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闇と光の物語 ~神が人間を創造した理由~  作者: synaria
転生から王立学院一年生
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アドリアーナ先生による極めて特殊な特別試合開始!

「お疲れ様でした。クラウス先生は、次の特別試合では、審判をされないのですか?」

 私は、今ひとりで座ってるのに対してなにか指摘されないかどうかと思い、ドキドキしつつも平静を装いながらクラウス先生に質問する。

 もし、万一なにか仰ったら、『ルーク兄様とルシフェルの勇士を間近で見たかったから』って言うつもりなんだけど……二人をよく見える場所で見たいと思ってここにいるのは事実だし……

 すると、クラウス先生は少しお疲れの様子ながらも笑顔で答えて下さった。

「はい、アドリアーナ先生が、ひとりで充分だと……まあ、私にしてみればアドリアーナ先生の試合は、何が反則で何が反則でないのか……基準が分からないと申しますか……見極めるのも非常に困難と申しますか……」

 と、最後のほうはなんかすごく、言葉を濁された。


 なんかクラウス先生、見る限りでは審判されてお疲れなのや、アドリアーナ先生のこれからを思うといろいろ憂鬱で、私のことを特に不審がるような感じはないような感じがした。

 むしろ私に向けて下さった笑顔から察するに、私がひとりで座ってたんで、気兼ねなく寄ってこれてよかったくらいに思っていらっしゃるような感じもする。

 ならば変に取り繕ったりすることもなく、心配し過ぎずいつも通りの私でいこうと思った。


 それにしてもえっと、『何が反則で、何が反則か分からない』ってところ……ちょっと笑っちゃった。

 だいたい、帯をはだけさせて、もろもろが露わで勝利とか、その設定がそもそも意味不明だもんね。

 まあもちろん、笑ったのは心の中だけだけどね。

 にしてもクラウス先生、凄く返答に困ってらっしゃるので、早い目に話題を変えてあげようと思った。


「先ほどの試合は、なんといいますかその、面白かったなと思います。また、弓や魔法爆弾を実際に使われるのは初めて見ましたので、とても勉強になりました」

「そうですか、それは良かったです。……それにしてもルシフェル様は本当に……あの妙な才能を、良い方向に導くのにはどうすればいいのか……私の研究課題ですね」

 と仰りながら、苦笑いされている。でもどことなく嬉しそうなのは、気のせいかな?

 ルシフェルの柔軟過ぎる発想力は、クラウス先生にとっても魅力なのかも知れない。


 それにしてもクラウス先生、ずっと私の隣に座って下さるのかな? いち生徒の隣にずっと座ってて、大丈夫なんだろうか?

 ちょっと不安になってきてお伺いしてみると、

「大丈夫ですよ。私がボールドウィン侯爵家の家庭教師をしていることはもちろん、王の側近としてソフィー様を見守っていることは、周知の事実ですから」

 と、笑顔で仰った。


 なるほど、そうか。入学式の自己紹介のときは、本当にあっさりしすぎだったので、色々秘匿情報があるのかと思ったんだけど、実はそうでもないのかも知れない。

 でもなんていうか、『モーゼの杖所持者の隣に私がいるのは当然』みたいな顔で隣に座られるのは、ちょっと恥ずかしいよね、うん。

 まあ、はたから見ていて不自然でないのなら全然いい……っていうか、むしろクラウス先生がそばにいて下さったら、私も心ほっとするから、嬉しいんだけどさ。


 ふと視線をアドリアーナ先生に戻すと、逃げ出す男子生徒たちを尻目に、呆れ顔で仰った。

「まあ、肝心な時に怖気つくなんて、意気地のない殿方たちですわね。肝心なときに腹をくくれてこそ男なのに……まああたくしは、腹をくくるのではなく、殿方にこの帯を、解いて頂きたいのだけれど」

 そう言って残った男子生徒にウィンクして見せた。

 ちょっと、色っぽすぎますけど!?

 男子生徒たちは硬直して動けない。

 私は思わずクラウス先生に尋ねた。


「あのう、アドリアーナ先生は学校の先生なのに、その、あんなにエロ……いえ、色っぽい露出度が極めて高い装いで、しかもあのように男子生徒を挑発? 誘惑? とかされて、その、いいのでしょうか?」


 私のその質問に、クラウス先生は困ったように仰った。


「私もいかがなものかといつも思っているのですが、あれがアドリアーナ先生の指導方法なのです。また同時に、彼女の強さの秘密でもあります」

「え、あれが強さの秘密?」

「はい、自身の性欲をピークにまで持ち上げ魔力を溢れんばかりにしてから自身の魔力の器を広げ、魔力量を大幅に増やすということを日常的にして、既にあの若さで、あれほどの強さを誇る騎士になりました」


