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闇と光の物語 ~神が人間を創造した理由~  作者: synaria
転生から王立学院一年生
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壇上にいるの……誰!?

 そんな感じで、新しい制服にウキウキ気分でいると、優秀なドミは、すぐさま私が座る席を見つけてくれた。そして、「私は後ろで待機しております」と言って、下がって行った。私は座りながら辺りをキョロキョロすると、向こうのほうにいるルシフェルと目が合った。

 ルシフェルは声には出さないけど、いつもの、右手の人差し指と中指をおでこのところに持って行って、”チャッ”ってする挨拶を、私に向けてきた。


 カッコいい~! ルシフェル、制服、めちゃ似合いすぎてる!!


 私は満面の笑みで、手を振り返した。

 なんか、男子のジャケットは、女子よりも裾っていうか、丈が長くて、さらにスラっとして見えるよ? ルシフェルは小顔でスタイルがいいから、映えるよね~。

 で、いつもならキザだな~ちょっと腹立つって思うところなんだけど、今日はなんと、思わず見惚れてしまった。

 そして迂闊にも、ホッとしてしまった。ホッとするのはルーク兄様の専売特許だったんだけどな。でもなんか、ルシフェルのめっちゃ元気そうな笑顔を見て、私もとても元気をもらっちゃった、ルシフェルにはホント感謝だ。


 王立学院は二クラスあって、光属性と闇属性のクラスに分かれている。パッと椅子を数えてみた感じ、光属性の生徒も闇属性の生徒もだいたい五十人ずつくらいだ。

 基本、王都の貴族のお子さまたちがこの王立学院に通い、他領の貴族のお子さまたちは他領の魔法学院に通うんだけど、他領の学校の生徒たちも、同じくらいの人数なのだろうか。

 ちょっと少ない気もするんだけど、魔力枯渇の問題とは関係なく、ずっと昔からこれくらいの人数なのだろうか。


 それにしても、ルシフェルとクラスが離れたのは寂しいな。魔法は得意な属性で学んだほうが効率いいんで、このクラス分け納得なんだけど、やっぱりちょっと、寂しいなって思っちゃった。ちなみに光属性も闇属性もほぼ均等に持っている貴族もいるらしく、そういう人は、好きなほうを選べるそうだ。ちょっと羨ましいって思った。


 今日はドミも来てくれたけれどさ、授業が始まると、ドミは教室がある区域には来れなくて、メイドさんたちが住んでいる寮に待機になっちゃうから、心許ないよね。前世でも私、友達いなかったから。

 そんなとりとめのないことを考えつつ、生徒たちもほぼ全員集まると、先生と思われる方々が壇上に登られた。


 一番前はおじいさん先生、校長先生とかかな? 見事な白髪で、立派なあご髭も白くて、目もちょっと細めてらっしゃる。眼鏡はかけてらっしゃらないけど、見えてるのかな? 身体強化魔法とか視力強化魔法とか、されてるかも知れないけど。


 その後ろにいるのが、ちょっと何あれ、めちゃ美人で色っぽいよ? 完全に異世界あるあるの、巨乳セクシー系の人物だ!

 ウェービーふわふわロングの髪はハーフアップ、サイドは編み込まれていて少しスッキリして見える。剣持ってるから女性騎士と思われるんで、視界を妨げないようにしているのかも知れない。そして薄い青色の髪色は、淡い波のようにも見えちゃうな。凄くステキな髪だ。そして髪が波なら、赤い瞳は丸い珊瑚みたい? とても可愛いと思う。それでいてセクシーダイナマイトボディだもんね。で装いも、女性騎士風の装いなんだけど、よくアニメで見る感じの、無駄に胸元空いてたり、ミニスカートだったり、異常に露出が激しいのはホント鉄板よね。そんなに露出激しかったら、鎧の意味ないじゃんって、いつも思ってるんだけど、そんなところはもちろんアニメなんで、露出があってもちゃんと守られてるっていう体になっている。あの美人セクシー先生の鎧も、きっとそんな感じなのだろう。


 そしてその後ろにいらっしゃるのが、めっちゃ背の高い、体格のいい男の先生だ。すごい雰囲気ワイルドな感じで、めちゃ強そう。赤銅色の髪っていうのも、その風貌にスゴク合っていると思う。瞳は、青かな…? 外人さんによくある瞳の色っていうイメージだけど、この大柄筋骨隆々先生だと、青い瞳もなんか強そうに見えちゃう。

 そして……


 え……?


