表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇と光の物語 ~神が人間を創造した理由~  作者: synaria
長期休みから王立学院二年生
130/456

初めてのヒノキチオール抽出精製作業

「今日はヒノキからヒノキチオールの抽出精製作業について勉強しますが、その前に、ヒノキチオール精製後どのような使い道があるのか説明します」

 と仰ってクラウス先生は説明を始められた。


 植物には様々な効能を持つものがあり、また今回のヒノキのようにポーションになるものや、魔石になるものもあるという。そして魔石状態では、様々な魔法陣を付与し爆弾に仕込み、攻撃に利用したり、またアクセサリーとして身に着けて、お守りとして防御と反撃に備えたりもできるそうだ。

 また、魔石にしておくと、再びオイル精製状態に戻してポーションに作り直したりもできるので、かさばらない状態で保存もできて、便利だという。


「実際にポーションを作ったり、魔石にしたり、魔石に魔法陣を刻み込んだりする作業は三年生の授業になるので、二年生のうちは、この基本中の基本であるヒノキチオール抽出精製作業をしっかり覚え、慣れて頂きたい」


 そう仰ってクラウス先生は、次にヒノキより抽出精製されるヒノキチオールの特徴について説明を始められた。


「まずヒノキの精油成分に含まれるヒノキチオールは、七角形の分子構造を持っています」


 私はその”七角形”というのに、ちょっと“デジャヴ“みたいなのを感じた。

 確かこの王都トリアスオービスも、七角形だったよね……ただの、偶然かな?

 私はそんなことを考えながら、クラウス先生の説明に耳を傾ける。


「この自然界には存在しないといわれてきた七角形の分子構造を持つこの化合物の発見は、化学史上に残る偉業として、語り継がれています」


 ……なんかすごい物質なんだな、これ……さすが、神体山にのみ生息する植物って感じがする。でも、前世では特別珍しい植物でもなかったので、前世と比べちゃうとやっぱり不思議な感覚はするなあとは思った。

 でもこの世界の人、化学の分子構造がわかる人がいるんだな、ちょっと意外な気がした……まあ、魔法を発動させる魔法陣が作れるほど数学が発達している世界だから、化学の分野で突出した人がいるのも、そんなものなのかな? あくまで魔法に関することのみって感じがするけど。


 そしてクラウス先生は、ヒノキチオールの効能について、説明を始められた。

 ① 強力な殺菌・抗菌作用

 ② 炎症を鎮める優れた消炎作用

 ③ 強い皮膚浸透作用

 ④ 代謝を活発・正常化する細胞賦活作用

 ⑤ 光属性促進作用

 ⑥ 闇属性抑制作用

 ⑦ サーチュイン(長寿&蘇生)遺伝子活性化作用

 おお、効能まで七つとは、なんか運命的偶然を感じちゃうかも?

 そして、その浄化作用もめちゃ強いとか、強い浸透作用っていうのは一度付着したらなかなか取り除けないとか、おまけに光属性が魔法使用時に通常よりさらに威力UPとか、追加説明もして下さった。

 そういえば、一番最初に解放後の神体山に行ったとき、クラウス先生が山道で、色々と説明して下さったっけ。

 ヒノキは常緑樹で年中葉が緑、冬でも雪が積もっても葉が青々としていて、上に高く育つ植物……

 その強い生命力がこの素晴らしい効能に直結しているんだろうし、上に高く伸び、光を求めて育つところが、光属性を大幅に伸ばすんだろうなあって思った。

 ……でも、⑥番目の闇属性抑制作用は、私的にちょっとやっかいになるのだろうか。

 闇属性の魔法を使うときに、威力が下がっちゃうっぽいから。

 光属性も無属性も一応使えるけれど、一番得意なのは、やっぱり闇属性だからね……

 とか考えていたら、

「ちなみに、七つの効能全て必要ないときは、必要な効能だけ分離させることもできます」

 と、クラウス先生がちょうどタイミングよく説明されていた。


 なるほど、それなら安心だ。私がもしアクセサリーとかで身に着けるなら、⑥番目の効能は分離させたり、ダーク系の魔物相手に爆弾作るときは、⑥とか⑦のアンデッド即死だけの効能持たせた魔石を爆弾に仕込んだりできるわけなんだね。これは、非常に便利だなあと思った。

