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闇と光の物語 ~神が人間を創造した理由~  作者: synaria
転生から王立学院一年生
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光の一族の家宝『ミサデルミネ』とか、色々なこと

「光の一族のこと、父上と母上に尋ねたら、特に秘匿することもないので、知ってることは伝えて構わないと仰った」

 紅茶カップを片手に微笑まれるルーク兄様は、バックのバラを背景に相変わらずカッコいい。乙女雑誌(っていうのがあるかは分かんないけど)の表紙を飾られたほうがいいと思う。


 光の一族は、神様や王様の剣として、神様や王族を守ることを一番の目的として貴族の中で最高位に君臨している、王族が存在する昔から共に存在する、歴史のある由緒正しき貴族だそうだ。

 ……スゴイとこに養女に来たもんだ、と、改めて思った。王命だか、"神の御意思"とかなんで、誰にも拒否権はないけれど。


 そう言えば、クラウス先生が以前、

『ソフィー様は確かに養女になられましたが、光の一族の血を引きついているわけではありませんので、光の一族ならではの使命を果たすことはできません』

 ってルシフェルに仰ってたのを聞いて、なんぞやそれ? って思い、ルーク兄様にその時尋ねて今に至るって感じなので、ぜひまずその辺りをお尋ねしてみたい。


 なんでも製法は明かされてないものの、光の一族の剣は、他の貴族、王族が使う剣とも違い、極めて特殊だそうだ。そして血の繋がりがないと、その特殊性を生かすことはできず、ただの剣としてしか使えないという。

 どのような特殊性があるかというと、ひと言で言うと、退魔の剣だそうだ。

 普通の剣なら、魔物と下級悪魔しか倒せないけど、光の一族の剣だと上級悪魔も倒せるという。でも、魔王サタンの側近の、神体山を乗っ取っている七大悪魔に関しては、光の一族に代々つ受け継がれている家宝『ミサデルミネ』でないと、倒せないらしい。ちなみに、魔王サタンは、『聖剣』でないと倒せないと言われている。


 『聖剣』に関しては、この世に生きている人たちの中で今まで見た人はいなくて、言い伝えばかりで確かなことは分からないとう。でも、伝えられていることとしては、やはり退魔の剣なので、光の一族が何かしら関係するだろう、とか、『聖剣』が現れるとほぼ同時期に勇者が現れるだろう、とか、なんか色々曖昧らしい。とにかく今は『聖剣』の場所が分からないので、いずれ探しだしたいらしいんだけど、でも今は神体山が乗っ取られて魔力枯渇が酷い状態なので、世界存亡の危機を脱するのがまず先決ということで、今は本格的に『聖剣』を探すということは棚上げされている。


 魔王サタンは『聖剣』でしか倒せないのはとりあえず分かったとして、七大悪魔がこの世に一本しかない光の一族の家宝『ミサデルミネ』でしか倒せないのは、あまりにも心許ないんじゃないかって話をしたら、ルーク兄様いわく、私が持つモーゼの杖や、『モーゼの杖』の兄弟分というか、仲間的扱いの『聖具』なら、七大悪魔は倒せるという。でも、その『聖具』も『聖剣』同様どこにあるのか分からないらしい。


 あと、その『聖具』の中でもモーゼの杖は『救出の杖』『粛清の杖』と言われ、特に『救出』の部分が関係して、神体山を解放できると言われているので、別格にあたるという。『モーゼの杖』は、七つある『聖具』の中で、最も重要なのだそうだ。

 そんな中で突如として『聖具』の中でも一番重要視されている『モーゼの杖』が現れたもんだから、そのときは、王族、貴族の間でこの吉報に湧いたそうだ。

 全然知らなかった。

 まあ、社交界って言うのかな?それに出てないから当然と言えば、当然だけど。

 ちなみに王族は『王家の剣』を所持していて、『王家の剣』で上級悪魔までは倒せるという。


 つまり整理すると、

 下級悪魔や魔物の討伐、どんな武器でも。

 上級悪魔討伐、王家の剣、光一族の剣、聖具、ミサデルミネ、聖剣

 七大悪魔討伐、聖具、ミサデルミネ、聖剣

 魔王サタン討伐、聖剣

 が必要になるそうだ。


 なるほど、ちょっとややこしいな。あと、七大悪魔という名前だし、神体山も七つあるから七大悪魔は七人いると思うんだけど、その七人倒すのに、現在あるのが私の持つ『モーゼの杖』と、光の一族の家宝『ミサデルミネ』だけっていうのは非常に心許ない。

