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闇と光の物語 ~神が人間を創造した理由~  作者: synaria
長期休みから王立学院二年生
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モーゼの十戒

 今日のお勉強は、『モーゼの十戒』を学ぶそうだ。

 モーゼの十戒は、この世界で人々が守るべき指針というか、目指すべき教えみたいなもので、貴族は先祖から代々教えを守っていて、平民は正教会の布教活動効果もあって、信仰している人がほとんどらしい。

 ちなみに『モーゼの十戒』は『聖典』に記されている。前世でいうところの『聖書』みたいなものかなと思う。『天地創造』のお話から始まって、守るべき教えみたいなのが書かれていてその項目に『モーゼの十戒』のことや、あとは『七大欲求』についても書かれている。

 『七大欲求』っていうのは、七大悪魔が司っている七つの欲求のことで、この世界ではこの『七大欲求』を跳ね除けていかなければならないとされている。傲慢、嫉妬、憤怒、暴食、色欲、怠惰、強欲……以前授業で習ったけれど、ちゃんと覚えていてよかった、よかった。

 それで今日は、『モーゼの十戒』を学ぶこととなった。

 ちなみに私は平民出身だけど、転生して来たからリアルこの体の女の子の記憶がないので、この体の女の子が昔、この宗教を信仰をしていたかは知らない。でも、一瞬とはいえあの育った環境を見る限り、とてもそんなたいそうな教えを信仰していたとは思えないけれど。

 クラウス先生は、私のことを記憶喪失と思っていらっしゃるので、正教会からの下地となる知識があるとは思っていらっしゃらないだろうし、一から丁寧に教えて下さるんじゃないかな。


 まあ、私が生まれ育った環境では、そもそも教えすら信仰してなかったと思うけれど、他のこの世界の人たちは、一応このモーゼの十戒を守っているらしい。

 なんで”一応”なのかというと、モーゼの十戒の中にある『主の日を心にとどめ、これを聖とせよ。』、これが、毎週土曜日は安息日なので必ず体を休めなさいっていう教えなんだけど、この教えを守り過ぎると色々世界が回らなくなるんで、数代前の王様がちょっとアレンジされたのだ。

 そういえばこの話は去年、週に一回の安息日について習ったときにちょっと教えてもらったっけ。

 そして、残りの九つは、特に数代前の王様がアレンジされたとかっていうことはなく、そのままの教えのままで、まあ個人差はあるけれど、とりあえず人々から守られているという。

 また聖職者の皆さまは、神様に使える身なので、神様がシナイ山で、モーゼに授けた十戒を、有難い気持ちで、ちゃんと守っていらっしゃるそうだ。

 なんでも、神から『人々が”神の民”として忠実に”神の十戒”を守って生きることによって、神は民を真の幸福に導く』ことを約束されたとかいうことで、聖職者たる自分たちが守るのはもちろんのこと、聖職者以外の人々もこの教えを守り、真の幸福に導かれるよう、広めて説くのが、聖職者の皆さまの重要なお仕事のひとつだそうだ。


 ふーん、なるほど。私は前世では無宗教の国で生まれ育ったから、こういう仰々しいのはちょっと馴染みがないな。


 で、クラウス先生はまず、去年教えてもらった安息日に関わる教えをさらっと、復習された。

 安息日は、土曜日は基本休まないとダメなんだけど、でも忠実に守り過ぎると、突然出てきた魔物を騎士団が討伐に行けず、魔物被害が尋常じゃなかったり、農業関係の皆さんも仕事がままならなかったり、料理人やメイドたちに一日中休まれたら困る貴族の皆さまたちもいて、何代か前の王様が、どうしても働かなければならない人たちは、働いても良い、休みは交代で取りなさい、っていう教えだ。

 こういう、現代の考えに合わせて微調整されるのって、私はなかなかいいと思う。

 実現不可能な教えを強いて、表向きは守った風、でも裏では守らずダブルスタンダードだとか、結局その教え、意味ないじゃんってなっちゃうもんね。

 で、他にもあるモーゼの十戒、どんな教えなのかというと、こんな感じだ。


わたしのほかに神があってはならない。

あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。

主の日を心にとどめ、これを聖とせよ。

あなたの父母を敬え。

殺してはならない。

姦淫してはならない。

盗んではならない。

隣人に関して偽証してはならない。

隣人の妻を欲してはならない。

隣人の財産を欲してはならない。


 なるほど、この世界では、これらを守らなければならないのか……

 正直、四番目の『あなたの父母を敬え。』が、一番キツイと思った。だって、親なんかめっちゃ親ガチャあるのに、前世の私みたいに超ハズレ引いたらどうすんのって話だ。

 なんで、よく分からない理由で暴言を吐き、殴って蹴る女を、親だからといって敬わなければならないんだろう? で、前回の神体山解放で見た父親も超クズで、あんなのを尊敬しろとか本当終わってるなって思った。