 ……驚いた。魔力量を増やすにも色んな方法があるもんだ。


「で、その方法を男子生徒にも、身をもって示し、指導しているのです。アドリアーナ先生自身の美貌と肉体、極めつけは……まあ、言葉攻めまでも用いて、男子生徒を誘惑し、生徒たちの性欲をピークに押し上げ、自身でその欲情を抑え、魔力の器を広げるよう指導、男子生徒たちの魔力を大幅にあげているのです」


 私は驚きつつも、それでもためらいながら、恐る恐る聞いてみた。


「……それでも、そのう、あれほど魅力的な先生なのですから、中には我慢できない男子もいるのでは……」

「一応あれでも加減をされてるそうですが、もちろん、いますよ。ですのでこの後神体山に行き、溢れんばかりの魔力を魔力奉納という形で処理して来られると思います。多分今日はエレガンドゥード山じゃないですか。聖具の宝帯を手に入れた場所、先生にとっては聖地でしょうしね」


 ……ちゃんと溢れんばかりの性欲が、有効活用されるんだな。


 私は関心して聞いていると、クラウス先生は苦笑いしてさらに仰った。

「信じられないような方法ですけど、実は本当に助かっていたのです。特に七ツ山全てを悪魔に乗っ取られていて、神体山に魔力奉納する方法が、転移陣にある凱旋門から間接的にしかできなかった時、本当に魔力逼迫が深刻で、我々も魔力奉納し貢献してはいましたものの足りているとはとても言えず、アドリアーナ先生の、その、性欲系?魔力奉納には、実はとても助かっていたのです」


 ……愛は地球を救うならぬ、エロが世界を救う的な世界軸が、ここにあったんだな。


「それでもなお当時は緊迫した状態でしたから、アドリアーナ先生がいなければ、世界はさらなる魔力枯渇で大変なことになっていたかも知れません。ですので、あの指導方法に難癖をつける人は、いません」


 まあ、それで世界が救われたというのなら、難癖はつけ辛いだろうな、とは思う。


「それに、魔力の器を広げて魔力量を増やす方法は、光系の思いやりや慈しむ気持ち、明るく前向きな気持ちを育てることで増幅という方法や、闇系は苦行、困難、嫉妬、我慢を乗り越え器を広げていく方法などありますが、その中に性欲が入ってないというのもそもそもおかしいわけです。人間が持っている、自然な気持ちの一つですから」

 クラウス先生は苦笑いして仰った。

「おかげでご覧のように、やりたい放題ですけど」

 私はアドリアーナ先生を見た。意気揚々とし、笑顔も体もはちきれんばかりだ。


「ですが、アドリアーナ先生にとっては、世界のため、生徒のため、ご自身の強さのためというより……むしろこれが先生のご趣味、生き甲斐のようにも見えます」

「ええ、私もそう思います」

 私たちはお互い、どうしたものかなあ、いいんだか悪いんだかなあ、という微妙な気持ちで顔をつくろい、でもとりあえず、微笑みあっておいた。


「真正面から熱い思いを、あたくしに、全力をもって、ぶつけてくるのですわ! その激しさとギラついた目で、あたくしを熱くさせて!」


 アドリアーナ先生に視線を戻すと、もの凄いことを仰っている。


 ……聞いているほうが、恥ずかしくなってくるな。


 そして戦いは既に始まっていて、男子生徒たちは果敢に攻め込んでいた。


「ああ、正面突破で強引に押してくるのもステキですわね。でも、せっかく何人も殿方がいるのですもの、様々なヴァリエーションであたくし、攻め込まれたいですわ」


 アドリアーナ先生の宝帯は後ろで成人式の着付け帯のような豪華な飾り帯で、そこから何本も帯が出て、帯が生徒たちを抑え込み、なかなかアドリアーナ先生の近くまで近づくことができないようだ。先生は手に持つ剣を持て余してるように見える。

