皆んなで魔法の授業
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先日、私がバリアというか、私の得意な闇属性の防御結界の魔法をマスターしたので、一度皆んなで一緒に魔法の授業もしてみようということになった。
おお、ルーク兄様やルシフェルが魔法使うとこ見れるのかな? めちゃ嬉しい!
クラウス先生が魔法をお使いになっているところは、それはそれは神秘的で毎回見惚れてるんだけど、わりと何度か見ているので、ぜひぜひ今回、二人の魔法、ちゃんと見れるの楽しみにしてようって思った。
でもその前に、できる限り魔力を消費してきて欲しいという。
魔法の練習するのに、魔力がないほうがいいというのは、どういうことだろう? クラウス先生式スパルタ魔法訓練法とかあるのだろうか? 分かんないけど、とりあえずクラウス先生の言う通りにしとこうと思った。
いつもは王宮の魔法訓練施設で魔法の練習をするんだけど、今日はボールドウィン侯爵家の魔法耐性もある訓練場で授業をすることになった。
ここには、一度だけ来たことがある。例のなんちゃって剣の授業のときだ。
黒歴史、甚だしい。
今日の授業で、記憶を塗り替えたいと思う。普通の日常風景に。
ここに来る前に、ドミには私の魔力消費にめっちゃ付き合あってもらいつつ、なんかフラフラになってるみたいだったけどついでに送ってもらい、訓練場に入ると、クラウス先生、ルーク兄様、ルシフェルはもう来ていて、剣の稽古をされていた。来ていた、というより、魔法の授業の前に、剣の稽古が先にあったんだろうなって思う。今までもそうだったから。
私が三人に見惚れていて、とてもじゃないけど声をかけられず、目をキラキラさせて見ていると、先に剣を落としたルシフェルが、私に気づき、「よおっ!」って言って、私のほうに歩いてきた。
相変わらず、おでこのところで右手をチャってするの、カッコいいんだよな。ちょっと悔しい。
そして、それに気づいたクラウス先生とルーク兄様も手合わせを止めて、お二人とも私のほうに歩いて来られた。なので私も歩み寄る。
今日は私の『闇の防御結界魔法を試す会』、ということで、まず、ルシフェルが一番得意な魔法、『サンシャイン』を使ってみることになった。
『サンシャイン』は、空中に小さな太陽を作り発光させて、敵に光属性の攻撃するという。
それにしても『サンシャイン』がルシフェルの得意な魔法って、まんま性格が出てるなって思った。だってルシフェルって、太陽のように明るいもん。
そして一応、魔法の威力は加減してくれるということだった。
クラウス先生に、どうやって魔力の加減をされるのかと尋ねてみると、魔法陣を発動したら、詳細なイメージができるということで、慣れれば調節可能だそうだ。そうやって、自分の魔力消費を調節したりするらしい。魔法陣を発動するからと言って、最大出力というわけではないので、安心して下さいと仰った。
そう言えば、ロッドを使えば色々細かく調節できるとか習った気がする。私はモーゼの杖だけど、いつもイメージ通りの魔法が使えているので、自然と調節できているのかな? まあ、まだ簡単な魔法しか習ってないので、調節も自然とできるのだと思う。
で、ルシフェルは、ロッドを使わないタイプなので、魔法陣とイメージで魔力量を調節するのか。
ちょっとルシフェル、めちゃスゴイじゃんって思った。
ルシフェルが私たちのもとから離れ、位置に着いたことを確認されたクラウス先生、私にモーゼの杖を出すよう促され、「ソフィー様、お願いします」と合図を出された。
私は呪文を唱える。
「テネムルス」
そう唱えると、私の足元にはクラウス先生とルーク兄様を範囲に入った魔法陣が現れ、黒のレースカーテンのような防御結界が張られた。その防御結界は闇属性だからか黒なんだと思うけど、見た目、案外綺麗だなと思う。
「ソフィー様、素晴らしいです。ではルシフェル様、お願いします」
