じで、むしされたヒロトはちょっと怒っていたけど、ぼくが『なんかいやなことあったのかもしれないよ』となだめるとヒロトは落ち着いていた。
ヒロトにはそう言ったものの、いつもと様子がちがう長谷川さんのことは気になった。
けっきょく今日は会話らしい会話はせずに下校となってしまった。
「長谷川さんどうしたんだろ」
「ずっと無視だぜ? もうヒドイよな」
「無視? 給食の時も?」
「そうだよ。オレが何話しかけても答えねぇの。さすがにイラッとしたぜ」
「でも長谷川さんが無視っておかしくない?」
「そうか? 前もあんなんだったろ」
たしかに最初のころはそうだったかもしれない。
「でもあのときはきんちょうしてて話しにくかったからだって言ってたじゃん」
「まぁそんなことも言ってたな」
「だから今日の長谷川さんはちょっと変だと思う」
「んー・・・」
ぼくがそう言うと、ヒロトはうでを組んで考え始めた。
こうなったヒロトはまじめモードだ。いつものおちゃらけた感じなんて全く感じさせないぐらいまじめだ。
「わかんね。もしかしたら今日だけかもしんねぇから、明日かんがえるか」
あれ? まじめモードかと思ったらそんなことなかった。
「今何かんがえてたのさ」
「かんがえたんだけど、たまたま今日の長谷川がちょうしわるかっただけってこともあるよなって思ってさ」
「たしかに。ちょうしわるい長谷川さんって見たことないもんね」
「だろ? だからとりあえずは明日かんがえようぜ」
「そうだね」
「んじゃ。また明日なー」
「うん。じゃあねー」
分かれ道で、ぼくとヒロトは手をふって別れた。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
感想とか書いていただけると嬉しいです。
キリのいいところまで書いたら、すごい短かったです。
ごめんなさい。
ちょっと怜央くんのターンが増えますが、ご了承ください。
次回もお楽しみに!




