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闇と光の物語 ~神が人間を創造した理由~  作者: synaria
転生から王立学院一年生
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七大天使ガブリエル

 私が絶対に貪汚たんお落ちしないと心に固く決意し、一枚岩に魔力を一気に注ぎ込んでいると、一枚岩に漂う貪汚の瘴気だらけの中、モーゼの杖の光がさらに強まり、一枚岩の中心部を中心として、徐々に光が円形に広がりはじめた。

 その光る円には魔法陣が描かれていて、光が徐々に広がっていくにつれ、その魔法陣の全貌が明らかになっていく。そして、光が徐々に広がっていくのと同時に、アザゼルの酷すぎる思念も、徐々に外へと追いやられていく。

 そして遠くの方で、

「ここまでの絶望を与えたのに。これほど腐の思念を抱えて貪汚落ちしない人間は始めてた」

 と悔しがるアザゼルの声が聞こえた気がしたけど、最後まで聞き取れなかった。

 なんか、この最後の言葉も、前回のアスモダイのときにも聞いた気がするんだけど、あれは何だろう、最初の言葉と同じ感じの、決まり文句かなんかなんだろうか?

 よく知らないけど、そんな安易に貪汚落ちなんてしてられない。はっきり言って。

 だてに、実の親に毎日のように虐待されて、しかも殺されたりしてない。

 この、抵抗不可避ではあったものの、でも手に入れてしまったこの忍耐力は、この世界で私を守り助けてくれる、大好きな人たちのために、使うんだ。

 そんな風に私がさらに決意を新たにしていると、円状に広がっていた光がさらに広がり、光が一枚岩全てを光で覆う。そして、一枚岩上面いっぱいに出現した魔法陣が、ピカって光って発動、私は一瞬驚いて、辺りを見ると光りながら、前回同様に上にあがっていく。そして大空に広がって、金色の光の祝福となり、大地に降り注いだ。


 ああ、前回と同じだ……やっと、終わった、やっと……


 私は激しい脱力感に見舞われ、思わずその場にペタンと座り込んだ。一気に緊張感から解放されたからだと思う。

 そして、金粉のように降り注ぐ祝福が、神体山を魔力で満たし、それと同時に、その祝福により、辺りにいる魔物たちが全部跡形もなく消えていく様子を、ぼんやりと眺めていた。

 皆んなの歓声もあがる。


 ……そうだ、魔物たちもいなくなったよね。最初、一枚岩に乗るとき、キマイラアグリネスが現れたとか言ってたけど、あれ、大丈夫だったのかな……


 私が、辺りを見渡そうとすると、突然、ウリエルっぽい大天使が現れた。

 めちゃ神々しい光を放っているんで、例によって例のごとく、七大天使に違いない。

 大きな翼、天使の輪、古代ローマの人ふうの装いなのは相変わらずおんなじで、中性的な感じはウリエルと似てるけど……いや、ウリエルよりも少しだけ男性っぽいかな、でも、女性的な大天使ハニエルとはちょっと違うなと思った。

 大天使は、私に優しく微笑んで言った。


「私の名はガブリエル。神の言葉を伝える大天使です」


 わあ! ガブリエル、受胎告知で超メジャーな、七大天使の一人だ!

 何だろう、あんまりにも有名過ぎて、実際にお会いできてめちゃ気分が高揚して、サインとかねだりたくなってしまうな。色紙もペンも、持ってないけど。スゴイ残念だ。


「前回に続きイルスガウディム山も解放して頂きありがとうございます。こちらでも他の神体山同様、魔力奉納が可能になります。そして神体山だけでなく、ゆくゆくは世界全体を魔力で満たすことができるでしょう。しかし、その道のりは未だ遠いです。悪魔に乗っ取られた山が、あと四つあります。まずは、七つの神体山解放のため、引き続き尽力頂けますよう、よろしくお願い致します」


 ……うん、テンプレっぽい喋りをするのは、七大悪魔だけではないことが分かった。まあ、何でもいいけどね。

 でも、神様のメッセンジャーなんだから、もうちょい他の天使と違って、しゃべり芸とかあってもいいんじゃないのかな?でも、メッセンジャーだけあって、おしゃべりは丁寧かも?って、勝手なことを考えていると、大天使ガブリエルの右手が突如光始めた。