 しかも、モーゼの杖の所持者が私っていうことは、私が七大悪魔、倒すんですか?? って話になってきて、それはもうとんでもないことだ、恐怖でビビってしまう、ホント。

 まあ、この世界に転生してきたし、私が前世で見てきたアニメの主人公は皆んな、なんだかんだで頑張ってるし、同じように私もできる限りのことはもちろんするけれど、一刻も早く、他の聖具、できれば『聖剣』が見つかればいいなって、めちゃ思ってる。で、『聖剣』が出てくるということは、『勇者』も世界に現れる、とか言い伝えられてるらしいんで、事実なら、これホント、さらに期待しちゃうな。


 ちなみに今、光の一族の家宝『ミサデルミネ』を使用しているのは、騎士団長もされている養父様だという。

 『ミサデルミネ』には、ちゃんとした意味があり、”ミサ”が”mission””使命を果たす”という意味、”ルミネ”が光という意味、つまり、『ミサデルミネ』は、”光の一族が使命を果たす”という意味だ。

 スゴイ、どんな剣なのかな、一度養父様の勇士も、見てみたいと思った。


他には、光の一族って貴族で一番位高くて、一族的にめちゃ魔力持ってるけど、光属性ばっかりで、闇属性はひとつもないのかな?って私的に気になることを色々質問してみた。

 ルーク兄様が仰るには、光の一族ももちろん人間なんで、暗い悲しい気分になることもあるし、とくにこのご時世、魔力枯渇で世界中が苦しんでいる中、悩みがひとつもないなんて有り得ないけれど、そんな中でも血筋的に前向きな気持ちになろうと思えるとか、くよくよしても仕方ないなって割り切れるというか、そういう気持ちになり、闇属性にはならないという。

 なんか、わかる気がする。

 私なんかは育ちが育ちで闇が強いせいか、元々の遺伝的問題なのかは分かんないけど、思考がとにかく悲観的だし、知らない間に物事悪いほう、悪いほうへと考えてしまうけど、その真逆のパターンなのだろうなって思った。

 遺伝的に前向き思考で明るく、生まれだけでなく育ちも違うとこうも違ってくるのか。本当に羨ましい限りである。


 でも、闇属性傾向の思考回路が悪いわけではないと、ルーク兄様は言う。

 困難が多ければ多いほど苦悩も大きく、仮に負の感情に流されたり、負の感情が膨れ上がってしまっても、最終的には貪汚落ちすることなく、その感情を自身で処理、解決し、純粋な魔力エネルギーに変え、魔力の器を広げられるなら、魔力量が増えるだけでなく、人間的に器の大きい人間にもなれて、人の心の痛みが分かる素晴らしい人間になれるのでそれは素晴らしいこと、と仰った。

 現にそれで、私はモーゼの杖の所持者になれたのだと思うし、闇属性が強い分、どれほどの困難を乗り越えて来たのかと思うと、本当に心が痛む思いだけれど、でも、貪汚落ちしないで生きているということは、それらを克服できたという証明なのだから、むしろ、ボールドウィン侯爵家の養女として胸を張って欲しいと、励まされた。


 ルーク兄様の笑顔がめちゃお優しく、涙出そうです、ホント。

 あと、魔力量は基本遺伝との繋がりが強いので、魔力量が多いほど、貴族の位も高い場合が多いんだけど、後天的な努力によって、魔力量を増やすことも可能だと仰った。

 光属性なら、明るく前向きで優しい気持ちだったり、ルシフェルみたいに楽観的だったり、闇属性なら、困難や苦悩を我慢し、忍耐力をつけることで、それらの属性を高め、魔力量を増やすことができる。でも、闇属性は、困難や苦悩が自分のキャパシティを超えたらすぐ貪汚落ちするんで、絶対無茶は禁物と言われた。

 ちなみに魔力の器は、自分の中に光属性と闇属性と二種類あるのではなく、どちらの魔力にも変換可能な、純粋な魔力エネルギーとして自分の中で分解し、器に落とし込み、魔力エネルギーを貯めていく。また、魔力エネルギーがこれ以上器に貯められないほど飽和状態の場合は、魔力の器を自身でゆっくり広げていく。


 とまあそんな感じで、困難を乗り越えるのももちろん大切だけど、私は特に光属性を伸ばすためにルーク兄様たちと家族になったので、光属性を伸ばせるよう、一緒に楽しく頑張っていこう、と私のこと”お手々ぎゅっ”して、励まして下さった。

