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闇と光の物語 ~神が人間を創造した理由~  作者: synaria
長期休みから王立学院二年生
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初めての宮廷舞踏と乗馬

 以前クラウス先生が宣言されていた通り、この長期お休み中は、できる範囲で王立学院三年生の分までの授業範囲を指導するとのことで、今日の午前中は三年生の授業をされるという。科目は宮廷舞踏だ。

 で、午後からは、王立学院の授業にはないのだけれど、貴族の嗜みとして馬には少し乗れたほうがよいということで、午後の授業は乗馬となった。

 王立学院では宮廷舞踏にそれほど授業日数を割いてはいないけれど、単位は取らないといけないし、何より乗馬同様こちらも貴族の嗜みでもあるので、避けては通れないという。


 ……うう、私があんま運動神経よくないのは、転生直後に『剣を持たせろ』とか妙なこと言って大恥かいたせいもあり、めっちゃバレてんだけど、さらなる失態を重ねないか、めちゃ心配だな……


 私はそんなことを考えながら、ドミと一緒にボールドウィン侯爵家内にあるダンスフロアを兼ねた大広間でクラウス先生を待っていると、クラウス先生が間もなくいらっしゃった。


 おお、今日はいつもと違って明るめの服をお召しでいらっしゃる。ダンスレッスンだからかな? いつもは黒とか暗めの服を、家庭教師のときも王立学院の教師のときもお召しになっているんだけど、今日はさらに、上級貴族感満載で、気品に満ち溢れ素晴らしい。

 でもやっぱり、伊達眼鏡がちょっぴり邪魔だなあって、思っちゃうけど。


「お待たせ致しました」


 と笑顔で仰るご様子がまた一段と麗しいな。もう張り切って”心のサプリアルバム”に永久保存しとこっと。


 私がそんなことを考えていると、ドミがスッと壁際まで下がって行った。

 そして、クラウス先生が私のところまで来て下さる。


「宮廷舞踏専門の教師ももちろんおりますが、私はダンスも得意ですし、ソフィー様に馴染み深い者がソフィー様を指導したほうがよろしいかと思い、私がダンスもお教え致します」


 そう、事もなくニッコリと微笑まれるクラウス先生。

 クラウス先生のいつものオールマイティー発言、出たな。

 ホントに苦手なことなんてひとつもないんじゃないかと思っちゃう。あれもこれも得意って、いつも仰ってるもん。実に羨ましい限りだ。


 すると、クラウス先生が私の前に立たれ、私の右手を取られ、ご自身の右手を私の腰に回された。

 わあ、ちょっと恥ずかしい、この距離、クラウス先生がマジ近すぎるよ!?

 私はクラウス先生の笑顔を直視できなくて、思わず目を逸らしてしまう。

 すると、クラウス先生が優しく仰った。


「ソフィー様、ご自身の左手を私の右腕に、自然にそっと乗せて下さい」


 私は言われた通りにする……おお、なんか、恰好だけはいっちょ前な感じがする!

 なんだかもうこれだけで、できた気になってきちゃった!

 でも、私の興奮はさておき、さらにクラウス先生は指導を続けられる。

 教わっているのはワルツだ。基礎のボックスステップとかいうのから学んでいく。


「まずは右足を後ろへ、そして左へスライド、その時に少し伸びて、そして足を閉じる。次に左足を前へ伸ばして、右へスライド、その時に少し伸びて、そして足を閉じる。これが基本になります。少し一緒にやってみましょう」


 私はクラウス先生に言われた通りにやってみる。

 なんか、最初は近くて恥ずかしいなあとか思ってたんだけど、宮廷舞踏っていうのはそんなに体を引っ付きすぎたりすることもなく間隔があり、あとステップに心血注ぎすぎるせいか、なんかスポーツしている気にもなってきて、あんまり恥ずかしさとかもなくなってきた。ただ気にするのはひとつ、クラウス先生の足を踏まないこと、これだけだ。


「ソフィー様、大変お上手でいらっしゃいます……ですが、私の足を踏まないようにとするばかりに、先ほどから足元ばかりを見ていらっしゃいます。ダンスは本来そういうものではありません。お顔を上げてもらってもよろしいでしょうか?」


