クリスマスパーティーの誘い方
遅れました!
「今度ウチでクリスマスパーティーやるんだけど、長谷川さんも来ない?」
「クリスマスパーティー?」
「怜央の家めちゃくちゃデカいんだぜ!」
ぼくとヒロトは、長谷川さんをクリスマスパーティーにさそっている。
「プレゼントこうかんもするんだよ」
「プレゼントこうかんって何?」
「プレゼントこうかんもしらないのかよ!」
「ご、ごめんなさい」
「プレゼントこうかんっていうのはね、みんなでプレゼントをもってきて、それをこうかんするんだ」
「でもいらないものもらったときがショックだけどな」
「だれがだれのをもらうのかわからないけどね」
ぼくとヒロトがそうせつめいすると、長谷川さんは少しかなしそうなかおをした。
「でも私、プレゼントなんでよういできないかもしれない・・・」
「むりによういしなくてもいいけど、いちおうお父さんにきいてみれば?」
「うーん・・・」
「こんなときにお金出してくれないなんてイヤなおやだなぁー」
そうヒロトが言ったときだった。
「まさちかさんはイヤなおやじゃないもんっ!」
長谷川さんがいきなり大きな声で言った。
長谷川さんがおこったのだ。
ぼくとヒロトがおどろいて目を丸くしていると、長谷川さんはハッとして、そのままろうかへと走っていってしまった。
「ビックリしたー。いきなり大きい声出すんだもんなー」
「今のはヒロトがわるいんだからね?」
「・・・わかってるよ」
「あとでちゃんと謝っておきなよ?」
「わかってるって!」
そう言っていたヒロトだったが、けっきょくあやまらずに学校は終わってしまい、長谷川さんもぼくらもかえってしまった。
ヒロトは、長谷川さんのところまで行こうとするんだけど、とちゅうでもどってきてあやまらないのくりかえしで、ダメダメだった。
「どうしてあやまらなかったのさ」
「しかたないだろ。チャンスがなかったんだよ」
あきらかにこまっているヒロト。
長谷川さんが来てから、ヒロトは今まで見せたことのないようなかおをするようになった気がする。
「フフッ」
「・・・なんでわらうんだよ」
「だってこんなにこまってるヒロトってめずらしいなーって思って」
「ひとごとだと思って・・・」
「だってひとごとだもん」
「・・・なんか話しかけにくいんだよ」
意外だった。
ヒロトが話しかけにくい人がいるなんてしらなかった。だって空気よまなくて明るいのがとりえなのがヒロトなのに。
「なんか長谷川はちょうしくるうんだよ。なんていうかはなしかけにくいっていうかなんていうか」
「でもあやまらなきゃダメじゃん」
「わかってるって。わかってるんだけどさ・・・」
ヒロトはあたまをボリボリとかいた。
「たのむ! 一生のおねがい! 怜央もいっしょにあやまってくれ!」
「何回目の一生のお願いさ」
ぼくがおぼえているだけでも5回はある。
「これがいちばんだいじな一生のおねがいだから! たのむ!」
「はぁ・・・しかたないなぁ。明日の朝にちゃんとあやまるからね?」
「さすが怜央! もつべきものはしんゆうだぜ!」
目の前で土下座されてことわれるような人はいないと思う。
そして次の日の朝。
「おはよう。長谷川さん」
「おはようございます」
「・・・よっ」
「・・・おはようございます」
なんでそんなにぶっきらぼうなのさ・・・
これからあやまるにんげんには見えないよ。
「ヒロト」
「わかってるって! きのうのはオレがわるかった! ごめんなさい!」
きゅうにあたまを下げたヒロトにおどろいているのか、長谷川さんは大きな目をさらに大きくひらいていた。
「わ、私のほうこそ大きい声だしてごめんなさい」
「ゆ、ゆるしてくれるのか?」
「はい」
「ホントに!?」
「私もきのうあやまろうと思ってたんだけど、なんて言えばいいのかわからなくて・・・」
「オレもきのうあやまろうと思ってたんだ!」
「よかったね。ヒロト」
「おう!」
「それとクリスマスパーティーなんだけど、私も行っていい?」
「マジで!?」
「だいじょうぶなの?」
「まさちかさんにきいたら、行っておいでって言われたからだいじょうぶ」
ぼくとヒロトはかおを見合わせた。
そのときのヒロトのかおはとてもうれしそうだった。今まで見たことがないぐらいのうれしそうなかおだった。
本当にヒロトはいろんなかおをするようになったと思う。
今までいじょうにうれしそうなかお。今までいじょうになやんでいるかお。今までいじょうにこまっているかお。
そんなヒロトを見いると、ぼくはへんなきもちになった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
感想とか書いていていただけると嬉しいです。
投稿が遅れてしまい申し訳ありません。
理由については活動報告を見ていただけると嬉しいです。
なにやら怜央くんの様子が・・・?
次回もお楽しみに!




