表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇と光の物語 ~神が人間を創造した理由~  作者: synaria
転生から王立学院一年生
48/456

対抗戦が始まった!

「今年の対抗戦は、あたくしが取り仕切ることになりましたわ。例年通り、命に係わると判断された場合は、その生徒を棄権させる権限は審判が持ちます、ご注意遊ばして」

 と、色気たっぷりでご挨拶される。

 最初の注意事項を仰ってるだけなのに、そんなに色気振りまく必要、あるのかな?

 でもまあ、それは通常運転としても、張り切ってるっていう噂をどこかしらで聞いたから、目がヤル気で満ち満ちているな。宝帯を手に入れたばかりで、その試運転兼ねてるのかも知れない。きっと、使いたくてうずうずされているのだろう。

 でも、特別対決って、いったいどんなだろう?

 興味はあるというか、怖いもの見たさで見てみたい気がするんだけれど、でも、見ないほうがいいような気もして、乙女心は複雑だなあと思う。


 ちなみに、ここ数年の対抗戦のコンセプトは、魔力枯渇で依然王族に不満を持つ他領地があり、そこが攻めてくるかも知れないので、それを防いだり、抵抗し追い返したりするための予行演習を兼ねた対抗戦だそうだ。

 まあ、今は神体山を二つ解放したので、少しはマシにはなってきてはいるのだけど、まだ魔力枯渇が激しいのは確かだし、不満に思っている領地も確かにあるかも知れないな。


 とは言っても、王都を攻めたとして、どうにもならないとは思うけれど。


 『神託の間』に入って『神の御意思』が聞けるのは、王様になった人のみって聞いてるし、神様の御意思が聞けないんじゃ、魔力奉納もままならないだろうし、意味ないんじゃないかな?

 それか、王様を武力で脅して、神の御意思も無視させて、自分の領地を優先的に魔力奉納させろとか、そんなことってできるのだろうか?

 それとも他領地の人は、王様しか神の御意思を聞けないの、知らないとかも、あるんだろうか。

 もしくは、どっちにしろ魔力枯渇でジリ貧で、滅びゆくならまず王都からみたいな、ヤケクソな感じで攻め入ったりとかあるのかな?

 世の中には破滅思想の人、いるもんね。


 さらにアドリアーナ先生は、挨拶を続けられる。

「また、対抗戦で勝ったチームは、あたくしとの特別対決を企画しておりますの。ぜひ楽しみにして下さいませね」


 ……うっ、あの仰りよう、さらに色気が増した気がする。


 なんか、仰るには、勝ったチームが参加できる特別対決っていうの、どうやら男子限定らしい。


 ……なぜに男子限定なんだろう??


 で、希望者のみなのだそうだ。”ヤル気”のある男子の思いを、全力で受け止めたいという。


 ……正直、なんのこっちゃって思う。


 クラウス先生をよくよく見たら、こめかみを指でぎゅって押してらっしゃるな。きっとよくないことが、起こるのだろう。私は観戦のみではあるけれど、一応覚悟しておこう。

 アドリアーナ先生との特別対決の勝敗は、時間内にアドリアーナ先生から宝帯を剝ぎ取るか、アドリアーナ先生が戦闘不能に陥った場合は男子生徒たちの勝ちで、時間内に宝帯を剥ぎ取れなかったり、男性生徒たちが戦闘不能に陥った場合は、アドリアーナ先生の勝ちだそうだ。


 ……帯を剥ぎ取るとか、いったい何の試合だろう、これ??


 他領地が攻めてくる云々は、一切関係ないように、私には思うんだけどな。

 っていうか、聖具って奪えないと思うよ?

 よく分かんないなあって思っていると、胸元がこぼれんばかりのアドリアーナ先生が、溢れんばかりの高揚感で言った。


「あたくしの帯を剥ぎとって、あたくしの全てを露わにする勇者が現れるのを、心待ちにしておりますわ」


 なるほど、帯を剥ぎ取るっていう体で、ようは、色々はだけて露わにすれば、男子生徒の勝ちだそうだ。


 ……なんちゅう試合なんだ、ホント??


 当のアドリアーナ先生はというと、心なしか両手で胸を寄せて、谷間を強調してるように見える。あれは男子生徒たちにとって目の毒ではないだろうか。いや、目の保養が正しいのか?