クラウス先生の合図と共に、私の闇の防御結界の外にいるルシフェルが、魔法を唱えた。
「サンシャイン」
空中に魔法陣が現れると、徐々に集まり光の玉となり、クラウス先生の最初の説明の通り、小さな太陽になった。
闇の防御結界の中にいるのに、それでもとっても眩しい。
あれで、敵か魔物か他いろいろ、焦げたりしてなくなっていくのか。ルシフェル、めちゃスゴイなって思った。
「ルシフェル、威力を少しずつ強めて下さい」
その言葉と同時に、小さな太陽の明るさが、さらに増してきた気がする。
「通常『サンシャイン』は、多数の弱めの魔物相手に使う魔法で、強い単体の敵相手には威力的に使わない魔法なのですが、ルシフェル様の『サンシャイン』は凄いですよ。光の一族の血を引いていて、かつご自身の性格というか、性に合った魔法なのでしょうね、強い魔物相手にも通用する上級魔法の威力を持ちながら、かつ、多数に攻撃ができます」
「へえ、それは凄いですね……って、ルシフェル、今それをしてるんですか!?」
「ご安心下さい。私がそばにおりますので、何の心配もございません」
「ソフィー、私もいるから大丈夫だよ。ルシフェルの『サンシャイン』は、見慣れているから」
うう、優しく美しく、そしてカッコ良く微笑まれるお二人。そんな風に微笑まれたら、私もう、何も言い返せませんよね?
まあ、お二人が私のそばにいる限り大丈夫なのは確かだし、心配するのはやめようと思った。
すると、なんだか徐々に自身の魔力量が増えてきている気がした。
クラウス先生は私の異変に気づき、納得された様子で教えて下さる。
「ちゃんと機能していますね。闇属性の防御結界は、敵の攻撃を自分の魔力として貯めることができます。魔力の器の限界が来たら、教えて下さいね。そこで終了しますので」
ああ、だから魔力をできるだけ消費してきて下さいと、クラウス先生は仰ったのか。
ちなみに、魔力の器が限界突破したら、どうなるのかなと思い、先生に尋ねてみると、
「魔力の器を広げられず、闇属性の魔力が自身に持つ器異常に溢れて暴発した場合は、貪汚に落ちるのは以前説明したと思いますが、ルシフェルは光属性ですので、光属性の魔力で暴発した場合は、心が壊れます」
「心が壊れるって、どういうことなんですか?」
「何といいましょうか、症状としては、廃人になったような感じですね。ただ、貪汚落ちを心配するかのように、日常生活で光の魔力を暴発させて、廃人になるという心配をする必要は、特にありません。
人間は基本弱い生き物ですから、欲に塗れたり、酷く傷つけられたり、悪魔の囁きに身を落とすなどして、闇属性の魔力を暴発させ貪汚に落ちるということはありますが、光系の明るい気持ちや優しい気持ち、前向きな心を暴発させたという人間は、私は見たことありませんので。
中には承認欲求が強くて善人になりたがっている人はいますが、それは、あくまで欲なので、自分の欲が満たされず、我慢できなくなったときは、結局は闇属性を暴発させた事による貪汚落ちとなります。
ですので通常の日常生活で気を付けることはありませんよ。光属性や無属性の攻撃を吸収しすぎたときだけ、気をつけて下さい。と言いましても、魔力を吸収し過ぎないように、闇属性の防御ではなく光属性か無属性の防御に変更するなどすれば、むやみに魔力を吸収しすぎることもありません。また今度、他の属性の防御結界も、お教え致しますね」
と、教えて下さった。
ちなみにクラウス先生が、最初に私に闇属性の防御結界を教えられたのは、単に私が闇属性が一番得意だからという、それだけの理由だ。
まあ確かに、クラウス先生が仰るように、世の中優しい人はいるけど、人に優しくしないと生きていけない、死んでしまうみたいな人、見たことないかも。
クラウス先生や、ボールドウィン侯爵家の皆さまは、本当にお優しいけれど、それをしなければ壊れてしまうとか、どっかに落ちてしまうとか、暴発してしまうとか、そういうのは全く感じないもんな。