 ただ、現世での養女先はもう超大当たりで、養父様と養母様を敬えっていうんだったら、これはもうもろ手を挙げて敬いまくり、私の心を救って下さった方々だから、命を賭して敬いますって感じだ。

 ……なんか日本語が変だけど、まあ、それくらいの気合が入ってしまうのは仕方ないな。

 この世界での私の両親はもう養父様と養母様なんで、一番厳しい教えと思われる『あなたの父母を敬え。』も、養父様と養母様ならめっちゃ敬えるんで、最難関はクリアしたと、とりあえず思っておこう。


 あとの教えは、守れと言われれば守れそうだ。

 正直神様のことは前世では信じてなかったけど、この世界では”神託の間”で実際王様が”神の御意志”をお伺いしたり、神体山解放のときはタイミングよくお知らせがくるしで、神様を身近に感じることが多く、また、何より”神の御意志”によって私はこの素晴らしいボールドウィン侯爵家の養女になれたので、正直神様には今のところ感謝しかないから、『わたしのほかに神があってはならない。』とか、『あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。』とかホントにお望みならば、全然守れるなって思った。っていうか、『主の名をみだりに唱えてはならない。』ってあるけど、よくよく考えたら私、神様の名前、知らないし。

 まあ、みだりに唱えちゃいけないんだったら、あえて知る必要もないな。クラウス先生には訊かないでおこう。

 で、安息日に関してはめっちゃ守りたい人だし、

 人なんて絶対殺したくないし、

 盗んだり、財産を欲しがらなくても、非常に有り難いことに貴族一の名家へ養女に来れたので、全てのことは事足りてるし、

 姦淫だとか、隣人の妻を欲してはならないとか(まあ、私の場合は隣人の夫だろうけど)、ひとりですら相手ができるか分かんないのに、いったいなんのこっちゃって話だ。

 だいたい、前世の私の育った環境が悲惨過ぎたので、もし誰かと付き合ったり、結婚とかってなった場合、あんなに怒ってばっかで怒鳴り散らして、暴力三昧、おまけに子供を虐待で死なすとか、そんな悲惨なこと、やっぱり頭によぎったりするんじゃないかと思って、やっぱりちょっと尻込みしてしまう……

 なので、不道徳な性交渉とか、おまけに他人の夫まで欲しがるとか、想像もできないし、そんなことにエネルギー使うくらいなら、少年小説『ブルー・スリー』でも読んでたほうが、よほど有意義に時間が過ごせると思うな。

 それに、私の周りには本当にイケメンな皆さまがいっぱいいらっしゃるので、実物見て目の保養をしつつ、周りにいないときは、脳内にある”心のサプリアルバム”を開き、思い出せば妄想の中でいくらでも幸せな気持ちになれるし、妄想の中だったら私は暴力を受けることも暴言で傷つくこともなく安泰なので、安心して幸せになれるので、それでホント、充分だ。


 にしても、この教えからも分かるように、この世界はホントに一夫一妻制なんだなって思う。王族ですら側室制度とかもなく、一夫一妻制なところはホント、徹底しているなって思った。おまけに離婚もできないしね。

 ふと、お世継ぎとかは大丈夫なのかなと思い、クラウス先生にお伺いしてみたら、

「世継ぎに関しては血さえ引いていれば男女関係なく王になれます。直系、傍系も特に関係ありませんので、おおむね大丈夫と思われますよ。まあ、王族に関しては”神の御意志”も関係もありますので、万一のときは神様が具合よく調整されるんじゃないですか? 創造主でいらっしゃるんで」

 などと、適当なことを仰っていた。

 まあ、今まで続いて来たのなら、一夫一妻制でもなんとかなっていたということだし、私が特に心配する必要もないのかも知れないな。

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