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闇と光の物語 ~神が人間を創造した理由~  作者: synaria
長期休みから王立学院二年生
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二年生最初の礼拝と朝礼

 私たちは講堂に着くと、ルーク兄様が別れ際に「ソフィーを頼む」とルシフェルに仰って、私たちはそれぞれの学年の列に別れた。

 ルーク兄様は三年生、ルシフェルと私は二年生の列だ。

 ちなみにルシフェルとは二年生からクラスも同じなので、そばにいられる。クラウス先生の思惑通りだ。


 そして、時間通りに礼拝が始まった。礼拝は大聖堂から司祭さんが来て執り行われる。

 有り難い神の教え的な説教とか、あとは、貪汚たんお落ちしたり貪汚に心蝕まれて世界に貪汚が溢れたら、世界が大変なことになるので気をつけましょうとか、司祭さんらしいお話があったあと、お祈りしたり聖歌を歌ったり、いつもの礼拝と似たような感じだ。

 去年私がいた一年生の列をふと見てみると、入学式を終えてない新一年生は、当然のことながら誰も並んではいない。一緒に礼拝を受けるのは来週からだ。

 今まで最高学年が付けていた藤色のネクタイorリボン、そしてベルトを新一年生が付けて来るっていうのが、なんとなく不思議な感じなんだけど、でも、それはそれでとても新鮮だとも思った。

 ちなみに王立学院は、在校生に対して、特に始業式とか行われることはない。礼拝のあとの朝礼で、さらっとジョルジュ先生が、「新学期が始まりました、頑張りましょう」みたいな挨拶をされて、以上、みたいな感じだそうだ。ルーク兄様が教えてくれた。

 まあ、簡潔なほうがいいんじゃないかなって思う。

 それで朝礼のあとに入学式が行われるので、朝礼終了後は先生が魔法でパッと新入生のための席を並べられたりして、準備に入られる。魔法ってホント、便利だなと思う。

 先生たちが入学式の準備をしている間に、私たち在校生は新しい教室に行き、新入生が入学式に参加している間に、在校生は軽いオリエンテーションみたいなのを受けて、今日一日の予定は終了だ。

 そして、明日から通常通りの授業になるという。

 礼拝でいつも通り、瞑想っぽいお祈りしながら今日の予定を頭の中で整理したり、皆さんと合わせて聖歌歌ったり、礼拝の後に行われる朝礼もサクッと終わらせ、私たちは二年生の新しい教室へ移動することになった。


 ルシフェルが、「ソフィー、教室行こうぜ」と言って、ニカって私に笑いかける。

 でも、私はちょっとクラウス先生に用事があるのを思い出したので、ルシフェルに「先に行ってて」って言うと、「了解!」って言って、いつものようにおでこのところに右手を持って行って、チャって感じで前後に振り、めちゃカッコよく去って行った。


 ……相変わらず、カッコいいんだよね……まあ、いいんだけどさ。


 そんなことを思いながら、舞台下上手側の王立学院教師の皆さまがいらっしゃるところに目を向けると、クラウス先生はジョルジュ先生と何やらお話をされていた。

 入学式準備の打合せかな? お忙しいと思うので、とっとと用事を済ませないと。

 私がクラウス先生の少し近くに行くと、ジョルジュ先生が察してくれて、笑顔で微笑み合い、ジョルジュ先生はその場を離れて入学式の準備に戻られた。


 ちなみに用事と言うのは、長期休み中に、王立学院にいる間も、なるべく『古の魔術書』を見るようにと言われていたのにも関わらず、クラウス先生から借りるのを忘れていたので、いつ借りに来ればいいか分からないため、お伺いに来たのだ。

 『古の魔術書』はめちゃ貴重なもので、宮殿か、王宮図書館の立ち入り禁止の書庫室か、魔法師団の研究所くらいにしかないらしく、ここ王立学院の図書館にもない。

 なので、いつもボールドウィン侯爵家で勉強しているときはクラウス先生が持ってきて、使った後はクラウス先生が持って帰られるんだけど、それがクセになっててお借りするのを忘れてしまったのだ。

 まあだから、私だけが忘れていたわけじゃあ、ないんだけどね、うん。

 私がお借りするのは、宮殿にあるものらしい。そんな貴重なものをお借りしても本当にいいのかって、クラウス先生に尋ねたら、

『ルーン文字の解読は、私も非常に気になります。何がきっかけでソフィー様がまた読めるようになるか分かりませんので、時々目を通して頂き、新たに認識できるようになった文字があれば、ぜひ教えて下さい』

 と、どうやら、クラウス先生ご自身の趣味っぽいなとも思った。


 ……やっぱりダメなんじゃないかっていう気しか、しないのだけれど。


 ちなみに長期休み中には、クラウス先生も理解できるルーン文字で書かれた古の魔術の練習……って言っていいのかな、書かれている文字は理解できるんだけど、とにかくこの世界の魔法はイメージが大事なので、そのイメージを膨らませるのに時間を費やしてる、みたいな感じで『古の魔術書』に接していた。

