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闇と光の物語 ~神が人間を創造した理由~  作者: synaria
長期休みから王立学院二年生
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王立学院一年生終了。そして長期休みへ

 王立学院一年生の授業が全て終わり、私はボールドウィン侯爵家に戻ってきた。

 いろんな事があったな。

 でも、イヤなことも多かったんで、お屋敷に戻って来たら、やっぱりほっとするなって思った。


 で、終業式が終わりボールドウィン侯爵家に戻ってきた翌日から、早速クラウス先生の家庭教師授業が再開され、一週間経った。

 ついこないだ終業式だったばかりなのに、クラウス先生はちょっと、鬼教官かもしんない。

 ただ、クラウス先生にも事情がおありのようだった。

 終業式直後、ボールドウィン侯爵家にこれからドミと一緒に帰ろうと思って転移陣に向かっているときに、クラウス先生に会ったんだけど、そのとき私たちを引き留められて、春休みの授業方針をちょっとかいつまんで伝えられた。

 クラウス先生が仰るには、なんでも、まだ解放されてない四つの神体山からの魔物が多くなってきたり、狂暴化してきたりで、市街地へ出没し、もしも人々に被害が……って感じになると、いつ何時そちらの対応に引っ張り出されるか分からないので、勉強は進められるうちに進めておきたいそうだ。

 一応基本未開放神体山にいる魔物たちは、ほとんど貪汚膿化している神体山にいるほうが、貪汚がいっぱいで居心地いい場所だからか知らないけれど、そこに留まる習性があるらしい。でも、時々街に出没して来たりもするそうだ。

 なので今は騎士団が、未開放の神体山の周りやその近辺を見回りして対処しているんだけど、それだけでは今後間に合わなくなってくる可能性があると、クラウス先生は仰った。

 ちなみに既に解放されている神体山、三つのうちの二つであるイラエ山とエレガンドゥード山からは、魔物はほぼ出没しない。でも、イルスガウディム山からは弱い魔物がちょくちょく出るという。

 ただ、解放されている神体山には、七大悪魔が全部の神体山を乗っ取る前のような正常な防御結界が張られているんで、解放された神体山の魔物が市街地に出て民を襲うっていうことは、今のところ考えられていないんだけど、イルスガウディム山は、他の二つの神体山とは少し状況が違って来ているため、未だ解放されていない神体山四つとなにか関連があるかどうかも含めて、他の二つに比べて注視するとも付け加えられた。

 ……神体山解放すれば全部よくなっていくって勝手に思ってたけど、どうやらそういうわけでもなさそうだ。こっち立てばこっち立たずみたいな問題が、どこかにあったりするんだろうか? 私には全くわからないけれど。


 ちなみにクラウス先生が仰るには、この長期お休み中の目標はというと、王立学院二年生の分だけでなく、三年生の授業も終えたいという。


 ……えっと、ルーク兄様じゃあるまいし、大丈夫なんかな、それ?


 私が不安に思っていると、クラウス先生いわく、その目標は絶対にクリアされなければならないというわけではなく、効率よくチャッチャとすることで、去年のルーク兄様のように自然とそこに辿り着ければいいなっていう感じなのだそうだ。

 なので、辿り着けなくても別にいいんだけど、できれば終了させたいみたいな、”目標”というより、”希望”と仰った。

 まあ、私の能力を超えて無理に全学年の授業を終了されるんなら大変厳しいけど、そうじゃないって仰るなら、大丈夫かな?

 一応守護天使ウリエルが、けっこう知性っぽいのも司ってるから、いざとなったら助けてくれるかも知れない。とりあえず、言われたことを精一杯がんばろって思った。


 そして今日もクラウス先生の授業があり、クラウス先生が私の部屋にいらっしゃった。


「ソフィー様、今日もご機嫌麗しいですね」


 と仰って、美しく微笑まれるご様子は、ホント世界遺産レベルだなって思う。

 終業式直後からこんなに授業を詰め込んで”鬼教官”ってちょっと思ってたのに、もうすっかり変わって「今日も一日がんばろ」って思っている私は、ちょっと、現金かも知れない。


 ドミが用意してくれたお茶をいただきながら、今日はすぐさま授業に入るのではなく、ちょっと雑談から始まった。


「ソフィー様のおかげで、これで神体山が三つ解放されました。本当にありがとうございます」

「いえ、とんでもないです。私ひとりで成し遂げたことではありませんので、私のほうこそ皆さまに感謝です」


 穏やかな空気が流れる。ドミが入れてくれた紅茶がまた美味しいので、余計にほっこりするなあ。

 と、のどかに思いつつ、神体山解放三つ、海側ばかり解放されたとなれば、お伺いすることはひとつ、お魚さんゲットまでの道のりだ。


「クラウス先生、たまたまだと思いますが、見事に海側ばかりの神体山が解放されたんですけど、これで海にも魔力が満たされれば、漁猟は開始されるのでしょうか」

「はい、そうですね。今はまだ魔力も満たされておりませんので、王命による漁猟禁止令がすぐに解除されることはありませんが、どのくらいかかりますでしょうか……一度、体力増強お散歩がてら、エレガンドゥード山へ見に行ってもいいかも知れませんね」


 おお、エレガンドゥード山と言えば、海に突出している神体山だ。まだ干上がってるかもしれないけど、ちょっとくらいは山頂から海が見えたりするのかな? ちょっと楽しみにしてようと思う。

