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闇と光の物語 ~神が人間を創造した理由~  作者: synaria
長期休みから王立学院二年生
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ヒノキの作業終了後のいろいろ

「あちらにまだ貪汚(たんお)膿に侵されたヒノキがあります、行ってみましょう」

 私は、ルシフェルに申し訳ない気持ちを抱えつつもなんとかそう言って、再び作業に取り組んだ。


 ずっと、年下で、弟で、子供だと思っていたルシフェル。

 いつもイタズラや面白いことばっか考えて、時々怒られてしょんぼりするルシフェル。

 でも、今日のルシフェルは、そんないつものルシフェルじゃなかった。

 今日、二人っきりになったからかな……本当のルシフェルを、垣間見た気がした。

 また、通常の日常生活に戻れば、いつもの明るいルシフェルに戻るとは思うんだけど、これからホント、どうしようか……


 私はそんなことを考えながら作業をしていると、クラウス先生とルーク兄様が向こうのほうからやって来られた。


「作業のほうは、滞りなくできてますでしょうか?」

「はい、クラウス先生たちは、もう終えられたのですか?」

「ええ、ソフィー様たちが作業を始められたスタート地点と思われるところまで作業が終わりましたので、こちらに来ました。ソフィー様たちもあと少しですね。我々は、我々が作業を始めた地点から、反時計回りにこちらに向かって作業に入りたいと思います。もう少しですよ、頑張りましょう」


 クラウス先生が笑顔で私を励まして下さった。

 いつもならここで、めちゃ心華やいで”心のサプリアルバム”にめちゃ永久保存するんだけど、なんか、愛想笑いするに留まってしまった。


「ソフィー様、お疲れのようですね……少し、休まれますか?」


 私の様子がおかしいと思われたのかな、クラウス先生が私を心配して気遣って下さる。


「いえ、実は先ほどまで休んでいたんです。だから、大丈夫です、頑張れます」


 私は頑張って満面の笑みを作り、クラウス先生にそう告げた。

 ルーク兄様も心配して、私に声かけして下さるんだけど、同じように満面の笑みを作り、大丈夫ですと宣言した。


 クラウス先生は、少し苦笑いをされたあと、ルーク兄様を連れて、作業地点へ向かわれる。


 ルーク兄様とルシフェルがすれ違う瞬間、ほんの一瞬だけ微妙な空気が流れたような気がしたけれど……いや、気のせいかな……

 もしくは、ルーク兄様は私と一緒に作業することを望まれてたっぽいから、何か思うところおありなのかも知れないし、ルシフェルが、ついさっきの出来事でルーク兄様に顔を合わせづらく、微妙な空気になったとか、その辺りが理由なのかも知れない。


 クラウス先生とルーク兄様が戻って来てからというもの、作業はさらにはかどって、無事に今日のノルマは達成でき、下山することになった。

 夕焼けに照らされる皆んなのお顔はホントに眩しすぎるのだけど、今は何だか、嬉々として見れない自分がいた。



 今日のディナーでは、早速養母様にサンドイッチのことを直談判してみた。すると、ルーク兄様やルシフェルの多大すぎる援護もあり、快諾して下さった。

 今日のディナーでのルーク兄様とルシフェルの様子はいつも通りで、私も少し、ほっとした。


 そして数日後、養母様が私をお茶に誘って下さった。

 なんでも私に見せて、食べさせたいものがあるという。


「ソフィー、ご覧になって。おやつ時に頂くサンドイッチは、このように小さいほうが良いと、わたくし思いましたの」


 そう仰って、養母様のメイドが持ってくるサンドイッチを見ると、直系五センチくらいの円柱形サンドイッチがそこにあった。


 めちゃ可愛らしい。さすが養母様だ。しかも爪楊枝みたいな小さな木片が刺さっていて、具とパンがバラバラにならないように工夫されている。

 こういうサンドイッチ、アニメのピクニックシーンで見たことあるなって思った。

 養母様の想像力は未来にも馳せていて、実に素晴らしいと思う。

 そんなことを考えながら、養母様に促され私もサンドイッチを頂いていると、養母様が説明を始められた。


「具は、生ハムとルッコラですのよ。ソフィー、覚えてまして? わたくしたちの一番最初のディナーの前菜で、モーゼの杖を模して、生ハムとルッコラを用いましたでしょ? 今回もその前菜から具材のインスピレーションを得たのですわ」


 ……なんか、大天使ウリエルが司る”予感”が、私に何かを訴えかけてきたような……そう言えば、一番上には黄色い薄焼き卵が乗っているので、これも相当ウリエルの”予感”を刺激している気がするのだけど……


 私は思わずサンドイッチをゴクリと呑み込んでしまい、むせるのをなんとか我慢して、養母様の話の続きを聞いた。


「表面にあります薄焼き卵は、もちろん月面着陸をイメージ、そして、中央に悠々と突き刺された木片は、ソフィーが月面に降り立ったときに、モーゼの杖を月面に突き刺しているイメージですのよ。ほほほほほ」


 は? わ、私は宇宙飛行士かなんかですか!?

