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闇と光の物語 ~神が人間を創造した理由~  作者: synaria
長期休みから王立学院二年生
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おもしろ朝練の黒幕認定されちゃった?

 えーっと、まあ、ぶっちゃけそうなんだよね、あはは、でもなんか『黒幕』とか言われたら、ちょっとなんて答えていいか、戸惑っちゃうよね??

 と、一瞬の沈黙のあと、私はしどろもどろ答えた。


「黒幕といいますか、その……私もハンナ様と一緒のクラスになりたいなあと思っておりまして、しかもハンナ様も魔力を上げたいと望んでいらっしゃって……お手伝いと申しましょうか……」

「まあ、そんなことだろうと思っていました。そもそもハンナの性格で、あのエイデン先生に伴奏をお願いに上がるとか、できそうにもありませんので」

「それは、絶対に無理ですね」

 私はクスクスと笑い合う。

「でも、ハンナ様も毎日楽しそうで、その話をお伺いして、かつルシフェルが話をさらに面白可笑しくするんで、私だって光の魔力が今、上がりまくりだと思いますよ? 決して、ハンナ様ためだけのことではないのです」

「それならば、本当に良かったですね」


 クラウス先生の微笑みが本当に美しカッコいいなあ……海をバックにする金髪の美青年は犯罪的だということを、心に刻んでおかなければならないな、うん。

 それにしても、私ひとりが”黒幕”呼ばわりなのは、なんだかちょっと腹立つなあ。

 そうだ、エイデン先生に策を授けた、さらなる黒幕がいるというお話でもしてみようっと。


「ちなみにエイデン先生を陰で操ってる黒幕は、誰かご存じですか?」

「……まあ、エイデン先生があのような行動を取るよう策を授けることができるのは……エミールくらいしか思いつきませんが」

「さすが、クラウス先生! 正解です、よくお分かりになりましたね?」

「エイデン先生は、良くも悪くも直球ですから。それなのに、あのような狡猾な駆け引き……まあ、私を説得する言い方には粗がかなり目立ちますが、自身が我慢していることを恩着せがましく言ってみたり、特に聖具を対抗戦で用いるメリットまで説明してくる辺り、エイデン先生ではとても思いつかないことでしょうね」

「ですので、私よりもさらに黒幕がピッタリな人が別にいるということを、これでおわかり頂けたと思います。また、ハンナ様の黒幕が私であること、そしてエイデン先生の黒幕がエミール様であると知りながら、上手に泳がせてご自身の利を得ようとするクラウス先生が、一番の黒幕だと私、思ってます!」


 よし! エミール様、そしてその流れからクラウス先生に上手に”黒幕”を押し付けることができた!

 私がめちゃ満面の笑みでクラウス先生を見ると、クラウス先生はちょっと苦笑いをされて、私をご覧になった。


「なるほど……そういう視点で立ってみれば、確かに私が一番の黒幕かも知れませんね……このような裏で糸を引くやり方に、ガッカリされたりしますか?」


 いえいえ、とんでもない。誰かが損するならともかく、誰もがハッピーなら色んな思惑があっても全然いいと私は思っている。

 誰もが望む着地点を模索しつつ、裏で糸を引きながら、それを実現可能に持っていくなんて、むしろ頭良すぎって思って、クラウス先生を尊敬しちゃうけどな?

 そう言えば、クラウス先生に聖弓を与えた大天使ラファエルは、バランスや調和と司っていたと思う。きっと、クラウス先生のこういうところが評価されたんだろうなって、改めて思った。


「いいえ、むしろさすがでいらっしゃるなあと思いました。で、私はそのクラウス先生の自称弟子だと思っていますので、ハンナ様の件も、弟子らしい行動できたのではないかと、ちょっと自負しています!」

 と、さらに私は黒幕部分をクラウス先生の責任として押し付けつつ、クラウス先生を褒めてみた。クラウス先生を尊敬しているのは事実だし、これでいいだろう、うん。

「そうですか……ガッカリされなくて良かったですが、師匠と弟子というのが……私は、貴女には、貴女のままでいらっしゃるのが一番良いように思います」

 そう仰って、少し悲しそうに微笑まれるクラウス先生……うう、なんか、色々なすりつけて申し訳ない気持ちになってきちゃったな……

「すいません、ハンナ様の朝練のことは、クラウス先生の弟子とか関係なく、私がしたくてしたことです! ですのでその、私は変わりたくても変われない性分と言いますか、良くも悪くもこのままのような、気がします!」