 それにしても勇者って、この世界の勇者の基準がわかんないな。まあ、先生なりに、特に男子生徒のやる気を、”勇者”に見立てて引き出そうとしているのかも知れない……分かんないけど。


「もちろん、負けたチームには罰則もございましてよ。こちらも男子生徒のみですが、私のこの愛帯で、日が暮れるまで縛り上げて差し上げます」


 全員の女子と少なくない男子たちが恥ずかしそうに真っ赤にして俯いている。

 中には恍惚とした表情で妄想にふけってそうな男子や目をギラギラせている男子、顔真っ赤で息を荒くしてる男子もいる。

 呆れてため息をついてる男子もいるな。ルーク兄様はその一人だ。

 ルシフェルはというと、面白いことが起きそうだって感じで、ワクワクした表情だ。


 でもまあ、あんなグラマラスでハレンチな恰好の女性は、アニメの世界では通常運転、特に異世界ものでは作品内に一人は必ず、複数人いる場合もよくあったけれど、前世の現実の世界では、あのようにこぼれんばかりに胸を出して、日常生活を送る女性は見たことなかったな。さすが異世界、転生しても、その設定は変わらないらしい。


 ところでアドリアーナ先生はどうして特に男子生徒を熱心に指導?するのだろう。ご自身の趣味が相当入っているような気がするんだけど、あれは指導的に大丈夫なんだろうか?

 クラウス先生は、今もこめかみを指でぎゅって押してらっしゃるし、前の神体山解放後でも『あとで、知ることとなります』みたいなこと仰ってたんで何か事情をご存じだろう。あとでクラウス先生に尋ねてみようと思う。


 生徒たちからは多くのどよめきと、極一部の男子生徒からは歓喜の声もあがった。

 ルシフェルは、他の男子生徒をこづいて「あんなのお前にとったら罰に入らない、むしろご褒美じゃん。よかったな」と激励している。


 その男子生徒にとっては、勝っても負けてもおいしいのだそうだ。


 最初この対抗戦を聞いた時、命にかかわることはないと思うけれども、危険ではないだろうかととても心配していたんだけど、今では別の意味でとても心配だし、危険なのではないかと思い始めた。



 いよいよ対抗戦が始まる。

 どうやら主審はクラウス先生のようだ。試合開始の合図のために、ロッドを出される。

 おお、クラウス先生がロッドを持たれるのは初めて見た。スゴク新鮮だ。

 基本武術系の人は武器を携行するから、ロッドは邪魔になるとかで使われないことが多く、クラウス先生もそのひとりなんだけど、今日は審判っぽくするために使われるのかな。

 ……まあ、審判っぽくっていうのは、単なる私の感想だけど。

 ひょっとしたら、戦闘不能の生徒を助けたりするのにも、ロッドのほうが便利とかもあるかも知れない。クラウス先生、一応帯刀はされているけど、今日使われることはないだろうし、特にロッドが邪魔ということもないのだろう。


 クラウス先生は、ご自身の口の前にマイク用の魔法陣を出し、

「はじめ!」

 の号令と共にロッドから光が天井に打ち上げられ、花火みたいに光がパッと弾け、闘技場に広がった。

 それが、試合開始の合図のようだ。

 試合終了の合図もあんな風にロッドの光で合図するのかも知れないな。「試合終了!」の声と同時に視界にも光の終了合図が見えたほうが、分かりやすいと思う。周りが聞こえないくらい熱中してるときって、実際あるしね。

 主にそれは、私がマンガ読んでるときに、そうなるのだけど……


 号令と光の合図と同時に試合は始まった。

 ルーク兄様とルシフェルは同じチームだ。

 正直言って、身びいき抜いても二人が一番目立っていると思うな、うん。

 ルーク兄様に向けての黄色い悲鳴……いや、声援も、闘技場中スゴイ響いてる。本当にめちゃカッコいい!


 で、クラウス先生がファイフの時間にちょろっと教えて下さった例のモニターのようなものにも、試合の様子が映し出されていた。確かに仰るように、白い壁には鮮明に、映像が映し出されている。時々スクリーンにどアップになるルーク兄様とルシフェル、真剣な表情が、ホントステキすぎる!

 私は、裸眼とスクリーンと両方を駆使しながら、二人の雄姿を目で追った。


 前衛にいるルーク兄様は果敢に相手の前衛と剣を交わらせている。一人で数人相手されているところを見ると、敵にもマークをつけられるほど強いようだ。

 でも、数人がかりでもまだ余裕があるように見える。さすがルーク兄様だ、ステキ過ぎる。


 そんなルーク兄様の雄姿に見惚れていると、その近くでルシフェルも頑張っていた。

 相手にしているのは同じ一年生。ネクタイが赤なんで一年生だと分かる。一年生がこの試合に出られるというのは先生のお墨付きで強いということだ。

 どこかで見たことあるような顔だと思ったら、そう言えば先日のエレガンドゥード山の神体山解放のメンバーにも選ばれて、一緒に来ていたように思う。一年生で神体山解放のメンバーに選ばれるということは、実力はなかなかのものなのだろう。

