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闇と光の物語 ~神が人間を創造した理由~  作者: synaria
転生から王立学院一年生
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ソフィー、剣の才能、スゲー!?

 空地のところに咲いているシロツメクサを眺めながら、そんな昔のことを思い出しつつ、ほぼ山頂に来ると、ルーク兄様とルシフェルの声と、剣がぶつかり合う音が聞こえてきた。

 音のするほうへ顔を向ける。するとそこには真剣な表情で、剣と剣をぶつけ合っている二人の姿があった。


 こんなの見たことない、さすが異世界だ! ただ立っているだけでもカッコいい二人なのに、戦っているお姿は、さらにさらに、カッコいいよ!

 私は目を輝かせて、二人のことを必死に指さしながら、「凄いです、凄いです!」と、クラウス先生に伝えた。

「はい、本当に仰る通りですね」

 とクラウス先生は、私に優しく微笑まれ、

「では、ソフィー様はお疲れでしょうから、少々その辺で休んでいて下さい。私は、お二人に稽古をつけてきます」

 とそう仰って、二人の元へ、走っていかれた。


 クラウス先生、ここまでめっちゃ歩いてきたのに、凄い元気! ……いや、違う、私の体力がないんだった。

 私は、三人の邪魔にならない辺りに座って、イケメンぶりを観察……いや、違った、三人の剣裁きをちゃんと目で見て、いつか来るだろう魔物とかとの戦いのときのために、見慣れておこうと思った。

 クラウス先生ひとりに対して、ルーク兄様とルシフェルが同時に攻撃してる。何が何だか早すぎて正直よくわかんないけど、とにかく凄いのは分かる。あと、クラウス先生は片眼鏡を外して戦われていた。


 ちょっと! 眼鏡ないほうが、イケメンなのでは!?

 いや、戦ってるお姿なので、それが余計にそう思わせるのかな?

 分かんないけど、まあとにかく、めちゃイケメン過ぎる。何でこの世界にはビデオカメラがないのだろう?

 いや、ひょっとしたらそれに似た魔術具はあったりするのかな?

 この三人の剣の稽古は、あまりに芸術的にカッコ良くて、どこかに保存したほうがいいのではないだろうか? 世界遺産として保護したほうがいいレベルなのでは!?

 私は見ながらすっごく感動して、真剣にそんなことを考えていた。

 しかもクラウス先生は、たったひとりで二人を相手にしてるのに、慌てるそぶりなんて全くなくて、なんて流麗な剣裁きなんだろう?

 ルーク兄様とルシフェルだって、十二、三歳でここまでできて、クラウス先生が既に実践レベルと仰るのが本当によく分かる。どっちのほうが上手とかは、全く分かんないけど、どっちもめちゃスゴイっていうのは、本当によく分かった。

 それでも、実際に剣を使っているんで、皆んながケガしないか心配しつつも、剣裁きとイケメンぶりに胸ドキドキ、瞬きするのを忘れるくらいに必死で見ていた。


 すると、ルシフェルの剣がはらわれ、宙に舞い、地面に落ちた。ルシフェルは、一礼し、自分の剣を拾って後ろに下がる。

 私はルシフェルのほうに目を向けると、ルシフェルは私に気が付いて、ニカって笑った。

「よおっ!」

 ルシフェルは、いつものように右手の人差し指と中指をおでこにあてて、チャって感じに動かし、私のほうに向かって歩いてきた。


 おお、お日様の下で見る『よおっ!』は、眩しさ倍増で、これまた一段とカッコいいな。

 水色の髪がさらさら風に揺れて、キューティクルが天使みたい。養母様に似て美しいしのに、それでいてカッコいいんだよね……性格が、ちょっとあれだけど……。

 いや、性格、悪くはないんだけどね、全く。むしろ超楽しいし。私は大好きだけどさ。ただ容姿とのギャップが甚だしいというか、それだけでさ。

 ルシフェルのこと、本当はじっと見てたいんだけど、でもルシフェルはずっと私のほうを見て歩いてくるので、目を合わせるのが恥ずかしいから、ルシフェルのほう、見れないじゃん。せっかく、お外ルシフェルを堪能しようと思ったのに。

 と、密かに残念に思っていると、ルシフェルが私の隣に座った。


「こんなとこにずっと座ってんの、暇じゃね?」

 エメラルドグリーンの瞳がキラキラしてる。お日様の下だと、さらに透明感が増すんだな……。ホント、宝石みたい。

 って、見惚れてる場合じゃなかった。

「全然退屈じゃないですよ。実は、剣の手合わせ見るの初めてで、すごく興味深いです。そして何より、皆んなとってもカッコいいです!」

 私はお目々キラキラさせて言った。

 私の瞳に映るルシフェル、もちろんクラウス先生やルーク兄様もステキ過ぎて、いやあ、イケメンは私の瞳をキラキラさせるんだな、そして、瞳をキラキラさせたいときは、イケメンを見ればいいんだなって、ちょっと勉強になった。