 って私が妙な宣言をしちゃうと、クラウス先生がクックックとお笑いになって、私に微笑みかけられた。

「そんなところが堪らなく可愛いのですよ……決して変わらず、そのままでいて下さいね」


 その微笑みがあまりにも美しくて、カッコ良くて、めちゃ眩しくて見ていられず、思わず目を逸らして、顔真っ赤にして俯いてしまった。

 おまけに、『変わらずにいて欲しい』なんてこと今まで言われたことがなんてないし、今の私がいいと仰って下さる人がこの世界にはいるというのもなんだか信じられない気持ちで、もうどんな表情していいのかわかんなくて、さらに顔真っ赤になって俯いちゃうな……


 クラウス先生は私の顔を少し覗きこみ、顔真っ赤なのを確認されてから、めちゃ色っぽくフフっとお笑いになり、「着きましたよ」と仰った。

 おお、助かった。

 って、私がめちゃ胸を撫で下ろしていると、次はクラウス先生が浄化作業をされるとかで、腰から魔笛を取り出された。

 授業ではいつも楽器のファイフなので、クラウス先生の魔笛を聞くのは今日が初めてだ。

 楽器でも、誰もがウットリと聞き惚れるほどの腕前でいらっしゃるけれど、魔笛も同じように素晴らしいんだろうか……

 私はドキドキしながらクラウス先生の笛の音が出るのを待った。

 ……

 クラウス先生の演奏される魔笛でのレクイエムは、魔笛だからか、実際に浄化作用があるからか、はたまた海辺だからか分からないけれど、あまりにも幻想的で美しく、目を閉じてみると、自分が光に包まれて、なんだか宙にふわふわと浮かんでいるような、そんな心地がした。

 そして、目を開けてクラウス先生を見てみると、美しい金髪が風になびき、陽の光に照らされてキラキラと輝き、伏し目がちの長いまつ毛がめちゃ色っぽくて、この世を慰めるために神様が遣わした精霊か何かかなって思うほどとっても神秘的で、本当に夢心地でクラウス先生のことを眺めていた。


 これは、”心のサプリアルバム”に、動画で永久保存だな……


 そして私は、クラウス先生のこの見た目だけでなく音色もしっかりと覚えておきたいなと思って、耳もすませてクラウス先生の作業をただひたすら見惚れていた。

 すると、広範囲にわたって打ち上げられていた魚たちが光に包まれて、癒しの光となって上空へと昇って行き、消えていく。

 その作業が終わったことに、本当なごり惜しいなあと思いながら、クラウス先生をじっと見つめていた。

 すると、クラウス先生が私の視線に気づかれて、魔笛を片付けながら、少し困った表情で、

「どうか、されましたか」

 と、私に尋ねられた。

 いやいや、どうされましたかなどと私に問うレベルではないですよね、この世の物とは思えないほど、美しかったんですから。

 私は思わず拍手しながら、クラウス先生に感動を伝えた。

「クラウス先生! いつもファイフでしか聞いたことなかったですが、魔笛バージョンはなおのこと素晴らしいです! 感動しました!!」

 するとクラウス先生は、私に優しく微笑まれ、

「思いを込めて、演奏しましたから」

 と、仰った。


 それから、クラウス先生の浄化作業があまりに素晴らし過ぎたので、もうこの一帯の浄化作業は十分に終えられたということで、私たちは元いた場所に戻ろうということになった。

 でも、私はその前に、ちょっと試してみたいことがある。

「クラウス先生、ちょっとモーゼの杖、出してみてもいいですか?」

「もちろんです」

 と、クラウス先生からの許可を頂いたので、早速モーゼの杖を出してみた。

 そして、海の方へ、力強く向けてみる。


 ……海よ、開け!

 ……開け、ゴマ!!


 って、めちゃ心の中で念じてみたけど……やっぱり、うんともすんともいわないなあ……


 すると、クラウス先生が少し心配そうな表情で、声をかけて下さった。

「どうか、されましたか?」

「いえ、せっかく海に来たからモーゼの杖が何か反応するか試してみようと思って……結果、ご覧の通りですけれど……」

「なるほど。モーゼの杖は”救済の杖”とも言われていますので、何か『神の御意志』的に救済が必要と判断された時にのみ海が割れるのか、もしくは、『古の魔術』による呪文と魔法陣が必要なのかも知れませんね」

「まあ、確かにそうですね……海が割れるなんて大がかりなこと、モーゼの杖をちょっとかざしたくらいでは、どうにもならないですか……」

 私がちょっとしょんぼりしていると、クラウス先生が「少々、残念ですか?」と、声をかけられた。

 そりゃあそうです。だって、前世のアニメで見たあの海の割れるシーンが、目の前で繰り広げられるかも知れないと思ったら、めちゃ胸アツ展開、ぜひ見てみたいと思いますよね?

 でも、前世のアニメのことは言えないので、「歴史書の再現、ならないかなあと思いまして」って、とりあえず言っておいた。

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