 そして、光が治まるころにはその右手に、神々しいまでの聖槍が、握られていた。


「これは聖具のひとつ、聖槍です。この聖槍は、あちらの男性に適性があるようです」


 そう言ってガブリエルは、上空にふわりと舞い上がり、エイデン先生のところに飛んでいき、聖槍を授けた。

 エイデン先生はと言うと、めっちゃ驚愕してて、目をぱちぱちさせながら、聖槍を見ている。そして、先生ご自身が今まで持ってた槍を片付け、聖槍を手に取り、聖槍をマジマジと見はじめた。

 次の瞬間、


「うぉ~~~~~~~!!!」


 と、地震を引き起こしそうなほどの雄たけびを上げ、空に聖槍を突き刺したかと思うと、やたらめったら素振りをし始めた。

 う、うん、エイデン先生、めちゃカッコいいよ、きっと『ブルー・スリー』の槍の勇者、ランスロットを髣髴とさせているに違いないな。

 と、私は呆気に取られていたんだけど、その聖槍を授けた当の本人であるガブリエルは至って涼しい顔をして、


「きっと役に立つでしょう。全て神の御導きのままに……」


 とか言って、大天使ガブリエルは消えていった。


 私がゆっくり立ち上がると、「ソフィー! ありがとう!!」って言って、ウルルが一枚岩からぴょんって現れ、私の胸に飛び込んで来た。

 久しぶりに会えて嬉しいな……半年以上ぶりだと思う。相変わらずめちゃ可愛いんで、今まで会えなかった分も含めて、めちゃ張り切って頭なでなでした。


 すると、エイデン先生が超猪突猛進で、私に向かって走ってきた。

 正直、どこのダンプカーが突っ込んで来るのかっていうくらいの恐怖があったけど、いざというときは、ウルルが岩の妖精だし何とかしてくれるだろうとか、適当なことを考えていたら、一応エイデン先生は、ちゃんと私の目の前で急ブレーキをかけて下さった。でも、声のトーンだけは一切何のブレーキもなく、地響きでも引き起こしかねない大声で、仰った。


「ソフィー君! こ、これは、聖具ではないかね!?」


 うん、やっぱりエイデン先生にも大天使ガブリエル、見えてないようだ。

 もし、見えてたのなら、『大天使から聖槍を授かった』って言うだろうし。

 私は、大天使ガブリエルに告げられたことを伝えた。


「大天使ガブリエルがエイデン先生に、聖槍の適性があるって言ってましたよ」

「な、何!? 大天使ガブリエルが!?」


 それを聞いてさらに気分が高揚したのか、さっきよりもさらに大きな耳の鼓膜までいっちゃいそうな大声で、

「うぉ~~~~~~~!!!」

 と雄たけびを上げられて、また聖槍で素振りを始められた。


 丁度ウルルがエイデン先生の雄たけびに耐えかねて、岩に戻ろうとする瞬間に素振りを始められたので、一瞬聖槍がウルルに当たりそうになった。私はめちゃ驚いて息を呑んだのだけれど、ウルルはなんとか華麗にかわして岩に戻ろうとする。でも、エイデン先生は面白い練習相手?を見つけたとばかりに興味津々、目をキラっと輝かせたかと思うと、ウルルに向かってめちゃ突きはじめた。

 ウルルは「やだよ~帰りたいよ~」とか言ってるんだけど、エイデン先生は「これは丁度よい、なかなか可愛らしいではないか! ガハハハハ!」とか笑い出して、面白がってウルルと戯れ?ていた。

 ……キマイラアグリネスとか他いろいろ強い魔物が出たと思うのに、エイデン先生のこれだけの余力、エイデン先生的には余裕だったんだろうか……力がまだ有り余ってるよね、ホント。

 まあ、エイデン先生のお戯れ?も、ウルルがケガすることないくらいに加減してくれてるならいいんだけど。なんせ持ってるのは聖具だから、めちゃ心配だよね。

 まあ、ウルルが可愛らしいっていうのは超同意なんだけどさ。


 私がそんなことを考えていると、クラウス先生はじめ、ルーク兄様、ルシフェル、そして養父様が私のところへ駆けてきて下さった。


「ソフィー様、さすが、お見事です!」

「お疲れだったね、どこか具合の悪いところはないかい?」

「相変わらず見事だ、ソフィー。養父として誇りに思う」

「お疲れーっす! いつ見ても、スゴイな?」


 などと、様々に声をかけながら、私を笑顔で取り囲んで下さる。

 この笑顔のために私、頑張ってるようなもんだもんね……


「ありがとうございます、皆さまのお陰で今回も頑張れました」


 私が満面の笑みでそう言うと、皆んなは暖かい笑顔で、私を迎えて下さった。

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