 ルシフェルは、それはまあ当然だなって感じの得意顔で、「どうだ、ちょっとは見直したか?」と言う。

 そういうところが、ちょっとだけ残念なんだよなあ、本当イケメンなのに。まあ、らしいっちゃ、らしいんだけど。

 いや待てよ、だからこそ、イケメン相手でもそんなに恥ずかしがらず、意識せずに気楽に話せるわけだから、まあ、これはこれで、いいのかも知れないな。

「見直すというかルシフェルは、そのままでいいと思います」

 と、私は笑顔で言った。

「ん? ああ、最初っから俺のカッコ良さに気づいてたってわけだな? まあ、隠そうと思っても、どうしても滲み出てしまうから、仕方ないな」

 と言ってルシフェルは、豪快に笑った。


 ……あの、ポジティブシンキングにも、ほどがあると思います。

 いや、気づいてたけどさ、ルシフェルのカッコ良さ、隠そうにも隠し切れないのも分かるよ、そんなにイケメンじゃあさ。

 とりあえず私はひと呼吸ついてから、「さすが、光の一族です。私も見習いたいです」とだけ、言っておいた。


 クラウス先生とルーク兄様の剣の稽古は、まだ続いている。早すぎて、何がなんだか分かんないけど、手に汗握る展開だ。見ててとても緊張する。だって、本物の剣使ってんだもん。

 私はルシフェルに、「見ててドキドキしちゃいますね」って話しかけたら、ルシフェルが言うには、

「普段のお屋敷での稽古では木刀使うことが多いんだけど、外出時は本物の剣を帯刀するんで、そういうときの剣の稽古は、そこまで本気にならないから、安心して見てるといい」

 と、教えてくれた。


 え、あれ、まだ本気じゃないんだ? 全然早すぎて、全く見えないのに?

 っていうかさあ、よく考えたら私、よくもまあクラウス先生に、『剣、持ってみたいです!』って、言えたよね? 体力どころか、動体視力も全くともなってないよ? もう思い出したら恥ずかしいったらない、穴があったら入りたいくらいだよ!?

 せめて先に、この皆んなの剣の手合わせを見ていたら、思い留まったかも知れないのに。

 とほほ……。

 私は顔を赤くし、思わず俯いてしまった。

 ルシフェルは、そんな私を不思議そうに見る。

 ああ、いけない、いけない、また妙なこと、思い出しちゃった。

 私はルシフェルの視線に気づいたので、気を取り直し、またクラウス先生とルーク兄様の芸術レベルの剣裁きを鑑賞し、感心しつつ、そしてうっとりと見惚れていた。


 するとルシフェルが、何を血迷ったのか、

「そんなに剣に興味があるなら、俺がちょっと教えてやるよ」


 へ? 今、なんと仰いまして!?

 私は、驚きつつ、かつ震えあがりつつ、首がホントもげるぐらいに、大きく大きく左右に振った。

 でも、ルシフェルは、「どうせ、暇なんだろ」と言って、私を半ば強制的に立たせた。

 いやいやいや、ちょっと待って!?

 私はルシフェルに、自分がいかに剣の才能がないか、おまけに体力もないか、先日のクラウス先生との剣の出来事をこと細かに、本当にもうしつこいくらいに説明した。

 すると、それが逆に良くなかったのか、

「へ? 剣を上にあげただけでフラつくのか? それ、なかなかいいんじゃね!?」

 と、逆にルシフェルの興味を引いてしまった。


 ま、マズい……

 ルシフェルは自分の剣を抜いて、私に持たせようと、私に近づいてきた。

「あ、あの、ルシフェル? 私、子供の剣でもフラつくのに、ルシフェルの剣なんて重すぎて、絶対持てませんよ?」

 思わず私は後ずさりする。

「大丈夫! いける、いける!」

 いける、いける! って、根性や気合とかで、何とかなるもんじゃないですよ!?