 私は顔を上げる。クラウス先生の笑顔が眩しい。でも、足元を見なくなった途端、急に足元が心配になってきてしまった。


「大丈夫ですよ。基本男性がリードしますので、女性は男性に身を委ねるくらいのほうが良いのです。初めてですから私の足を踏んでも構いませんよ」


 って、クラウス先生は仰るんだけど、なんか言葉を発したら速攻足を踏んでしまいそうで、私はとりま、愛想笑いだけしておいた。

 でも、やっぱり何度か足を踏んでしまいつつ「すいませんっ」って謝りつつ、ひたすら基礎練習をした。


 休憩中にはドミがお水を用意してくれていて、お水を私に差し出しながら、

「初めてなのにお上手ですよ、ソフィー様」

 って笑顔で言ってくれるんだけど、本当かなあ……?


 で、休憩の後はまた基礎練習……でも、一番最初よりも足の運びに余裕が出て来た気がする。

「その調子です、ソフィー様」

 相変わらず笑顔が眩しいなあ……って、いけない、いけない、見惚れていたら、また足踏んじゃうな。

 そして、私はちょっと調子が出て来たと思われたようで、少し右回りとか左回りなどのターンとか、足型とかも少し教えて下さりつつ、今日の宮廷舞踏の稽古は終わった。


「ソフィー様、初めてのダンスはどうでしたか?」

「戸惑うことが多かったですが、ダンスって意外と楽しいなあと思いました」

「そうですか、それは良かったです。暇な時は、時々ドミに教わってもいいと思います」


 私がドミのほうに顔を向けると、ドミは「承知致しました」と簡潔に言った。


「もちろん私も引き続き、お教え致しますね。そしていつか、社交界でダンスのお相手をさせて頂くのを、楽しみにしております」


 と、クラウス先生は眩しい笑顔を私に向けて、仰った。


 わあ……社交界でクラウス先生と踊るとか、まんま絵本の童話の世界だ……そして、前世で見た麗しいアニメの世界でもある……めちゃステキすぎる……


 って思わずうっとりしてしまい、言葉をかけることも忘れてぼんやりしていると、

「それではまた、午後の授業で」

 と仰って、ダンス授業限定麗しのクラウス先生が、華麗に踵を翻してお帰りになった。

 そして私とドミも、その華麗さに一瞬言葉を失いつつも、ドミが、

「ま、まあ、私たちも帰りましょうか、ソフィー様?」

 と声をかけてくれて、我を取り戻し、私たちも自分の部屋に戻った。



 午後からの授業は、乗馬だ。ドミに、乗馬服に着替えさせてもらい、私たちはボールドウィン侯爵家の厩舎へ向かった。

 当然ながら、馬なんか乗ったことはない。っていうか、実物を見たことすらない。前世のアニメでは、昔設定のアニメならば誰でも当たり前のようにお馬さんに乗ってたけど、いざ自分が乗るとなると、ちょっと不安になってきた。


 ……まあ、午前中の宮廷舞踏の授業もなんとかクリアしたし、乗馬も大事なくできるといいな。


 私はそんなことを考えながら、ボールドウィン侯爵家の厩舎の前でドミと一緒に待っていると、クラウス先生がいらっしゃった。

 クラウス先生は、私たちとの挨拶もそこそこに、早速厩務員に話しかけられる。

「馬を借りる。見せてもらいたい」

 どのような基準で馬をご覧になっているのかは、私にもさっぱり分からないけれど、一頭の馬をチョイスされ、あと、木箱みたいな足台みたいなものを片手に持ち、手綱を引いて私たちのところへ戻って来られた。

「お待たせしました。それでは参りましょうか」

 クラウス先生は、先ほどの麗しい衣装ではなく、いつもの暗めの装いでいらしたけれど、でもおひさまの下で見るクラウス先生が相変わらずカッコよく、笑顔もお日さま効果で眩しさ二割アップなので、私は足取り軽やかに、クラウス先生の後について行った。


 向かっている先はというと、厩舎の前に簡単な乗馬できるスペースがあるので、そこに向かっている。

「馬の真後ろにいては絶対にいけませんよ。私の横にいて下さいね」

 クラウス先生はそう仰って、馬の手綱を慣れた手つきで引きながら微笑まれる。

 おお、馬に蹴られるのはさすがに痛すぎる。絶対に馬の後ろには行かないでおこう。


 そして、乗馬スペースのちょうど真ん中辺りに辿り着いたのち、クラウス先生が色々と説明をして下さった。

 後ろだけじゃなく、前にもいちゃいけないとか、繊細な動物だから、大きなアクションを取ったり、大きな音を出してはいけないとか、親しみを持って声をかけながらゆっくりと近づくとか、諸々の諸注意だ。

