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闇と光の物語 ~神が人間を創造した理由~  作者: synaria
転生から王立学院一年生
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ルシフェルとも初めてのランチ

 ちなみにこの”年中春男子”、もしくは”脳内四季咲き男子”っていう異名は、今私が考えた。ルシフェルにぴったりと思う。絶対言わないけど。


「よお! ソフィーが食堂にいるの、珍しくね?」


 ルシフェルはいつものようにニカって笑い、私の隣に座った。

 ちなみにいつもの、右手をおでこのところで“チャッ”ってするのはなかった。まあ、ハンバーグランチ持ってて、両手が塞がってるから、できないのは当然だけど。


「ルシフェル、いつものお友だちと一緒に食べなくていいんですか?」

「ああ、いつも一緒に食べてるから、今日はいい」


 そう言って、ハンバーグランチを頬張り始めた。

 私はハンナ様に、軽く義弟を紹介すると、もう既にランチを食べ終えられたハンナ様、席を立ち、仰った。


「それではわたくし、午後の授業の準備を致しますので、これで失礼致します。ソフィー様、また後で。ルシフェル様も、ごきげんよう」


 とめちゃ可愛らしく微笑まれて、去っていかれた。


「あれ、なんか俺、邪魔した?」


 ハンバーグを、頬いっぱいに頬張りながら喋ってるんで、一瞬なに言ってんのか分かんなかったけど、一秒後に、理解した。


「ううん、大丈夫と思いますよ。食べ終わっていらしたし、話もキリがついてたから」


 私は笑顔でそう言った。

 だがしかし、いったい何を話そうか。

 あの上級悪魔事件後、ルシフェルに会うのは初めてだ。きっと、その話を私とするために、ルシフェルはここに来たんだと思う。

 じゃあ、ルシフェルが話しかけるのを待っていようか。

 でも、私ももうハンバーグランチを食べ終わってしまったので、手持無沙汰だな。

 どうしよう……


 そんなことを考えていたら、空気を察したてくれたのか、ルシフェルが食べ物を頬張りながら、話しかけてくれた。


「……心配した」


 目線は合わせてくれない。ルシフェルは一心不乱……を装ってるのかな?ただひたすら食べながら、ぼそっと言った。

 私はそんなルシフェルに、俯きながら、でも心を込めて謝った。


「心配かけて、ごめんなさい」

「いや、いい。でもさ、今日の朝一番の授業がエイデン先生の武術の授業で、それが大変だった。授業の始めに、事件についての一連の流れや、注意事項とか話してたんだけど、それがまあ、暑苦しくて、暑苦しくて」


 ルシフェルは、やれやれって感じで愚痴をこぼし始めた。

 でも、その愚痴すらも、何だか聞いてて楽しい気持ちになってくる。きっと、いつもの日常だからかも知れない。

 こういう何気ない会話をしてくれる、そんなルシフェルの優しさに、私は感謝した。


「『悪魔に魅入られるなど、たるんどる!』とかなんとか言い出して、そりゃああんたは性格超前向き過ぎで、光MAX、光の一族も顔負けってほど猪突猛進でさ、悪魔なんて近寄ろうともしないに決まってるけど。

 でもあれ猪突猛進すぎて、絶対に後ろを振り返ったことないな、首も前か上しか向けなくてさ、後ろか下を向こうもんなら激痛でも走る仕組みになってんだよ、リアルに可動範囲が狭いに違いないな、絶対」


 そんなことを面白おかしく話してくれるルシフェル。

 ルシフェルの話、相変わらず面白いな、思わずクスって笑ってしまう。


「でも、あんなに光の魔力強かったら、実はうちと親戚繋がりとかあんのかな? でも、あんな親戚のおじさんいたら、付き合い大変じゃね?」

「ルシフェルは、相変わらず楽しいですね」

「ソフィー、他人事だと思ってんじゃね? ソフィーもボールドウィン侯爵家の養女なんだから、つまりもしホントにうちの親戚なら、ソフィーの親戚でもあるってことじゃん。っつうわけだからソフィー、親戚づきあい、マジで頼むわ」

「いや私、それは無理です。そもそも夕日に向かって走れないですし」

「なんか、とっておきの闇魔法とか、ないの? 夕日が出たら、豪快に闇が広がって、夕日を隠したりとかさ」

「聞いたことないですけど、闇属性魔法は進度が早いから、今度クラウス先生にお伺いしておきます……って、エイデン先生、そもそも親戚じゃないよね?」


 私たちは、思わず噴き出して、笑いあった。

 でも、それがあまりにいつものボールドウィン侯爵家の日常で、私はとっても懐かしく、思わず涙がこぼれてしまった。

 私は、こっそり悟られないように涙を拭いたんだけど、ルシフェルにはバレちゃったみたいで、無言で私の頭を、ぽんぽんとした。


「……俺んとこにも、メイドから話来てたよ」


 そうか、ドミはルシフェルにも伝えてくれてたんだな。本当に、出来過ぎのメイドだ。


「で、兄上とさっと打合せして、兄上がソフィーを助けに行って、俺が悪魔や魔物を倒すことになった」


 光の一族の剣は、特に悪魔には強いから、そちらを任されたんだな。

 大変なことをさせちゃったな……ルシフェルは、下級悪魔に変貌後とはいえ、同級生を切らなければならなかったんだよね……


「ルシフェル、ホントごめんなさい。そして、助けてくれて、ありがとう」

「いや、俺も悪かった。ソフィーのこと、何か困ったことあったら、いつもみたいに話てくれるだろうとか、軽い感じでずっと思ってたから。兄上は学年も違うし情報が入り辛いんで、俺がもうちょい注意しとくべきだったと思う……ごめんな」


