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闇と光の物語 ~神が人間を創造した理由~  作者: synaria
転生から王立学院一年生
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魔法陣とファイフ(笛)の授業

 それから私はルーク兄様とルシフェルと一緒に、時々授業を受けることになった。

 数学の授業は、今後もし魔法陣を自作するつもりなら、とても重要になってくる科目なのだという。私はまだ魔法陣を発動しなくてもいい魔法しか習ってないんだけど、高度な魔法になってくると、魔法陣を発動させたほうが良い……というか、そもそも魔法陣を発動させないと、できないだろうという。

 簡単な魔法なら無詠唱、徐々に難しくなってくると詠唱あり、さらに難しくなるとロッド、つまり魔法の杖を使い、さらにさらに難しくなると魔法陣で、という、基本そういう流れらしい。

 よっぽど才能がある人なら、無詠唱で最難関の魔法を、という人もひょっとしたらいるのかも知れないけど、今までそのような人は見たことがないし、何より無駄が多いという。この世界の魔法は、イメージがとても大切らしいんだけど、詠唱したほうが無詠唱よりイメージが湧くし、ロッドを使ったほうがイメージが詳細になるし、魔法陣を発動させたほうが、さらにその魔法のイメージが膨れ上がり、魔法の成功率も上がり、魔力の消費も押さえられるというのだ。なので、簡単な魔法でも、もし魔力消費が心配なら、詠唱してもいいし、魔法陣を発動させてもいいと教えてくれた。

 また、めちゃ急いでいるときは詠唱している時間がもったいないとかで、時間短縮のために無詠唱の練習も、一応したほうがいいそうだ。

 ただ、無詠唱自体とても難しいもので、また自分の得意不得意があからさまに出てくるということで、得意なものだけでいいらしいけど。


 で、私はモーゼの杖があるので、ロッドは要らないという。また、武術系の人たちは、剣や弓とか既に持ってて、これ以上荷物が多くなるとかさばるのがイヤだとかで、あえてロッドは使わず魔法の練習をする人が多いそうだ。

 そう言えばクラウス先生も、ロッドを使ってるところは見たことないな。

 ルーク兄様も、前に私が瀕死の重傷を負ったとき、かけて下さった『ヒール』もロッドは使われなかったし。そもそも携帯すらされてなかった気がする。

 それぞれ皆さん、個性があるんだなって思った。


 で、世の中には凄く奇特な人がいて、この世界にある魔法を全部覚えるだけでも大変だというのに、魔法を自作したいなどと考える人がいるらしい。で、その時に必要なのが数学だという。魔法陣に自分の叶えたい魔法をイメージとして刻み込むのに、緻密な計算が必要とかで、よって数学が必須なのだそうだ。とはいっても、王立学院で学ぶ数学はそこまで高度なものではなく、数学や魔法陣作成の素質がある生徒を見極め、将来研究職に就ける人材を探す程度の数学と仰っていた。

 ちなみに、なんでそんな自分で魔法を作りたいなどと考える奇特な人が現れるのかというと、魔法を使う上で自分の素質や才能、魔力量がとても重要で、知られている既存の魔法を全部使いこなせる人はいないし、自分の使いたい魔法が既存のものでは適性がなく使えない場合、似たような魔法で自分で使えるものを編み出したいなどと考える人が、中にはいるそうだ。

 そして、魔法師団にある魔法陣研究職に就いた方たちは、日々、既存のものを使い勝手のよい魔法陣へと改良を試みたり、最高難易度の魔法陣を作成しようと試行錯誤されているらしい。


 私には、全くもって無用で無縁の科目だなって思った。

 私は今簡単なのしか教わってないけど、充分それだけで魔法少女気分が味わえるし、楽しいもん。

 自分が願ったら、パって杖が出てきて光るんだよ? 超スゴイとしかいいようがない。

 でも、王立学院ではそこまで専門的ではないとしても必須科目なので、勉強しなければならない。とりあえず、クラウス先生の期待を裏切らない程度には、頑張ろうって思った。

 って、思ったんだけど、頑張りすぎたつもりは一切ないんだけど、クラウス先生はじめ、ルーク兄様やルシフェルにも、めちゃ驚かれた。

 っていうのも、この世界では平民は学校に行かないし、文字も読めないのが当たり前だっていうのに、私は中学生前半くらいの数学の知識があり、簡単な計算なら、できてしまうからだ。


「驚きました、ソフィー様。どうしてお分かりになるのです?」

「これは凄いよ、ソフィー。君は将来、魔法陣の研究職に就いたほうがいいのではないかい?」

「ひょっとしたら、ウリエルのご加護もあるんじゃね? おお、大天使ウリエル様! 私にもそのご加護を賜らんことを! テストの時だけでいいんで!」


 これはマズった。簡単な計算なら解いてもいいかって思ったんだけど、よくよく考えたら、こっちの平民が学校に通ってないの、すっかり忘れてた。ひょっとしたら平民が掛け算の九九できたら、もうそれすら、魔法レベルなのかも知れない。

 ルシフェルがちょっと、おかしなこと言ってるけど、まあそれは置いといて、クラウス先生やルーク兄様には何と弁解しよう? 天才か神童かと言わんばかりの驚きよう。魔法陣の研究職って、本当に止めて、絶対向いてないから。


「恐らくルシフェルの言うように、大天使ウリエルのご加護だと思いますが、その神の御業で魔法陣を作成など、神様もお望みではないと思いますし、ですのでそこまでの能力を私に与えては下さっていないと思います。あくまで王立学院の授業で学ぶレベルと思います」