 私は、馬に蹴られて死ぬのは絶対イヤなので、クラウス先生の仰る諸注意をしっかり聞いて、激しく頷いた。


 そしてクラウス先生は、手に持っていた木箱を下に置かれ、「一度馬に乗ってみますね」と仰って、ひらりと軽々馬にまたがって、私をご覧になる。

 おお、どこの高貴な方がいらしたのかと思うほど、お姿めちゃ似合いすぎているな……

 って、見惚れていると、

「少し、歩かせてみますね。見ていて下さい」

 と仰って、「ハイッ!」の掛け声と同時に馬を歩かせ、私たちをぐるりと一周し、元の位置に戻って来られた。

 そして、馬から降りるときも、実に優雅にひらりと舞い降りられた。


「おおむね、このような感じになります。次は実際にソフィー様、馬に乗ってみましょうか」


 とクラウス先生は仰って、お馬さんの横に木箱を立てられた。

 そして、クラウス先生の指示通りに、木箱に立ち、左手で手綱を持ち、足を引っかけるところに左足を引っかけて、右手で腰かけの背もたれっぽくとんがっているところを持ち、木箱を蹴ると同時に、右手を腰かけの前方に持っていき体を支えつつ、クラウス先生にサポートしてもらいながら、お馬さんにまたがってみた。


 おお、めちゃ視界が高い! でも生き物に乗るって、めちゃ不安! そしてめちゃ緊張してきた!


 そしてクラウス先生は、さらに馬にまたがるときの姿勢とか諸注意をされながら、実際に歩いてみることになった。

 発進するときは、馬のお腹を軽く蹴るらしい。

 で、私はお馬さんに、


「お馬さん、ソフィーです。よろしくね。はい」


 って言って、『はい』のところでお腹を軽く蹴ってみた。

 おお! お馬さんが動き出したぞ!?

 一応私は手綱を握ってるんだけど、でももうほとんど飾りみたいなもんだと思う。

 隣にいるクラウス先生が一緒に歩きながら手綱を握っていらっしゃるんで、お馬さんはきっと、クラウス先生のことを一番に聞くんじゃないかな?

 現に、木箱のあるところを中心にぐるっと一周回る形で歩いているんだけど、私は曲がる指示とか出してないし。まあ、出し方もわかんないけど。

 すると、方向転換中にドミと目が合った。

 ドミは、微笑ましく私の様子を見てくれている。


 なんか、照れるけど、うれしいな……


 私は笑顔でドミに答えた。

 そしてぐるっと一周回って来て、木箱のところまで辿り着いたので、クラウス先生の教えてもらったように「どう」って言って馬のお腹を蹴り、手綱を軽く引っ張って、お馬さんに止まってもらった。

 そして、馬からの降り方も教わりつつ、無事に乗馬の一連の流れを終えることができた。


「ソフィー様、お上手ですよ」

 と、笑顔で仰るクラウス先生、陽の光の下の笑顔は眩し過ぎて、マジで心に沁みますよ……


 みたいな感じで、無事にお馬さんに乗れたことと、クラウス先生のイケメンっぷりに感動しつつ、お馬さんをなでなでした。

 そして、この一連の流れを何度も繰り返し、今日の乗馬の授業は終了した。


「ソフィー様、私がいるときは私が一緒に参りますが、私がいなくても乗馬の練習はしても構いませんからね。私がいない時は、私の代わりを調教師にさせるよう言付けておきますので。念のために乗馬の練習に来る時は、ドミも必ず連れてきて下さいね」


 するとドミがすかさず、「承知致しました」と言った。

 なるほど、宮廷舞踏と乗馬はクラウス先生がいなくても、いつでも暇なときは練習しなさい、っていうことなんだろう。

 まあ、今日初めて宮廷舞踊と乗馬をしてみたけれど、意外と楽しかったし、何より貴族の嗜みらしいから、よい運動にもなるしぜひまた時々挑戦してみたいなって思った。


 そして私たちは、お馬さんを厩舎に返しつつ、クラウス先生が色々と厩務員に申し付け、今日の乗馬の授業は終了となった。

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