 宝帯がなくて剣だけでも強かったのに、宝帯を得た今、所詮生徒たちのレベルでは複数人いても手も足も出ないのだろうか。


「いったいどなたがあたくしの宝帯に真っ先に手をかけて下さるの? 帯は、殿方に解かれるためにありますのよ」


 ……いや帯は、着物を着るためにあるんだと思うよ? しかも宝帯は、戦うためにあるものだと思っていたのだけど。


 そんなことを思っていると、一人の男子生徒が剣に宝帯を絡ませて引っ張ると、後ろの飾り帯が解け始めた。


「よし!」

「でかした!」

「後に続け!」


 男子生徒たち、全員剣に宝帯を絡ませ、引っ張り始める。みるみるうちに飾り帯の形が崩れていく。


「ああ、このままではあたくし、本当にあられもない姿に……いいわ、とてもいいわ」


 恍惚とした表情で体をよじりつつ、いよいよ色々なものが露わに!?っていう瞬間、持っていた剣でスパっとた宝帯を切った。

 宝帯を引っ張っていた男子生徒たちは、反動で飛ばされる。生徒たちは地面にたたきつけられて、表情が苦痛に歪み、とても痛そうだ。


「ですがあたくし、もっともっと楽しみたいわ。解かれるのもいいけど、今あたくしがしたように、帯を切って下さってもいいのよ」


 一瞬のうちに宝帯は最初の豪華な飾り帯の状態になっていた。聖具宝帯は変幻自在のようだ。まあ、あれだけ帯を四方八方投げてるわけだしね。

 またアドリアーナ先生は夢見心地でうっとり息を吐きながら言った。


「……そう、あたくしの目の前まで来て、衣ごと帯を切ってしまう……なんていうのは、どうかしら?」


 そう仰りながら、妖しく微笑まれるアドリアーナ先生。


「宝帯を解かれたいのはもちろんですけれど、でも、一番解かれたいのは、この、身にまとっている衣ですのよ? 女心が、お分かりになるかしら?」


 何を仰ってるんですか、アドリアーナ先生? そんな女心、私にはちっとも分かりません。


 と内心ツッコミを入れていると、先生の言葉を聞いたか聞かずか知らないけれど、倒れていた男子生徒たちがヨロヨロと立ち上がり、後ろにまわり、三人がかりでアドリアーナ先生を、後ろから羽交い締めにした。

 後ろを押さえたからか、飾り帯が攻撃に出てこない。二人の生徒が両肩を、一人が帯を押さえている。


「ああ、とてもいいわ……さあ、早く、前から衣ごと、切っておしまいになって!」


 すると、アドリアーナ先生の後ろで羽交い締めにしている帯担当の男子生徒が、顔をどことなく赤らめながら、言った。

「お、帯がうごめいている! 一人じゃ押さえきれない!」

 肩担当の生徒たちも、やっぱり顔を赤らめながら言う。

「両肩二人じゃ無理だ! 両腕も抑えてくれ!」

 すると、別の男子生徒たちがすかさず手助けに入り、アドリアーナ先生を押さえつけるのに、帯二人、両肩二人、両腕二人となった。


 そして、残った男子生徒は、あと二人。

 その二人は真剣なまなざしで、剣を構えた。


「ああ、もっと、もっときつく捕まえて! ……痛いくらいが、丁度いいの……」


 アドリアーナ先生のあの仰りよう、本当に、ハレンチ極まりないです。


 先生羽交い絞めチームの男子生徒たちは、赤らむ顔を、さらに赤らめた。なんかスクリーンで時々アップになるんだけど、ある男子生徒は涙目だし、ある男子生徒は鼻息荒いし、別の男子生徒は、口震えてるし、また別の男子生徒はのどぼとけが”ゴクリ”って動いてるし……まあ、ヨダレを出している男子生徒がいないだけ、マシかな? 汗と紛れてよく分かんないだけかも知れないけど。


 それにしてもまあ、羽交い絞めチームの男子生徒の皆さんたち、よく頑張って耐えてるなって思う。同じ女性である私ですら、目のやり場に困るというのに、

 帯担当の男子たちは、ぷりんと美尻曲線を目の前にして、

 両肩担当の男子たちは、こぼれんばかりの胸の谷間を目の前にして、

 両腕担当の男子たちは、巨乳と美くびれを目の前にして、

 トドメがアドリアーナ先生の、”痛いくらいが丁度いいの”的な、殺傷力ある言葉攻め。

 あれ、色んな意味で、苦行の極みなんじゃないかなって、心から思った。


 あの剣をかまえた男子生徒二人は、羽交い絞めチーム男子生徒の皆さんを、アドリアーナ先生の妖艶攻撃から解放してあげることができるのだろうか?


 私は、剣をかまえた二人の生徒を見た。


 剣を向けている二人のうちの一人は、一歩下がっている。これはひょっとしたら、万一宝帯が飛んできたときに、攻撃を払う補佐役を担っているのかもしれない。


 そしていよいよ、衣と帯を前から切る担当らしき男子生徒が、アドリアーナ先生をじっと見据えて、言った。


「先生、お覚悟……ご無礼致します!!」


 男子二人は、アドリアーナ先生に突進して行った。

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