モーニングルーティン
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朝起きて、テレビをつける。
この時間は星座占いがやっているから、自分の順位だけ見てすぐにテレビを消す。
「今日も昨日までと同じ一日を送るか、コインを投げて決めてみようか。
表ならいつもと同じ、裏なら新しい一日。」
近くにあった100円玉を指ではじく。
桜の面が上になった。
硬貨って、数字のほうじゃなくて絵柄のほうが表なんだってさ。
だから、今日もいつも通りの一日を送る。
―――私は、普通の会社員。ただ言われた通りにパソコンを叩いて、自分のやりたいことも別になんにもなくて、お金を稼いで生きているだけ。いつもと同じ日を過ごすだけで、なぜか今まで生きてしまった。
とりあえず、朝の支度。
仕事の準備をして、服を着替える。
家の扉を閉めて、鍵をかける。
階段を降り、道に出る。
近くのコンビニでコーヒーを頼む。
…………失敗した。
いつもLサイズで買うのに、Mサイズのボタンを押してしまった。
どうかしてるな……
中身の少ないコーヒーを片手に、駄菓子屋に入る。
小さいチョコレートをいくつか手に取り、お金を払う。
ここのチョコレートはおいしいからよく買うんだ。
品物を手に、電車に乗る。
いつも電車に乗るくらいのタイミングで仕事の電話がかかってくるのだけれど、今日はなかった。
まあ、また後でかかってくるのかな。
会社の最寄り駅で降り、仕事仲間に顔を出す。
さっき買ったチョコレートをいくつか差し入れする。
いつもよりかは少ないコーヒーを飲みながら、今日もまた仕事を始める。
● ● ●
朝起きて、テレビをつける。
この時間は天気予報がやっているから、今日の天気だけ見てすぐにテレビを消す。
「今日も昨日までと同じ一日を送るか、コインを投げて決めてみようか。
表ならいつもと同じ、裏なら新しい一日。」
近くにあった少し削った500ウォン硬貨を指ではじく。
鶴の面が上になった。
だから、今日もいつも通りの一日を送る。
―――俺は、ただの運び屋。ただ言われた通りに商品を運んで、詐欺で背負った自分の借金を返すために、お金を稼いで生きているだけ。いつもいろいろなことに怯えながら、今日も商品を運んでお金を受け取る。
とりあえず、朝の支度。
仕事の準備をして、普通の服に着替える。
家の扉を閉めて、鍵をかける。
周囲を見渡しつつ、階段を降り、道に出る。
コンビニの形の売店でコーヒーを頼む。
Lサイズのコーヒーカップを買って、Mサイズのボタンを押す。
すると、コーヒーではなく商品が出てくるので受け取る。
こんな普通のコンビニみたいなのに、どうかしてるな……
入手したコーヒーではない液体を片手に、駄菓子屋の形をした売店に入る。
小さいチョコをいくつか手に取り、お金を払う。
ここのチョコは利益がおいしいからよく買うんだ。
品物を手に、電車に乗る。
いつも電車に乗るくらいのタイミングで催促の電話がかかってくるのだけれど、今日はなかった。
まあ、また後でかかってくるのかな。
仕事場の最寄り駅で降り、仕事仲間に顔を出す。
さっき買ったチョコをいくつか渡す。
手元に残った少しのチョコを食べながら、今日もまた仕事を始める。
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朝起きて、パソコンをつける。
この時間の株価指数を更新して、推移だけ見てすぐにパソコンを消す。
「今日も昨日までと同じ一日を送るか、コインを投げて決めてみようか。
表ならいつもと同じ、裏なら新しい一日。」
近くにあった葉っぱ柄の金のコインを指ではじく。
人の面が上になった。
だから、今日もいつも通りの一日を送る。
―――私の家は、お金持ちだと思う。でも普段はただ言われた通りに挨拶して、食事をするだけ。自分のやりたいことは何もできなくて、お金を捨てて生きているだけ。ずっと同じ日しか過ごせないと思うと、いつも胸が痛くなる。
とりあえず、朝の支度。
準備は既に終わっているので、服を着替えるだけ。
部屋の扉を閉めて、鍵をかける。
階段を降り、広間に出る。
今日のドリンクはホットコーヒーを頼む。
…………失敗した。
いつもアイスで頼むのに、ホットにしたら思ったより熱くて火傷してしまった。
どうかしてるな……
中身の減ったコーヒーを置いたまま、差し入れのお菓子を選ぶ。
小さいチョコレートがいくつか入った箱を手に取る。
ここのチョコレートはおいしいからよく食べるんだ。
箱を手に、会話をする。
いつもは20分くらいのタイミングで電話がかかってくるのだけれど、今日はなかった。
まあ、今日は長くなるのかな。
頃合いになったら会話を降り、周りの人にも顔を出す。
さっきのチョコレートはこっそり持ってきて、いくつか懐に隠してしまった。
いつもよりかは飲めなかったコーヒーを置いたまま、今日もまた次の仕事を始める。
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朝起きて、拾った新聞を開く。
この新聞には漫画が載っているから、漫画だけ読んですぐに畳み、丁寧に保管する。
「今日も昨日までと同じ一日を送るか、コインを投げて決めてみようか。
表ならいつもと同じ、裏なら新しい一日。」
近くにあった10円玉を指ではじく。
建物の面が上になった。
だから、今日もいつも通りの一日を送る。
―――俺には、家がない。ただ言われた通りに仕事をすることも、自分のやりたいこともなんにもできなくて、お金を拾って生きているだけ。もう死んでいるような生活なのに、未だ終わらず続いている。
とりあえず、支度。
出かける準備をして、服を替える。
テントを畳んで、草むらに隠す。
土手を登り、道に出る。
近くのコンビニでコーヒーを頼む。
…………成功した。
Mサイズのカップを手に取り、そのままサーバーに向かいLサイズのボタンを押した。
カップギリギリまでコーヒーが入るようになっている。そのまま何事もなく、コンビニを後にできる。どうかしてるな……
中身の多いコーヒーを片手に、駄菓子屋に入る。
小さいチョコレートをいくつか手に取り、買うか悩む素振りをして、棚に戻す。その隙に数個をポケットに隠す。
ここの店は古いからよく来るんだ。
品物を手に、テントに戻る。
いつも夕方くらいのタイミングで電話がかかってくるのだけれど、今日はなかった。
まあ、また後でかかってくるのかな。
線路沿いの河川敷に降り、テントを立て直す。
さっき手に入れたチョコレートをいくつか食べる。
いつもは飲めない多めのコーヒーを飲みながら、今日もまた空を見上げる。
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もし、コインの裏が出ていたら、自分はどんな一日を送っていただろう。今の環境から逃げ出して、なにもかも捨てて諦める。
好きなことをやりたい放題やらかして、明日が見えなくなる。
でも、ありもしない未来を想像するだけで、そんなことはできない。
もし数字の面が出ていたら、そちら側を表ということにするだろうか。
裏が出たとしても、表になるまでコインをはじくだろうか。
延々に言い訳をして、今日も一日が始まる。
自分のコインは、はたしてどちらが表なのだろうね。
じゃあそれすらも、今からコインで決めようか。
表が出たらコインは運命を指し、裏が出たらコインは嘘。
気に入らなければ、自分の決めた面を表にしよう。
いろいろ忙しいので投稿はマイペースですが、
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