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闇と光の物語 ~神が人間を創造した理由~  作者: synaria
転生から王立学院一年生
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ウルルと再会!

 山頂に着くと、私は一気に安心しちゃって、ルーク兄様の腕とルシフェルの袖を掴んでいた手を離し、「ありがとうございました」って元気にお礼を伝えてから、一枚岩のほうへ歩いて行った。ウルルに会いたいんだよね。時々体力増強を兼ねてクラウス先生と山頂まで来てるんだけど、やっぱりウルルはお子さまに人気で、なんか割って入るの気が引けて、いつも遠目から見ていたから。今日は久しぶりに頭ナデナデしたいな。


 するとルシフェルが、私の後をついて来た。

「ソフィー、何すんの?」

「ウルルに会いたいんですよね、だって可愛いでしょ?」

「言える、あと使い勝手が良さそう。あとで、ウルルをボールにして、キャッチボールしようぜ」

 と言って、いつものようにニカって笑うルシフェル。

 え、えっと、ウルルはボールじゃないよ? まあ確かに、ぴょんぴょん移動するときは、まん丸になるけどさ。相変わらず発想が、突拍子ないな。仮にも精霊をボールに見立てて、キャッチボールしようとか、普通言いませんから。

「えっと、私、球技全般苦手なので、遠慮しときます……」

 と丁寧にお断りしておいた。


 そう言えば、クラウス先生とルーク兄様はどうされたのかな?

 ルシフェルに尋ねると、お二人は、あまり夜に神体山に来る機会がないということで、夜の神体山を少し調査され、昼間とどこか違うところはないか、少し調べられるという。


 お勤め、本当にご苦労様です……。


 クラウス先生なんか、今日は私たちの付き添いと言われているだけだし、本来そんなこと頼まれてもいないのに、どうしてそんなに頑張られるのかな、仕事人間過ぎると思うけど。常にお仕事や世界のことを考えて行動されていて、使命感強すぎで本当にびっくりする。でもこういう方が側近だからこそ、王様も本当に安心して、日々過ごしていらしゃるんだろうな……。


 ルーク兄様もルーク兄様だ。

 光の一族は神と王族を守る剣って習ったけれど、神体山も神様みたいなもんだし、一族の使命を果たそうとされてるんだろうか? 分かんないけど、ご立派だなあと、ホント思う。

 私は少し振り返って、ヒノキのところで何やら話し合っているクラウス先生とルーク兄様を見て、本当に素晴らしいなあって思ってしまった。


 それに比べて横にいるルシフェルと来たら、仮にも精霊であるウルルで、『キャッチボールしよう』、だもんね。

 ルーク兄様とルシフェルが逆に生まれて来なくて良かった、一族のためだけじゃなく、世界のためにも。

 とは言ってもルシフェルはまだ十二歳、お子さまなだけで、ひょっとしたら将来、化けるかもしんないけどさ。

 ああ、そう言えば以前ルーク兄様が、ルシフェルはああ見えて兄様を立てるし、案外繊細なところもあるって仰ってたっけ。

 うん、そうね、ルシフェルのことは、ぜひ将来に期待してみよう。


 そんなことを考えていると、一枚岩の真ん前まで着いたので、モーゼの杖を一枚岩にコンコンって、ドアをノックするみたいにしてみた。

 すると、”呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!”みたいな、前世で昔見たアニメみたいに、ウルルが元気よく姿を現した。

「わあ、ソフィーだ! 久しぶり! 会いたかった!!」

 そう言ってウルルは、私に飛びついて来た。そんなウルルを私は、むぎゅっとして抱きしめる。初めて会ったとき以来だ。最初、岩なのに、ごつごつしてなくて固くないって思ったんだよね。当然今日も、全然固くない。柔らかくて、気持ちいいな。柔らかいのはあれかな? やっぱり精霊はジャンル的に生き物なんで、柔らかいのかな? とにかくまあ、ウルルが柔らかくて可愛くて、本当に良かった、良かった。