 でもルシフェルは、私の心配なんて全くお構いなしに、私の右手に強引に、剣を持たせた。ルシフェルの右手が、私の右手の上に添えられて、一緒に剣を持つ。ルシフェルは私の背後に回り、剣は、ルシフェルの力でゆっくり上へとあげられていく。私は全く力を入れていない。剣が、一番上に来た時、ルシフェルは背後から今度は私の左手を取って、両手で剣を持たせた。剣を持つ私の両手の上には、ルシフェルの両手があり、しっかりと私の手を支えている。っていうか、私は一切力を入れていないので、ルシフェルが剣を持ってるも同然だ。


 る、ルシフェルが、こんなに近くに来たの始めてで、めちゃ緊張する! しかも剣持ってるし、落とせないし、逃げられないし、この先、どうすんの!?

 っていうか、ルシフェル結構背高かったんだ。養父様がとても背が高いんで気づきにくかったけど、十二歳、これから成長期に入ったら、もっと背が伸びるんだろうな。私も少しは伸びるだろうけど、男子ほどは伸びないのは分かってるんで、将来もっと、差が開くんだろうな。絶対カッコ良くなるだろうな。


 そんなこと考えてたら、私は顔が赤くなって、思わず胸ドキドキしてきた。

 上に掲げた剣、太陽光の下だからか、さらに輝きが増している気がする。

 先日持たせてもらった子供の剣とは違い、ルシフェルの剣……綺麗だな……

 って剣に見惚れていたら、ルシフェルが突然、驚きの発言をした。


「ソフィー、しっかり剣持ってて。俺、手を離すから」

 へ? 今、なんて!?

 私の脳が、ルシフェルの発言を理解する前に、ルシフェルは本当に手を離してしまった。

 わっ! 重い!!

 両手にズシっと剣の重みが乗ってきた。ゼロ・グラビティから、いきなり地球に降り立った、宇宙飛行士にでもなった気分だ。腕だけだけど。

 私は案の定、あっちよたよた、こっちよたよた、あっちよたよた、こっちよたよた、を繰り返し、そんな中、ルシフェルは指さして大笑いしだし、私はルシフェルの大切な剣を落とさないように必死だし、ホント、どこの大道芸人の傘回しだよってくらい、よたついてんのに……いや、それは大道芸人さんに失礼か、まあとにかく、どこの酔っぱらいのおっさんかっていくらい、足元よたついてんのに、ルシフェルは、


「酔剣だよ、酔剣! リアル酔剣!」


 と言って、大笑い。

 ちょっと待って、この世界には『酔剣』なるものが、あるんですか? 私の世界では『酔拳』っていう映画が昔あった気がしたけど、こっちの世界では爆笑をさらう宴会芸か何かですかね!?


「ソフィー、 酔剣の才能、スゲー!!」


 いや、そんな才能、要りませんから。どうせやるなら、剣舞とかのほうがやりたいです、マジで。

 っていうか、もう腕が限界だ。私はフラつきながら、なんとかゆっくり剣を下ろせないか、模索した。自分でコントロールできない状態でいきなり下ろしたら、自分の足とか大怪我しちゃうかもしんないし、大切な剣をバサっと落としてはダメなような気がして、どうしようってホント頭ぷちパニックになっていると、自分で自分の足を引っかけてしまい、体勢を崩した。

「きゃぁあ!!」

 どうしよう、転んじゃう! 剣、私、危ない!!

 そう思っても、でも自分ではどうしようもなくて、剣を持ってるから両手も前に出せなくて、そのままの体勢で、なるがままに倒れこんだ。

 私は怖くて目をぎゅっと閉じる、でも……


 ……あれ、痛くない。


 私はゆっくり目を開けた。倒れこんだ先は、ルシフェルの腕の中だった。

 私は未だに両手を上にあげ、剣を持ったままだ。

 ゆっくり私はルシフェルを見る。と同時に、ルシフェルも私を見た。


 め、めちゃ近いんですけど!?

 で、ルシフェルは、片腕で私の脇を抱え、私を支えてくれてるんだけど、その腕のポジションもさあ、何かもうさ、恥ずかしくない??


 私はもう、すぐに顔が赤くなって、そして近距離ルシフェルは、整った顔がさらにカッコいいなと思って、さらに顔が赤くなって、でも両手で剣持ってるから、自分で体勢立て直せないし、腕めっちゃプルプルしてくるし、心の中で超焦って、とりあえず、

「剣、剣を回収して下さい、ルシフェル!」

 とだけ、必死に言った。

 するとルシフェルは、片手で剣を回収し、地面に置いた。


 私はほっとひと安心して、深呼吸し、上に上げていた両手を、私を抱きとめているルシフェルの腕の上にそっと置いた。


 はあ、これで楽になった。


 って、ちょっと安心して、またルシフェルを見ると……

 あれ? なんかルシフェルも、顔が赤いと思いますけど?

 お互い、見つめあって、一瞬時間が止まった。

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