 私は養母様の仰りようにめちゃ驚いて、ずっと堪えていたのに、やっぱり堪えきれず、思わずむせてしまった。


 養母様のメイドたちは、「大丈夫ですか?」って私を気にかけてくれるんだけど、まあ、「大丈夫です」と答えつつも、持ち直すのにはやっぱりちょっと、時間がかかってしまった。

 そして、ようやく咳も落ち着いてきたので、ゆっくりと紅茶を頂いた。


 ……ふぅ……今日もまた飛んだ”セレスティア・マジック”だな。

 それにしても相変わらず養母様は通常運転過ぎる。まあ、楽しいからいいんだけどね。養母様の奇想天外な発想やお話は、どんなときでもホント、めちゃ笑っちゃうもん。


 そんな感じで久しぶりの養母様とのお茶会は、相変わらず楽しかったのだけれど、とりあえずドミには、私の部屋に持ってくるランチなどのサンドイッチは、しばらくの間、薄焼き卵と木片突き刺しは”NG”って必ず伝えておかないとって、心に刻み込んだ。


 それから王立学院が始まるまでの二か月ほどの間、私はクラウス先生にみっちり仕込まれ、神体山での体力増強や、ルーク兄様やルシフェルも時々一緒に、戦闘の訓練みたいなのもした。戦闘の訓練といっても、私はもちろん魔法オンリーだけど。

 去年のことを思い返せば、学院内に上級悪魔が潜入して、魔物が狂暴化したり、そして本当に最悪なのは生徒が下等悪魔化したりもしたので、万一のことを考えて、私も少しは戦闘慣れしておいたほうが良いと判断されたようだ。

 実際先日の神体山での貪汚膿に侵されたヒノキを浄化する作業でも、ダークコヨーテという弱い魔物ではあったけれど、神体山に魔物が出没する機会が多くなったのは確かで、今後、神体山解放後、強い魔物が出没する可能性は高いということで、そういう訓練も行おうということになった。

 そして戦う魔物は、実際に私が魔笛で召喚してみたりもした。

 私は闇属性が強く、おまけに魔力量もめちゃ多いんで、慣れてきたら異常に強い魔物も召喚できるようになってきて、ルーク兄様やルシフェルに、戦闘訓練の実戦ができて重宝すると、褒められた。

 なんなら、悪霊系の魔物とかも、実際にクラウス先生が出されているのを見ながら私も出してみる。

 悪霊系の魔物は武術があんまり効かないので、ルーク兄様やルシフェルにとってはよい魔法の訓練になっているようだ。

 そんな感じでクラウス先生の見よう見まねで様々な種類の魔物も出せるようになってきた。


 ……なるほど。もし将来、守護天使ウリエルが私から離れて、モーゼの杖の所有権を失くしてしまっても、いざというときは召喚士として生きていけるな。

 神体山関連に関わっている限りは、モーゼの杖をずっと持っていられると思ってるけれど、正直その後のことが、分かんないんだよね。

 一応、昔モーゼが、一度モーゼの杖をウリエルから渡されて、その後ウリエルや神様から取り上げられたみたいな話、聞いたことないんで、恐らくずっと持っていられるもんだと勝手に思ってはいるんだけど、絶対に取り上げられないという保障もないので、自分の強みが他にあるのは良いことだなと思った。


 神体山での体力増強では、相変わらず山頂までの道のりをめちゃ頑張って、山頂についたら、前回貪汚膿に侵されたヒノキの浄化がまだ完全には終わっていなかったので、その浄化作業、倒木しているヒノキだけでなく、斜め向いていて倒木しかかっているヒノキも対象に行った。

 ちなみに、私は『ヒール』も使えるので、役割分担は交互にした。

 『エフージオ』は魔力吸収系、『ヒール』は魔力放出系で、プラマイゼロみたいな感じになるので、なかなか良いなと思う。

 クラウス先生が『エフージオ』のターンに入ると、私が魔物を警戒しなければならず、ダークコヨーテなど弱い魔物ではあったけれど、実際に倒したりもした。

 クラウス先生の特訓が、着実に実を結んでいると思う。

 先生は私の成長に目を細めていらっしゃるけれど、ふと小声で仰った、「時間がかかっても、最初からこうしていればよかった」という言葉が、私的にちょっと気になった。

 でもなんか、どういう意味か聞きそびれちゃって、結局そのままにしている。

 そして、神体山が魔力奉納のみで自然に浄化できるサイクルに入る程度にヒノキの状況が改善したと、クラウス先生が判断されたのち、この作業は無事に終了した。まあ作業が終了したあとも体力増強を兼ねて、クラウス先生とときどき神体山にお散歩には行きつつ、その後の状況をいろいろ確認したりもしたけれど。

 また、王立学院が始まったあとは、魔法師団が引き続きその後の神体山の状況を定期的に確認されるという。


 魔法の授業も順調で、闇属性は古の魔術の解読ともしできれば修得に入り、光属性と無属性は、王立学院が始まるギリギリまでかかったけれど、光属性は最上級、無属性は上級まで、なんとか修得した。

 あとは、クラウス先生やドミと一緒に時々宮廷舞踏や乗馬の練習をしつつ、その他座学も順調で、戦闘訓練の時以外に使うファイフも、ルーン文字に関してはもう魔法の授業に組み込まれちゃってるし、数学や他の座学も、クラウス先生の猛特訓の成果もあり、私は王立学院三年生までの座学を、なんとか頑張って終了させた。

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