 ただし、そのような分離作業の勉強も三年生になってからなので、お楽しみにということだった。


 続いてクラウス先生は、ロッドを取り出し、手際よくヒノキチオール抽出精製作業の手順を教えられた。

 まず、魔法『セカーレ』で木材を細かくする。

 それを熱蒸気で加熱するため、蒸し器みたいな寸胴鍋の底に『アクア』で水を溜め、仕切りの上に木材を置いて、無属性の防御結界魔法『ヴァルム』で鍋を囲い、『カリドゥム』で水を加熱、沸騰させる。

 すると、木材から水分と油が蒸気と共に出てくる。

 鍋は管でフラスコと繋がっていて、水分と油に分離された状態で、フラスコに溜まる。

 その水分は必要ないので、魔法『シッカム』で水分を飛ばし、油部分を集める。

 というのが、基本的な流れのようだ。


 クラウス先生が実演して生徒たちに見せて下さるのだけど、めちゃ手際が流麗で、感嘆のため息が漏れる。女子生徒はめちゃウットリしているな。


「以上が手順となります。ですが、これほど早く作る必要はありません。丁寧に行って下さい。では、はじめ」


 クラウス先生の合図と同時に、多くの生徒がロッドを手に持ち、作業を始められた。

 ちなみに私はロッドは持ってないんでモーゼの杖を手に出したんだけど、ふと隣にいるエミール様を見ると、エミール様はロッドを持っていらっしゃらなかった。ルーク兄様やルシフェルも、ロッド使ってるの見たことないんで、武術系というか、戦いもされる生徒の皆さんは、ロッド持っていらっしゃらない率けっこう高いと思う。

 ちなみに、クラウス先生がロッド使ってらっしゃるのを見たのは、去年の対抗戦で審判を務められたとき以来ではないかな?

 クラウス先生は神体山解放総指揮をされるほど武術の達人で、おまけに魔法もどの属性も最上級レベルまで使いこなせる達人なので、そもそもロッドを必要とされないレベル、基本荷物になるロッドは持たれないと思うんだけど、今日は生徒たちへ指導しなければならないので、あえて持たれているんだと思う。

 ロッドを使っているお姿も、実に優雅で美しカッコいいな、うん。

 あと魔術系の生徒は、基本ロッドを使われる。難しい魔法になればなるほど、ロッドを使って魔法陣発動させるほうが、何かと効率がいいからだと思う。

 ちなみにロッドは、貴族のご子息ご令嬢なら普通七歳のときに親から与えられるものだそうだ。そして、自分の才能ややりたい方面を考えながら、その後は自主選択になるという。

 そう言えば以前、クラウス先生の家庭教師の授業で教えてもらったな。確か七歳になると、魔力奉納を可能にするために、領地毎に魔力を登録し、魔力を使う許可を与えられるとかいうお話だった。

 なるほど、それにあわせてロッドを与えられるというわけなのか。実に理に叶っていると思う。

 まあ、私はモーゼの杖があるので、あんまり関係ないお話なんだけどね。


 で、私もモーゼの杖を出して、早速作業に取り掛かった。なんか、ボールドウィン侯爵家の調理場で料理してたの思い出すな。あの行き当たりばったり感満載の料理の経験も、こういうところで役に立つのか。なんでも経験って、大切だなあって思う。

 で、私はその行き当たりばったりの経験が役に立ち、割とスムーズに作業を進めていると、水分と緑色のオイルがじんわりと木片から滲み出始めた。


 おお、ヒノキの魔石は緑色だけど、オイルのときからちゃんと、めちゃキレイな緑色なんだな。


 ってその緑の輝きにめちゃ感動していると、隣にいらっしゃるエミール様が、突然、挙手された。


「クラウス先生、終わりました」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