 あの壇上に立ってる人……クラウス先生じゃない!?


 私はお目々ぱちぱちして何度もその美形過ぎる先生を見た。

 この世界では珍しい黒に近い紺色の髪と瞳、片眼鏡、そして何より国宝級の美しさ、あのレベルのイケメンが、この世界に、いや、どこの世界にだって、そうそういるわけがない。

 絶対に間違いない。クラウス先生だ。

 すると、クラウス先生は私の視線に気づかれたようで、なんか茶目っ気たっぷりに、軽くウィンクされた。

 ……

 ちょ、ちょっと待って下さい、クラウス先生ってそんなキャラでしたっけ?

 笑顔が眩しくて、もう、直視できないです!

 私はもう顔真っ赤になって、先生から目を逸らし、思わず俯いてしまった。

 ……っていうか昨晩、


『いつクラウス先生にお会いできるかは分からないけれど、先生にお会いできなくて、ちょっとホームシックにかかったこと、面白可笑しくお話してみよっと』


 とか、めちゃマヌケなこと考えてたの、本当に恥ずかしくない?

 お会いできないどころか、すぐお会いできちゃって、『いつかお会いするかって? 今でしょ!』みたいな流行り文句みたいだよ、ホント。


 大体、昨日のお見送りのときクラウス先生いなかったのも、ちょっと可笑しいなとは思ったんだよね。まあ、王様の側近だからお忙しいのかなとは思ったけれど、それでもあれだけ毎日のように来られてたのに、お見送りのときだけいないんだもん。最後の授業のときに、『頑張って下さいね』って激励はされたけれどさ。でも見送りなんて、そんなに時間がかかるものでもないし、ちょっと顔出すくらいしてくれたっていいのにって、実はちょっと、思ってた。


 いやいや、なんかセンチな気持ちになったの、マジで返して欲しいって思っちゃうな。

 ……とは言っても、やっぱり王立学院にクラウス先生もいると思うと、私もとても安心だし、めちゃ嬉しいんだけどね。

 乙女心は複雑だな。

 なんで内緒にしてたのかはさっぱり分かんないけど、それはあとで問いただすことにしよう。


 そして、四人の先生が出そろったところで、白髪のおじいちゃん先生が、口の斜め下辺りに小さな魔法陣を出現させて話し始めた。どうやらあの魔法陣は、拡声機能があるみたいだ。

「主に座学、そして魔法を教えているジョルジュと申します」

 おじいちゃん先生は、ジョルジュ先生というらしい。校長先生なのかな?って思ったけど、そうではないようだ。


 王立学院は、土曜日がお休みらしい。っていうのも、この世界では土曜日が安息日となっているからだ。どうして土曜日が安息日なのかというと、この世界では日曜日の午前中に礼拝が設定されているからだという。前世では日曜日が休みなのが当たり前だったから、なんか不思議な感じがするな。


 そして、入学式あるあるっていうか、入学にあたり心構えみたいなのもお話される。

 王立学院の教育は、魔法や武術はもちろんのこと、特に人格形成に重きを置いているという。というのも、この魔力枯渇の世の中で、魔物の発生率も上がり、人間の貪汚たんお落ちも増え、悪魔、魔界陣営の勢力が拡大、悪循環に陥っているからだそうだ。