 私を心配されているのかな、ルーク兄様は凄く噛み砕いて丁寧に教えて下さるので、とっても分かりやすい。そして、”お手々ぎゅっ”付き笑顔がとても眩しくて、めちゃ幸せな気持ちで、光属性、そして魔力、現在進行形でアップしまくりだなって思った。


 あとは、先日の魔法の授業で私が闇の防御結界を張ったとき、魔力の器が壊れたり、暴発する可能性があるんで、魔力を吸収する時は気をつけるようにとクラウス先生からご指摘受けたんだけど、普段穏やかに生活している分には魔力が暴発することはないという。説明を聞く限りでは、仮に魔力を魔法などで消費したとして、日々の生活で徐々にMPは回復するけど、MPの値が最大値に来たら、それ以上は上がらない、日常の普通の生活を送る分にはMPの最大値を超えて暴発することはない、というようなことを教えて下さった。

 ルーク兄様が教えて下さることは、クラウス先生の授業で習うことと被る個所はあるものの、光の一族視点、もしくはルーク兄様視点のお話も本当に興味深く、私は真剣にお話を聞いていた。


 あとは、光属性魔法と闇属性魔法の利点と欠点のお話もされた。

「光魔法は『ヒール』とか、治癒系魔法で自分の回復できるけど、闇魔法では、自分を回復することはできないよね。でも、闇魔法は、魔法にもよるけど敵の魔力を吸収することができるから、魔力が足りなくなったときは、本当に便利だよね。光魔法で魔力を吸収することはできないから」

 なるほど。一長一短だなって思った。


 また、光属性魔法VS闇属性魔法では、使う魔法のレベルが高かったり、使用魔力の強い方が、弱い方に大きなダメージを与えられるそうだ。そして、闇属性のほうが強い場合は、光属性魔法の攻撃は全て吸収されてしまうので、光属性魔法を使う際に相手に魔力を補充されたくない場合は、注意する必要があるという。ただ、光属性のほうが強ければ、魔力を吸収されることもなければ、それどころか闇に対して強い攻撃を放つことができるので、やはり、使用魔法のチョイスと魔力量が一番重要だそうだ。

 あとは、光属性と無属性や、闇属性と無属性だと、基本的には光や闇が有利になる。でも、例えば無属性魔法でも魔力量が多ければ無属性魔法のほうが強いので、無属性魔法の魔力消費量が光属性や闇属性魔法の魔力消費量を圧倒的に上回っていれば、無属性の不利も跳ね除けることができるそうだ。

 というわけで、有利をさらに生かすにも、不利を跳ね除けるにも、やっぱり使える魔法の種類と何より魔力の多さはとても重要だと教えてくれた。


「だから、魔力の多いソフィーは、とっても有利なんだよ。そしてまだ成長期で、これからさらに魔力の器、広げていけるし、色んな魔法も覚えていくよね。

 ソフィーは、王命でこのボールドウィン侯爵家に養女としてやって来たけれど、それを超えて、この出会いを神に感謝し、私たちは……私は全力で、ソフィーを守っていく」

 ”お手々ぎゅっ”されていたルーク兄様の手が、さらに強くなる。そして、私を見つめる瞳は真剣そのもので、私はその金色の瞳から、目を逸らせないでいた。


「そうだ、良い機会だ。前から言おうと思っていたけれど……まだソフィーにきちんと礼を言っていなかった。あの時、私の命を助けてくれて、ありがとう。

 私は、今まで男が女性や子供を命をかけて守るものだと思っていたけれど、まさか女の子に自分の命が救われるとは、思いもしていなかった。なので本当に驚いたけれど……でも、とても嬉しかった、心が震えるほどに……。

 だから私はここに誓う、王命とは一切関係なく、私は今後命を懸けて、君を守っていく。ぜひ、そうさせて欲しい」

 そしてルーク兄様は”お手々ぎゅっ”を握り直し、そして、さらに力が込められた。


「嫌だとは、言わせない」


 私のことを真剣な眼差しで見つめる金色の瞳は、少し潤んで、キラリと輝いた。

 いつも優しくカッコいいルーク兄様だけど、今日の力強い瞳は、男の人を感じ、圧倒されてしまって、私は、少しの間があったあと、俯いて、「嬉しいです……」と、ひと言小声で呟くのが、精一杯だった。

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