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第9章 呼びたい名前
それからいろいろあってホテルに少し長くお世話になった俺たちは、他の仲間や先生たちとともに観光を楽しんでいた。
「なんか大変だったんだってな。力になれなくてごめんな。」
「さすが一流。何か聞いても口割らなかったぜ。」
「まあ、今は邪魔者もいなくなったし思いっきり楽しもうじゃないか。」
「そうですのお。わしらも観光し足りなかったしの。」
「いやだから、なんで団体行動なんですか。」
「伊吹!早く来いよ!」
遠くから彼女に呼ばれる。湖を走る遊覧船に乗ろうということらしい。
「今行きますよ、時子さん。」
彼女のところへ走っていこうとして・・・横にいた4人が口を開けていることに気が付いた。
「今、名前呼んで・・・?」
「いったいいつの間に・・・?」
「関係性の進展・・・?」
「ラブの予感・・・?」
ははっ、と笑って俺は答えた。
「彼女は俺の宝物ですから!」