 私はとにかく魔法陣の作成とかなんとかには関わらないでいられるよう、必死に弁解した。

「仰るようにその数学力がウリエルのご加護というならば、確かに、神の御業をみだりに使ってはいけないように思います。神の御力は、与えられた者が使うならまだしも、魔法陣作成などにより他者が使用して良いものなのかは、私にも判断がつきかねますので。

 大天使ウリエルは光で道を示す天使、その方面に光が照らされるまでは、基本ソフィー様は王立学院で学ぶレベルの範囲でよろしいでしょう」

 とクラウス先生は笑顔で仰った。


 めちゃ助かった。なんかイメージ的に魔法陣作成に必要な数学って、大学で専門的に研究するレベル、いや、それ以上が必要な気がしたから。中学前半レベルの私が、絶対にできるはずないもん。

 以前クラウス先生のお話を聞いて、自分を卑下し過ぎず前向きに頑張ろうと思ったばかりだけど、ここは現実を見ていいところだと思う。うん。私の黒歴史である剣の二の舞、いやそれどころか、就職しちゃったら色んな人に迷惑かかるもんね。


 数学の授業の他には、ファイフという横笛の授業もあった。普通に楽器として嗜むことももちろんできるんだけど、魔術具である魔笛を使えば、魔物やゾンビを召喚したりもできるらしい。あと味方しかいないところでのみだけど、そこにいる人たち全員に『ヒール』をかけたりなど、全員に魔法をかけたりすることもできるそうだ。攻撃魔法だと、『プリカティオ』という祓いの魔法なら、ダーク系魔物やゾンビに攻撃でき、味方にはその攻撃は効かないので、良い攻撃魔法になるという。ただ広範囲に魔法をかけることになるので、けっこう魔力消費量が多いそうだ。

 魔物やゾンビ召喚は、マジ怖いって思っちゃうけど、『ヒール』とかはいいよね。美しい音色を聞きながら、心も癒され体も回復、効果高そうって思っちゃった。あと、まだ習ってないけど『プリカティオ』とかいうの、魔力消費量が多いなら、私向きなのかな? でも、ファイフでないとダメってことはない気がする。モーゼの杖のほうが、もう少しピンポイントで使える気がしてそっちのほうが効率いいかも知れない。


 などと、今後私が嗜み以外で武器としてファイフを使うことがあるのだろうかと妄想しつつ、ファイフの練習に取り組んだ。ちなみに私はファイフも得意で、まあ、数学ほどではないにしても、やっぱり皆んなに驚かれた。

「ソフィー様は、本当に何でもお出来になるのですね? さすがに大天使ウリエルに認められ、モーゼの杖所持者になられただけあります」

「ソフィーは耳がいいのかな? 手先が器用なのはシロツメクサの手さばきで知ってるから、相乗効果もあるかもしれないね」

「ソフィーもなかなかだけど、まあ俺もけっこう、得意だけど?」

 と、何故か割って入って来るルシフェル、何かなって思い見ていると、ファイフを口につけて笛を吹くフリをしながら、めっちゃ得意気に鼻歌を歌い始めた。

 低音から高温まで行ったり来たり、いったいどこの超絶技巧かって感じを出しながら。

 私たちは大笑いしながら、皆んながツッコミを入れ始める。

「ルシフェル様、ズルはいけません」

「それだとどんなに壊れたファイフでも、超絶技巧が可能になってしまうではないか?」

「ルシフェルは私よりもよっぽど上手です。見習いたいです」

「ソフィー、残念ながらルシフェルには、イヤミは通じないよ」

「俺の超絶技巧が分かるとは、ソフィーはさすが、耳がいいんだな」

「ソフィー様の耳がいいのは確かなようですが、冗談はほどほどにしてルシフェル様、ちゃんと練習して下さい」

 私たちは楽しく談笑しつつ、和気あいあいとした雰囲気で、さらに練習を続けた。


 確かに私は前世では縦笛が得意だった。耳も良かったのかドレミの音階を教えてもらえれば、けっこうすぐに吹けたタイプだ。

 で、現世でも同じような感じで、最初ドレミの音階覚えるのと楽譜読むのが大変だったけど、最初の曲なので難しい曲ではないのもあり、割とすぐに吹くことができた。前世でいうところの『ちょうちょ』に曲が似てるなって思う。

 私は割と音階を覚えるのは早いんだけど、息の吹き加減とかがイマイチで、綺麗な音とはほど遠く、ルーク兄様から「こんな感じで吹いてみたら」とかアドバイスを頂きながら、練習していた。ルーク兄様は、とってもファイフが上手で、音もしっかり出るし、『ちょうちょ』吹いてても簡単過ぎって感じが凄くした。小さな笛だけど、肺活量とかも関係あるのかな? 分かんないけど。

 クラウス先生はルシフェルに付きっきりで教えているんだけど、クラウス先生のお手本はまあ、どんな美しいちょうちょが舞っているのかしら?ってほど優雅で、思わず聞き惚れちゃった。あ、ついでに言うと、もちろん見惚れてもいる。

 あと、ルシフェルは、多少もたもた感があるものの、時々出す音がなんていうか、時々ハッとするというか芸術的というか、そんな感じがして、その音色、もっと聞きたいなって思ちゃうんだよね。ルシフェルは元々想像力豊かだし、ああ見えてルーク兄様への気遣いとか繊細なところもあって、意外と芸術肌なのかもって思っちゃった。

 本人は芸術よりも、鼻歌歌ったり冗談言うほうが、楽しいかもしれないけどね。

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