 そのあとは、クラウス先生の授業でも教えてもらったことを仰ってた。

 闇系の気持ち、嫉妬、憎悪、絶望など、人間の自然な感情だから持ってしまうことは誰でもあるけれど、嫉妬などは向上心へと変えられるし、絶望なども克服すれば、魔力的にも人間としても器を大きくできるので、闇の気持ちを持ったとしても自暴自棄にならず、前向きな気持ちになることが重要であると説かれたり、あとは、忍耐力を養い、貪汚に落ちないように、悪魔に乗っ取られないようにすることが、とても大事なので、そのあたりに重点を置いた教育を施されるそうだ。

 そしてそれは、昨今貴族の数も減ってきているので、貴族が悪魔に心を奪われないためにも、とても重要なのだという。


 なるほど、生徒の数、少ないなって思ったけど、それが通常なのではなく、やっぱり少なくなってきているのか。


 魔力を持つ貴族でないと、魔力奉納もできないし、土地を肥やすこともできない、海も干からびたままなので、この状況は決してよくないという。

 ちなみに貴族が減った主な理由は、長年に渡って数が増えすぎた魔物や悪魔の討伐による戦死だそうだ。

 また、クラウス先生みたいな結婚適齢期の成人貴族も、この魔力枯渇のご時世で、正直生きるか死ぬかってときに、落ち着いて結婚とかも、考えられないのかも知れない。

 まあ、クラウス先生が結婚されない理由は、私が勝手に推測にするに、激務のせいだと思ってるけど。

 そんな感じで、ジョルジュ先生の挨拶は終わった。


 そして次は、美人セクシー先生だ。なんか、男子生徒の目の色が変わった気がするんだけど、気のせいかな?

「武術の教師、アドリアーナですわ。剣術が特に得意ですの。皆さまを”たぁっぷり”鍛えて差し上げますわね」

 な、なんという色っぽいもの言いだろう? 特に、”たぁっぷり”のところが、なまめかし過ぎると思う。

 鼻血出してる男子生徒とか、いなければいいなって思った。


 そして次はお隣にいる、ガタイの良い、めちゃ強そうな先生だ。ジョルジュ先生もアドリアーナ先生も拡声魔法使われたけど、この先生は使われずに、自己紹介を始められた。

「私はエイデン! 武術を教えている! ほとばしる汗! きらめく太陽! 君たちは無限の可能性を秘めている! 共に夕日に向かって走ろうではないか!!」

 ……全く意味が分からない。汗かいて、太陽が照ってたら、なんで私たちの可能性が無限になるんだろう?

 で、可能性が無限なら、なんで夕日に向かって一緒に走らなければならないんだろう?

 私、武術の才能がなくて、よかったかもしんない。

 いわゆる脳筋っていうのかな、はたから見てる分には、ああいう暑苦しい系は、私がよく見てたアニメのキャラにもよくいたし、面白くて大好きなんだけど、実際に当事者になっちゃうと、正直つきあってられないところ、あると思うんだよね。

 あの暑苦しさで、魔力奉納できないかな? 異常に前向きなんで、光属性が強そうだし、見るからに魔力が豊富そうなんだけど。

 神様、見てるかな? ぜひ魔力奉納には、エイデン先生をいっぱい指名してあげてね。


 そして、最後はクラウス先生だ。

 スマートに無詠唱で拡声魔法陣を出され、話し出された。

「王命により、今年着任したクラウスと申します」

 ああ、王様命令だったのか。以前から先生だったのを黙っていた、というわけではないんだね。

「主に、座学と魔法を担当します。よろしくお願い致します」

 クラウス先生のご挨拶は、至ってシンプルだった。

 まあ、新任の先生だし、他の先生が個性的過ぎるんで、個性を出さないほうが、逆に個性的かも知れないな。

 っていうか、目立つ必要もないんだけどね。

 っていうか、目立とうとしなくても、国宝級の美形なんで、目立たないはずもないんだけどね。

 女子生徒たちが今、ちょっとウットリ見惚れているような気もするな、うん。

 あと、自分が王様の側近であるとは仰ってなかったから、これは他言してはいけないなって思った。肝に銘じておこう。

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