「ソフィー、えらい懐かれてんな?」

 ルシフェルが驚いた様子で私たちを見た。するとウルルが、

「だって、ソフィーは僕の命の恩人だもん! それにね、あれからたくさん人が魔力奉納にやって来てね、世界もちょっとずつだけど、魔力満たされて来たよ! だからソフィー、大好き!」

 と言って、私の腕の中でゴロゴロしてる。めちゃ可愛い。お目々ハートなっちゃうな。


「そう言えば、そうだったな。それじゃあ、ついでに俺のことも、好きになれよ」

「「え、なんで??」」


 ルシフェル曰く、ウルルが自分のこと好きになってくれたら、色々遊べて楽しそうだって思ったからだそうだ。

 いやいや、自分の勝手な都合でそんな人……この場合は精霊だけど、精霊の感情を左右できるもんじゃないよ?


 だけど待って、ちょっとだけ妄想してみる。

 もし万一ルシフェルが、こんなおチャラけた感じではなく、真剣な表情で、

『俺のこと、好きになれよ』

 って言ったら?

 その養母様譲りの優れた容姿で、真っすぐ見つめられ、なおかつそんな風にオレオレ感を出されたら、ちょっと、っていうかめっちゃ、トキメいてしまうのでは??

 う、うわぁ、妄想してしまった! めちゃカッコ良すぎる!


 私は顔真っ赤になってしまい、でも何とか誤魔化そうと思い、思わずウルルを豪快にナデナデし始めた。う、上手く誤魔化せてるかな?


 ちなみにルシフェルはというと、一枚岩の明かりだけでは暗いせいもあるのか、私の顔が赤いことには全く気付いてないようで、私のナデナデをよけつつ、ウルルのことを人差し指でツンツンし、遊んでいた。

 そ、そんなにツンツンしてたら、好かれるものも、好かれないと思うけれど。

 まあ、顔が赤いの気づいてないならそれでいい、良かった、良かった。

 私は、ウルルのナデナデ速度を通常に戻し、話しかけた。


「私もウルルとお話したかったんだよね。私も時々来てたけど、ウルルはいつもちびっ子たちに人気だから、声かけそびれてたんだ。いつも頑張ってるよね、ちゃんと見てるよ。いつもホントにありがとう。

 ……でも、ウルルがそんなに頑張ってるからさ、私もウルルの期待には応えたいんだけど、ウルルがほら、最初に言っていたでしょ? 他の神体山の解放、でも、全然まだできてないんだ、ごめんね」

 私が申し訳なさそうにそう言うと、ウルルはあっけらかんとした感じで答えた。

「うん、知ってるよ。全然大丈夫。だって全ての神体山は神様と繋がってるもん」

 つまりウルルが言うには、神様が他の神体山解放の指示を出してないのはウルル自身も知ってるんで、気にしないでってことだった。


 そうか、神体山は確か御神体だったもんな。ウルルって一枚岩の精霊だから、御神体をいつも見守っている精霊っていうポジションなのかな? ちょっと偉いのかも知れない。

 そして、そんな御神体の精霊使ってキャッチボールとか、ルシフェルはちょっと、罰当たりな気がする。まあ、ルシフェルには”罰”っていう概念がないかも知れないけど。


 ついでに神様とコンタクトとか取れるのか尋ねてみると、そんなことは一切できないと言った。連絡は、神様から神体山への一方通行のみらしい。ただ、仮にどちら側からも連絡可能だったとしても、ウルルから神様へ語り掛けることなど、そもそも考えられないそうだ。

 神様は創造主であり、全てのことをご覧になりご存じなので、こちらから何か伝えることなど、そもそも何もないし、恐れ多すぎると、しきりにウルルは言った。


 ふーん、そんなものなのか。あんまりピンと来ないけど。

 そう言えば”神託の間”でも、聞きかじった範囲でだけど、結構一方的っぽいとは思った。それがこの世界での常識なのかも知れない。もう少しこの世界のことが分かって、さらに疑問が生じたら、クラウス先生に質問してみるのもいいかも知れないな。


「他の神体山の一枚岩にいる僕は分身体だから、そっちでソフィーに会えるのも、楽しみにしてるからね」


 ほほう、他の神体山にいるウルルは、兄弟姉妹とかではなく分身体なので、初対面っていうことにはならないのか。

 全然いいのだけれど、もし別人とかなら色違い、サイズ違いがあって、別の可愛さがあったのかな?