 私は、「とても楽しみです」と、嬉しさいっぱいで答えた。


「あと、授業の前にお話ししておきましょうか……王立学院のクラス編成の話です」


 今の王立学院は、光クラスと闇クラスに分かれていて、得意な属性をさらに伸ばして学べるようなシステムになっている。中には光も闇も半々の生徒もいるんだけど、そういう生徒は好きなほうを選んでよいそうだ。

 で、来年度からは光クラス、闇クラスと分かれるのではなく、魔力量の多い少ないでクラス分けされることになったそうだ。

 そのようなクラス編成になった一番の理由は、私を守れる人間がクラスにひとりもいないという状況を回避するためだという。


 そ、そんな私的な理由で王立学院の決まりを変えちゃっていいのかなって、マジ度肝抜いちゃったんだけど、クラウス先生いわく……良いらしい。

 ホントかなあ、なんかちょっと心配になってきちゃった……


 正直、王立学院に上級悪魔が入って来ること自体想定外だったんだけど、そんな風に想定外のことが今後もあるかも知れないという視点に立ち、安全に安全を期すという方針を推し進められたそうだ。

 魔力量別によるクラス分けだと、私がルシフェルと離れることは、絶対にない。なので、万一のことを考えてそうされたんだろうなって思った。


 でも、ハッキリ言って、前の衝撃的過ぎる朝礼でのエイデン先生の演説&歌披露を思い出せば、そんな酷いことは万一にもなさそうだと、個人的には思うけれど。

 でも、王様の側近でいらっしゃり、かつ、王立学院の教師でいらっしゃるクラウス先生がそうされるっていうんなら、それが正解だと思っておくことにしよう。

 ルシフェルと今後ずっと同じクラスになれるんなら、私もホントにうれしいから。

 ただそうなると、せっかくお友達になれたハンナ様とは分かれてしまうのが、ちょっと寂しいな……

 ハンナ様は男爵出身で魔力量は乏しい家系なので、仕方ないことなんだけど……

 でも、ハンナ様とはまたファイフの授業などではお会いすると思うし、そのときは以前と違い、お互いファイフを演奏しあったりして、仲良くして頂こうと思った。


 あと、クラス編成が変更になった理由はほかにもあって、二年生にもなってくると魔法の実戦授業も多くなってきて、光と闇とで分けるより、魔力量で分けたほうが良いという、なかなか一理ある表向きの理由もあった。

 っていうか、それが一番の理由でいいんじゃないかと思うけど。

 魔力量が違いすぎると、結局使う魔法も違ってくるし、攻防の練習も魔力量が拮抗してるほうがやりやすいと思うんだよね。魔力量の多い生徒が魔力量の少ない生徒をケガさせたりしたら大変だもんね。

 もちろん、そうならないように、今まではちゃんと先生が、見張っていらしたとは思うけど。


 あと、私が在籍していた闇クラスの生徒が来年度どれだけ復帰してくるのか定かではなく、さすがに五人の生徒だけで授業するのも……みたいな、寂しすぎる理由もあるそうだ。

 結局、あの上級悪魔事件後、休み始めた生徒たちは、終業式まで一度も顔を見せることがなかったので、来年度も出席するかどうかは定かではない。

 でも、やっぱり親御さん的には自分の子供たちはきちんと卒業させてちゃんと就職させたいと思っているだろうし、実際、親御さんからそのような問い合わせもあったらしく、とりあえずクラス編成をいじることによって、その登校拒否された生徒さんたちが新しい空気みたいなのを感じて、登校しやすくなれば良いなあという、王立学院側の希望や期待みたいなのもあるそうだ。


 なるほどね。確かに登校拒否されてた生徒の皆さんは、あの上級悪魔がいた、人をイジメても構わないという陰湿な空気しか知らないので、光のクラスの生徒たちが紛れることによって、少しでも登校しやすくなるなら、それは良い案なんじゃないかと、私も思った。


 さすが、クラウス先生。

 私を単に守るということだけじゃなく、皆んなにとっても良い最善の方法を模索されたんだな。

 貴族の数が凄く減っている中で、出来る限り生徒を取りこぼしたくないし、世界のためにも救い上げたいと思われているに違いない。

 頭が切れるって素晴らしいな。クラウス先生は容姿だけでなく、その頭脳も国宝級、さすが王様の側近だなあって改めて思った。


 でもまあ、ときどき子供っぽいところもおありなのか、クラウス先生に許可なくハンバーグを作ったときは、ルーク兄様やルシフェルに、『ブルー・スリー』の槍の勇者顔負けレベルの”イヤミな太刀筋”?を披露されたり、

 蛍を見に行ったときにプライベートを少々詮索されると、『黙りなさい』とばかりの魔法陣を速攻開発、翌日には披露されるし、

 おまけに王立学院の教師に就任したことを黙って入学式の時、壇上に上がり、私に謎のウインク&ドヤ顔されるしで、完全無欠人間というわけでもなさそうなんだけど。

 まあ、ロボットみたいな人間よりも、少し人間味がおありのほうが、親しみも持ちやすくていいんじゃないかと、思っておこう。


「クラス編成のお話、承知いたしました。私もルシフェルと一緒のクラスだと、とても安心です」


 私は様々な状況をめちゃ納得し、そしてクラウス先生に笑顔で答えた。

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