 実際問題として、魔法を使うにはとても重要な”適性”の問題もあるし、だから新しいルーン文字を認識したからと言って、すぐさまそれを使用っていうことにはなり得ないんだけど、クラウス先生の仰りようでは、今後はまあ、そんなイメージを膨らます中で、うっかり別のページのルーン文字読めたりしないかな、読めたら教えて欲しいな的な、ご自身の趣味の充実を図られてるのかなあとも思った。


 まあ、それでクラウス先生が喜んで下さるなら、全然協力するけどさ。


 なので端的に言うと、『古の魔術書』で私がすることは、イメージを膨らませたり、パラパラ読みしたりを、寮の部屋で時間があるときは、自らすすんですることだった。


 ちなみに以前、一緒にルーン文字を読んだとき、私のほうが読める文字が多かったんだけど、そのときの目の輝きようっていったら、ホント小さな子供がごちそうを前にして目を輝かせているみたいな、そんなご様子だったもんな。

 で、クラウス先生はめちゃ頭がいいんで、私がちょっと伝えると、すぐさま理解して自分のものにしてしまわれた。

 頭がいいって、ホントずるいなって思った。

 っていっても、私は異世界転生特権チートだし、人のことは言えないんだけど。


 でも、さすがにその貴重な『古の魔術書』を持って、私に学院内をうろつかれても怖いということで、女子寮の手前にある吹き抜けの丸い広場までなら男性でも行けるため、そこに魔術書を持っていくから、ドミと一緒に取りに来て欲しいと仰った。


「なるべく早くお渡ししたほうが、一刻も早い『古の魔術修得』に近づくというものです。ですので、そうですね……ランチのあとで、よろしいでしょうか」


 ……その、クラウス先生的には正直、私の古の魔術修得よりも、ご自身のルーン文字修得のほうに興味がおありで仰ってるんじゃないかなって、ふと頭によぎったけれど、まあ、お忙しい中仕事を止めて私と話して下さっているので、特に何も言わなかった。


「それと、ドミは必ず連れてきて下さい。あと、魔術書のブックカバーに、魔術書の半径一メートル以内に入った状態を三秒以上続けた場合、防御結界が張られ、攻撃に転じる魔法陣も仕込んでおきました。万一強奪を試みる不届き者がいては、大変ですからね」


 とクラウス先生は、不敵な笑みを浮かべた。

 ……クラウス先生が施された魔法陣だもん、めっちゃ怖いやつに違いない。

 間違っても魔術書を奪いに来る人がいないことを、心からお祈りしていようと思う。


 ちなみにその魔法陣は、魔力が登録されている者が持ち運ぶ分には何にも発動しないので、まず私はモーゼの杖で、魔力登録しなければならないという。そして、魔力を持たないドミは、特に気を付けて欲しいそうだ。


 ……それ、ドミ連れてくるほうが、余計に危ないんじゃないかな。


 って私はそう思ったんだけど、なんかクラウス先生は、ドミに直接注意を促したいというのもあって、ぜひ連れてきて欲しいと仰った。

 まあ、伝聞だったら細かいニュアンスが伝わらなかったりして、特にこういう命にも関わるようなことは、いい加減にしないほうがいいというクラウス先生の仰りようは、私もとても納得できた。


 で、つまり、その恐ろしい魔法陣が施された魔術書を持って王立学院内を練り歩くのは危険だし、クラウス先生が女子寮手前の吹き抜け広場に転移、転移時にもし人が近くにいてはダメなので、誰も近寄れないように防御結界を張って転移して来られるそうだ。

 そして、私のモーゼの杖は、有難いことに一メートル以上あるんで、モーゼの杖を伸ばし、ブックカバーの魔法陣に触れ、魔力登録、私が魔術書が持って以降は、ドミは絶対に私に近づかない、念のために二メートル以上離れて歩き、私は防御結界を張って、寮に戻るということらしい。

 ……正直、防御結界を張りながら、少しの距離とはいえ、寮をうろうろするの、めちゃ目立つしちょっと抵抗を感じるけど、まあ仕方ない。人命には変えられないもんね。


「それでは、昼食後に」


 と、爽やかな笑顔を残されて、入学式の準備に戻られた。

 いやあ、去り際もカッコ美しいな……

 私は、クラウス先生のイケメンぶりを堪能しながら、新しい二年生からの教室に行こうと踵を返した。


 踵を返したんだけど……

 ヤバい、場所がどこか分からない。


 ルシフェルに訊いとくんだった。なんか普通に一年生のときの教室に行けばいいやって、脳がそういう状態になってたんだよね。習慣ってホント怖い。


 えっと、どうしようか……


 まあ、クラウス先生か、身近にいる先生に訊くしかないな。

 入学式の準備でお忙しいところとても申し訳ないけれど、私が王立学院内で道に迷い、遭難するほうが、もっとご迷惑だろう。


 私は辺りをキョロキョロ見渡して、どの先生にお伺いしようかなと物色していると、後ろのほうから私を呼ぶ声が聞こえて来た。

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