 名前も、”ケルル”や”クルル”、”ギルル”など、昔アニメで見たどっかの何とか軍曹みたいな感じで、面白かったかも?って、ちょっと思ってしまった。


 まあ、ウルルも命からがら生きていたわけだし、分身体じゃなければ他の神体山のウルルたちは今も生きるか死ぬかってところだったはず。そう思えば、やっぱりこれで良かったよね。

「私も楽しみにしてる」

 私は笑顔でそう言うと、ウルルはもう寝る時間なのか、「それじゃあソフィー、またね!」って元気に言って、ぴょんと飛び跳ね、一枚岩の中へ帰って行った。

 すると、クラウス先生とルーク兄様が私たちのほうへ向かって歩いて来るのが見えてきた。


「ソフィー様、ルシフェル様、そろそろよろしいですか? 一枚岩の近くは少し明るいので、もう少し暗いところのほうが、蛍がキレイに鑑賞できると思います」

「ソフィー、もう少し山林のほうへ近寄っても大丈夫だよ。さっきクラウス先生と、夜にしか出ない魔物とかいないか調べたけど、何もいなかったから安心して」

 と笑顔で優しく仰るお二人、なんか、辺りがさっきよりも明るくなった気がした。もちろん、お二人の体が発光されている、というわけではない。


 私たちは一枚岩から離れ、ヒノキやハスノハグサが繁茂する山林寄りの、シロツメクサが生い茂るところに座った。

 まだ蛍は出てこない。

 暇になったので、私はまたシロツメクサで花冠を作り始めた。以前来たときよりも、さらにたくさんのシロツメクサがある。私は相変わらずの手際の良さで花冠を作り、皆んなはその様子を見て感心してくれたり、それから私は皆んなの頭の上に花冠を乗せたり、あと色々お話したりして、時間をつぶした。


 クラウス先生も、蛍を見るのは初めてだという。

「なので今日は、とても楽しみにしておりました。父上からお伺いした話では、一万匹の蛍がやって来るそうですよ」


 い、一万匹!? 私の想像を遥かに超える数だな。そんなにたくさんの蛍が来るのか、凄く楽しみになってきた。苦労してここまで登って来たんだ。目いっぱい楽しみたいと思う。


 それにしてもクラウス先生のお父様か。ご家族のお話は、初めて聞いた。クラウス先生の美形はお父様似なのかな、それともお母様似、それとも両方かな? 髪色や瞳の色も、このヨーロッパ風の世界観で、このアジア人っぽい黒に近い色は、とても珍しいと思う。メイドさんや下働きの人たちの中に、茶色系の人は結構いるんだけどね。


 クラウス先生は王様の側近をしていらっしゃるから、あんまりお伺いしても守秘義務とかでご迷惑かなって思い、今まで尋ねたことはなかったけれど、話の流れで機会があれば、ちょっとお伺いしてみたいかも。

 とは言っても、私がじゃあ家族のことを尋ねられてもいいのかと問われれば、前世のことはハッキリ言って、言いたくない……というか、思い出したくもない、忘れたいレベル、いや、全てなかったことにしたいとさえ思うレベルだ。

 なので、私は人から家族のことを尋ねられるイヤさというのを十二分に知っているので、クラウス先生にご家族のことは一切尋ねたことなかった。まあもちろん先生が、私の前世の家みたいな、そんなどーしようもない最低の家庭環境で育ったわけではないっていうのは、よくよく分かってはいるけれど。


 とは言っても、現在の家族、ボールドウィン侯爵家の皆さまのお話なら、喜んでしたいな。

 お優しく楽しくステキな方々ばかりで、エピソードもたんまりあり、尋ねた人すら楽しくさせてしまうくらいだもん。


 ……私も前世のこと、人から尋ねられたい生い立ちなら、よかったな。


 そんなことをぼんやり思っていると、クラウス先生がまさに先生らしく、蛍の雑学とか、私たちに色々お話を始められた。

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