 でも私の闇クラスにはいない生徒だ。ということは、光クラスなんだろうなって思った。

 そして、ルシフェルとも仲良さそう? なんか、口汚く罵りあいながら、互いに剣を交わらせていた。


「お前みたいなノー天気で、頭空っぽのやつなんかに負けるかよ!」

「ユーモアのひとつも言えない、強引高慢男は頭の回転も悪そうだ!」

「強引はいったいどっちだ? そのなってない太刀筋、基礎からやり直せ!」

「基礎がなってないのはどっちかな? 言ってることが的を射ないばかりか剣も空回り、おまけに喋りも空回り。剣持つ前に、一般常識からやり直したほうが、いいんじゃね!?」

 と、ルシフェルは相手に嘲笑うかのように言った。


 っていうか、ルシフェルたちのあの声、何気に音声拾ってて、スクリーンのほうからも聞こえてくるんだけど、あれはどういうカラクリになってるんだろう?

 まあ、スクリーンの原理もわからないんで、クラウス先生に質問しても理解できるとは思わないんで、質問しようとも思わないけど。

 にしてもあの二人、あんなに喋りながらよく戦えるなって思う。

 ……ていうかさ、ルシフェルって、人に苦言を呈せるほど、一般常識あったんだ? それは知らなかったな。剣が上手なのは知ってるけど。


 驚きの新発見もあり、皆の戦いから目を離せないでいると、「兄上! 俺、下がるわ!」とルシフェルが言うと、ルーク兄様が「わかった!」と、華麗な剣裁きを披露されながら仰った。

 ルシフェルを後方に下がらせるため、ルーク兄様の指示の元、味方の生徒が上がってきた。それと同時にルシフェルは後方へ。後方に下がったルシフェルは、後方弓部隊になるのではなく、さらに後方に下がっていった。


 それにしてもルーク兄様はまだ二年生なのに、三年生の男子生徒にまで指示を出すとか、スゴイな。

 クラウス先生が仰ってたけど、王立学院一の実力ということなので、その辺は学年ではなく実力で、指揮官が選ばれているのだろう。カッコ良すぎるな、うん。


 で、ルシフェルは何をしているのかというと、何か魔術具か……あれは、魔法爆弾だろうか、魔術具授業の教科書でしか見たことないけれど、そんな形態のものを、弓部隊の人たちに渡している。


「用意できた!」とルシフェルが言うと「よし! 皆いったん下がれ!」とルーク兄様が号令をかけた。


 弓部隊が最初に放ったのは光閃光、目つぶしだ。準備していたルーク兄様たちは、一斉に防御魔法を使って回避。相手チームは不意打ちをくらい、目を開けることができない。


 しばらくして目が慣れてきたところを見計らい、弓部隊第二弾が炸裂した。煙幕だ。

 相手チームは「目つぶしばかりワンパターン! もう効かないぞ!」と言った時、立て続けに弓部隊の第三弾。残った煙を使って見せる、幻影魔法だ。


 で、その幻影魔法で相手チームに見せたのは、王様の姿だった。


 驚いた相手チームは「お、王様!」「王様が試合をご見学に!?」「王様の御前試合だったか?」などと動揺し、慌てて反射的に跪いた。

 日常の習慣は、意思とは関係なく反射的に行動してしまうので、恐ろしいことこの上ないなとホント思う。


 その瞬間を見逃さない弓部隊の生徒たち、立て続けに第四弾が炸裂した。

 相手チーム全範囲にかかるように、超強力ネバネバ糊魔法爆弾を、数人がかりでスピード射撃だ。

 跪いている相手チーム、足が床にへばりついて立つことができない。必死で立とうと床に手をつくと、その手も床にへばりつく。

 結局相手チーム全員ほぼ四つん這いとなり、右往左往していた。

 それを見てルシフェルは、指をさして大笑いしている。

 ルーク兄様は、さすがに少し申し訳なさそうな顔をされていた。

 そして審判のクラウス先生が、半ばあきれ顔で、ルーク兄様チームの勝利を認め、


「試合終了!」


 と高らかに宣言された。


 同時に、ロッドで光を天井に打ち上げられる。その光は、試合開始の合図と同じように、花火みたいに光がパッと弾け、闘技場に広がり、試合終了の合図となった。


 確か、この試合は他領地が攻めてくる設定の模擬試合という側面もあると聞いたけれど、これらのことが、実戦で使えるかは甚だ疑問だなあと思った。試合の意味、あったのかな?

 いや、あったのだろう、少なくともルシフェルにとっては。

 意気揚々と相手チーム前衛にいたお友達?の男子生徒に声をかけた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