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雨の日の散歩話

作者: 宵崎まよい

雨が降る2月24日午後17時、紫傘をさして外を歩く。


別に理由や目的があるわけでもないが、ふと散歩をしたくなったのだ。この一週間毎日学年末テスト三昧だったのに、この開放感はなんだろう。テストがうまくいったわけでもないのに、なんとも言えないこの達成感を味わっていいのだろうかと思ってしまうほど胸が透き通っていた。


雨は依然ぱらぱらと降っている


歩いて数分ほどの公園に来てみた。この公園はなんというか、運動公園並みに広い。川は流れ、桜並木があり、サッカーができるほどの広場もある。私はベンチを求め、広場に向かうことにした。


向かう途中なつかしい遊具のとなりを通った。この遊具はとても大きく、二階部分があるほどだった。

小学生の頃、友達と遊具おにごっこをした記憶がふと甦った。しかし、今は誰も使っている様子がない。

小雨が降ってるからなのだろうか、小学生からしたら放課後の時間だというのに、がら空きだ。


そうこう思い出に浸りながら考えているうちに、広場についた。そこでは小学4年生くらいに見える少年たちがサッカーをしていた。

雨が降っているからか、真冬の寒さであるにもかかわらず、元気に半袖短パンで走り回っている。

私は屋根があるベンチに座り、テストが全て終わったこの開放感に浸りながら、何も考えずに肌寒い中サッカーを眺めていた。


辺りは暗くなり、気がついたら17時41分になっていた。少年たちは簡易的なサッカーゴールを片付け始め、着々と帰る準備をし始めているが、私はこの小説を書いている。


どこかで電車の走る音がし、少年たちは帰り始め、寒さも相まってか、私は取り残されたような孤独感を感じた。


私は立ち上がり 歩き出した。


帰りは川の上にかかっている橋を通って帰ることにした。橋の中ほどで立ち止まり、両耳から聞こえる川の音に耳をすました。なんだか心が落ち着きとても心地が良い。そして暗くなった空を見上げ深呼吸をした。

我が心ここにあらず。そんな言葉が今の自分にぴったりな気がした。


橋を渡り終え、土手を歩いているとちょうど18時になり、町民の歌が流れ始めた。いつも聞いている歌のはずなのに、今日は耳を澄まし歌詞を口ずさんでみた。


歌が終わる頃には車通りの多い大通りに出ていた。

一週間がんばったご褒美として私は通りにあるコンビニに寄り好物のプリンを買い、コートのポケットにしまいながら出てきた。


また傘をさし歩き始める。


家までそう遠くないため歩いているうちにすぐ着いた

私は玄関前に置いてある椅子に座り、足を伸ばし、背もたれによりかかった。


ポケットからプリンとプラスチックスプーンを取りだし、ふたを開けスプーンですくい口に運んだ。

一口食べるなり、プリンの美味さが体中に広がっていき、とてつもない幸福感に包まれた。


きっとテストが終わった開放感や、散歩の後ということが相まっているのだろう。

私の心は最高に"整っている"状態になった。


今日はまだ金曜日、明日から休日が始まるという喜びを感じながら散歩を終えるのであった。


雨は依然ぱらぱらと降っているが、こころなしかやや弱まった気がする。


そんな暮れ方のおはなし

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― 新着の感想 ―
[良い点] テストお疲れ様でした。 良い結果だと嬉しいですね。 ポケットからプリンが出たところ。 最高でした。
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