 そう言って、悲しく微笑むルシフェル。

 ルシフェルが、こんな風に笑うのは、初めて見た。

 時々怒られて、しょんぼりしているのは見たことあるけれど、なんか、心を痛めているのが分かったので、私はとても胸が苦しかった。


 こんなに天真爛漫なルシフェルに、こんな顔をさせるなんて、私は、義姉として本当に失格だな……


 私は、あまりに情けなくて、合わせる顔がなくて、もう、俯いてしまった。


「ううん、ルシフェルは、謝らないで下さい……」


 私は、それだけ言うのがやっとだった。

 ルシフェルは、少し私が暗い感じになってしまったのを察したのか、さらに話を続けた。


「それでさ、エイデン先生の話に戻るんだけど、エイデン先生もソフィーのこと、心配してたんじゃないかな、あれ。ちょっと分かりづらい感じではあったけど、ソフィーになんかあると思ったときは、いつでも授業を抜け出せって言ってた」


 そうか、エイデン先生にも、心配かけちゃったな……


「で、急ぎの場合は、『壁を激しく突き破って急行するのが男だろう』とか言い出して、しまいには、『男子たるもの』とかいう意味の分かんない説教話を大声で初めて、皆んなマジで、ちんぷんかんぷんだった」


 え、エイデン先生、相変わらず通常運転だな。

 でも、そういう話題を振ってくるところが、またルシフェルの優しさなんだと思うけど。


 私は俯いていた顔を上げ、思わずクスクス笑ってしまった。

 すると、ルシフェルも、私の笑いにつられて優しく笑う……っていうか、ルシフェルはいつも、ニカって感じで笑うから、こういう笑い方もできるんだなって思った。


 でも、私がいつもの明るいルシフェルじゃない感じにさせているのは分かっているので、申し訳ないなと思いつつも、でもルシフェルのいつもとは違うイケメンさに、私は思わず見惚れてしまっていて……

 ……

 って、あれ、私、いつの間にか、いつもの調子に戻って来たかもしれない……?

 私の脳内イケメンレーダーが反応し始めたということは、これは復調の兆しと思って、間違いないんじゃないかな?


 って、ルシフェルに見惚れつつ、思わず自身の復調の兆しに手応えを感じてしまった。

 すると、ルシフェルの話題はいつの間にか養母様の話になっていた。


「そうそう、俺、昨日授業終わってから母上に急遽呼び出されてさ」

「え、どうしてですか? 怒られること、何かしたの?」


 私の発言に、ルシフェルは私の頬を軽くつねった。


「……お前の、事件の詳細を説明しに来いって言われたの」


 あ、ごめんなさい、今めちゃとんでもない失言しました。お勤めご苦労様です。

 私はつねられた頬をさすりつつ(でもそっとつねってたから痛くはなかったんだけどね)、ルシフェルに真摯に謝った。


「ごめんなさい、迷惑かけて……でも、ありがとう。でもルシフェルって、ボールドウィン侯爵家では、そういう役回りもするんですね?」

「まあ俺いちおーソフィーと学年同じだし」


 あ、これはひょっとして、リアルに私の件で養母様に怒られたのだろうか……どうしてちゃんと見ていなかったのか、的な……

 私は恐る恐るルシフェルを見ると、ルシフェルは、困ったように笑った。


「カミナリは、かろうじて落ちてないかな? ソフィーのことは、俺だけに任せていたわけじゃないから」

「……そうですか、それなら良かったです。私からもルシフェルやルーク兄様を怒らないで欲しいって、言っておきますね」

「いや、その必要はないから、あんま心配すんな。それよりも、母上が今度の休みに戻って来いって言ってたぞ? 一緒にお茶しようだって」

「あとちょっとで王立学院も終わり、長期のお休みに入るけど、その前にってこと?」

「うん、早く会いたいんじゃね?」


 そうか、養母様にも心配かけちゃったな……もちろん養母様だけじゃなくて、養父様もきっと、お忙しいながらも心配して下さってるんだろうな……ホント申し訳ない……


「分かりました。必ず参ります。教えてくれてありがとう」


 私がそう微笑むと、ルシフェルはいつものように、ニカって笑ってくれた。


「まあ、母上はある意味笑えるし、大船がなんとかっていつも言ってっから、イヤなことは全部さ、月にぶっ飛ばして忘れちゃえばいいんじゃね?」

「ああ、思い出しました、養母様の月面着陸計画! 悩みを全部、月面着陸? スケールが大きいですね?」

「大きいのはいつもの十八番? なんせノアの箱舟らしいし。きっと、どんな大きな悩みでも乗せられると思う……いや待てよ、今回は悩みだから月面着陸じゃなくて、逆に撒き散らして夜空の星にしてしまうかも?」


 そう言って、ルシフェルはいつもの、ニカって笑った。


 る、ルシフェル、言ってることがロマンチックだな。

 そう言えばエイデン先生も、以前の神体山解放で、

『空にきらめく祝福は、光輝く星のようで、星のように輝く夢を、ひとつひとつ数えてみたくなったな!』

 とか、言ってたような気がする。


 ……何気に二人、やっぱり親戚かもしんない。

 ……あくまで二人だけだけど。


 まあ、イケメンがロマンチックなことを言うのは、いつでもウェルカム大歓迎なんだけどね。

 などと、勝手なことばっかり考えていると、食事を終えたルシフェルが、白いハンカチを取り出した。

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