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面談の仕方

午後6時。

俺は瑠璃ちゃんが通う小学校に来ていた。

生徒相談室と書かれた教室に酒井先生と向かい合って座っている。俺の隣には瑠璃ちゃんが座っている。

ここ2週間は瑠璃ちゃんのクラスの面談が行われていたのだが、俺の都合によりこんな時間からの面談となってしまった。


「すみません。酒井先生」

「大丈夫ですよー。武田さんもお仕事がありますし。小学校と高校は違うかもしれませんが、同じ教師としてこのぐらいはなんでもないですよ」

「ありがとうございます」

「では時間もアレなんで面談始めましょうか」


早速面談が始まった。


「まずは瑠璃ちゃんの学校での様子をお伝えします。瑠璃ちゃんはお友達の玲央くんとヒロトくんと仲が良いみたいで、よく一緒にいるように見えます」

「その怜央くんとヒロトくんってどんな子なんですか?」

「2人とも良い子ですよ。怜央くんは他の子に比べて落ち着いててキチンと周りが見える子ですし、ヒロトくんはみんなの人気者で元気で明るい子ですよ」

「全然違うタイプの2人ですね」

「ふふふ」

「・・・何か?」

「いえいえ。すごい気になってるみたいですね。顔が怖いですよ」

「えっ」


そう笑って言われて気がついたのだが、自分の顔を気にして元に戻した。


「すっかり瑠璃ちゃんのお父さんですね」

「父親だなんて」


と、言ったところで、瑠璃ちゃんが俺の袖をキュッとつまんだ。

これは俺を父親だと思ってくれているって言うことなのか?

これは嬉しい。正直に嬉しい。


「でも2人のおかげかもしれませんが、瑠璃ちゃんも周りに溶け込み始めたみたいですし、得たものは大きいと思いますよー」

「でも僕はですね」

「私は思うんですよ。この時期の子どもっていうのは、人間関係を覚えていくっていうのが一番大事なんじゃないかって。まぁもちろん義務教育なので勉強もしないといけないですけどね。それでもいろんな子と付き合っていくのが大事だと私は思ってます。なので瑠璃ちゃんがいろんな子と関わっていくのを、大人は見守っていくのが大事だと思いますよ」

「・・・たしかにそうですね」


俺は酒井先生の言葉に、すごい納得した。

この歳の子が恋愛とかなんてあんまり考えないよな。

よく考えてみれば、その怜央くんやらヒロトくんやらだって、そんな不純な動機で瑠璃ちゃんと一緒にいるわけじゃないんだ。

自分の教え子たちが裏でものすごいことを考えながら人間関係を過ごしている人間が多いから、自分もちょっと暗い方に考えすぎていたのだと思う。


「れおくんとひろとくんはいいひとです」


俺の袖をクイクイと引っ張って、心配そうに見あげながら瑠璃ちゃんが言った。


「うん。ごめんね。俺が悪かったよ」

「これからもなかよくしていいですか?」


ちょ、そんな悲しそうな顔で見ないで、俺がなんかものすごい悪いことしてたみたいじゃん、瑠璃ちゃんは全然悪いことしてないってば、いや、ちょっ、見ないで!、なんか恥ずかしくなってきた!

とは思ったものの、決して顔には出さずに平然と答えた。


「もちろん!」


そして微笑む瑠璃ちゃん。

それを見て、酒井先生も微笑んだ。


「その様子を見ると、家庭環境は良好みたいですね」

「あ、はい」

「あんまり時間かけるのも申し訳ないので手短にいきますが、なにか困ってることとかありますか?」

「特にありません。って言ったら嘘になりますが、やっぱり僕の帰りが遅くなるときがあるので、そういう時はちょっと心配ですね。世の中物騒ですし」

「あーそうですよね。児童会館とかにはお預けになるとかは考えてないですか?」

「考えたんですけど、それもやっぱり時間制限あるじゃないですか。大体が6時までとかって。だから結局はその時間に帰れないんで、あんまり変わらないんですよね」

「急に遅くなるときとかはどうしてたんですか?」

「うちの生徒に面倒みててもらってました」

「生徒に・・・ですか?」


やべっ! ついうっかり言ってしまった!

もう天野と中村に頼みやすくなってるから、当たり前みたいになってた。

普通に考えて、生徒に頼むのはおかしいよな。


「いや、そのー・・・面倒みてくれるって言うので、つい甘えてました」

「生徒さんと仲良いんですねー」

「まぁ、そうですね」


あれ? そんなに深くつっこんでこなかった。

これは助かった。


「でも生徒さんに迷惑かけたらダメですよ?」

「それはもちろんです」

「むしろ私が瑠璃ちゃんのこと見たいんですけど、特定の生徒さんと仲良くしてしまうと、他の親御さんからも色々言われちゃいますから、あんまりできないんですよね」

「いえいえ。お気持ちだけで十分ですよ」

「そうですか。はい。家庭関係も良好。学校でも特に大きな問題は無し。ということで、簡単ですがこれで面談を終わりたいと思います。今日はお忙しい中、お時間を頂きありがとうございました」

「こちらこそこんな遅くまで残っていただいてありがとうございました」


3人でペコリと頭を下げて面談が終わった。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


昨日の更新が無かったことをお詫びします。

ごめんなさい。

言い訳は活動報告にてしております。

煮るなり焼くなり炙るなり嫐るなりしてバカにしてください(某殺人鬼的言い回しw)

これからもよろしくです。


次回もお楽しみにー!

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