それこそクラウス先生の仰る承認欲求で、注目浴びたいために人に優しくせずにはいられないという人は、リアルにもアニメでも時々いるけど。
っていうか、別に承認欲求から来る善意でも、もしそれで助かったりする人がいるなら、全然いいと私は思っている。
自分の欲も満たせて他人も助かる、まさにこれぞ、ウィンウィンと思う。もちろんそれが拗れて他人を攻撃したりとなれば絶対ダメだけど、普通欲って自己中だから、人を踏み台にしたり傷つけたりする迷惑かける系の欲のほうが多いんで、それなら他人に迷惑がかからない欲、むしろ他人も助かったり有難く思っちゃうような欲なら、全然いいと私は思ったりする。そもそも人助けするのに、本物の善意しかダメで、偽善で人助けをしてはならないっていう決まりもないしね。
でも中には、私が見たアニメとかでもその承認欲求系の偽善者を、スゴイ嫌っている人が結構いる。
もちろんその偽善者が、偽善が上手くいかないのを腹いせに他人を攻撃したとかなら、嫌われるのも当然だけど、実際に助かってる人がいてウィンウィンなら、放っといてあげればいいのにって思う。
その偽善を非難する人たちは、偽善者を偽善者と非難し、その偽善を止めさせて、その偽善を止めるためならば、その偽善で助かるはずだった人が助からなくなっても構わないとか、そんなこと考えてんのかな?
そんな権利、誰にもないと私は思っている。
どうしても、例え本来、偽善によって助かる人が助からないとしても、自分は偽善者を偽善だと非難し、排除したいと思うのであれば、その偽善によって助かるはずだった人をまず助けてから、その偽善者を非難し排除するのであれば、一応筋は通ってるかなあとは思うけど。
まあとにかく、私が人に優しくしすぎるとか、前向きになりすぎるとか、今まで悲惨な人生歩んできたこともあり絶対ありえないことだし、よく分かんないからとりあえず、善意過ぎるのも、欲深過ぎるのもいけないんだな、くらいに思っておくことにしよう。
「ソフィー様は、そんなに深く考えなくても大丈夫です。それよりも前向きな心を、少しずつ育んでいきましょうね」
そうそう、むしろ私は性格がどっぷり闇だし、魔力も光属性が闇属性よりも苦手ということで、ボールドウィン侯爵家の養女になったんだから、むしろ色々気にしてはダメ。クラウス先生の仰るように、こつこつ前向きに頑張ろうと思う。
っていうか皆さまのおかげで、最近の私はそうなりつつある。
お陰で『ヒール』以外の光属性魔法も少しずつ使えるようになってきた。まあ、ウリエルのお陰もあると思うけどさ。でもウリエルは、私が困ったときしか出てきてくれないような雰囲気、にわかに醸し出してるんで、やはり皆さまのおかげと思っておこう。
そうこうしているとルシフェルがなんと、
「これ以上は無理です」
と言っている。
正直、私の魔力の器はまだまだ余裕があるので驚いた。ルシフェルの『サンシャイン』は、光の一族らしくめちゃ凄いってさっき聞いたところなのに。
クラウス先生の指示の下、ルシフェルは魔法を解き、私も魔法を解いた。
「ソフィー様、驚きました。あれほどの光の魔力を吸収しても平気でいらっしゃるとか、魔力の器の広さが本当に凄いですね。あとどれくらいまだ、余裕がおありでしょうか?」
「よく分かんないんですけど、まだまだ大丈夫な感じはします」
その言葉にルーク兄様も驚いていらっしゃる。相当な魔力だったんだなって思った。
クラウス先生は、さらに質問を重ねられた。
「しかし、魔力の器にも驚きましたが、さらにまだ余裕があるとなりますと、いったいどれほどの魔力を、ここに来るまでに消費してきたのか、想像もつきません。いったいどうされたんですか?」
なんか、一瞬クラウス先生の眉がピクリと動いた気がしたけど、なんか、マズいことでもあるんだろうか。
私は、ここに来るまでにしてきた数々の魔力消費術を、クラウス先生に伝えた。




