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闇と光の物語 ~神が人間を創造した理由~  作者: synaria
長期休みから王立学院二年生
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クラウディウス王子が朝礼に!? やっぱり驚かれる皆さま

 始業式っぽい朝礼、入学式、そしてその直後の神体山解放から一週間が経ち、今日も朝から礼拝があった。

 礼拝だから、本当はシーンとしてないといけないんだけど、今日はなかなかざわつきが治まらない。というのも、クラウス先生がクラウディウス王子モードの金髪片眼鏡なしバージョンで、参列されているからだ。

 クラウス先生は通常、高学年やレベルの高い授業のクラスを持たれることが多いので、中には金髪王子バージョンのクラウス先生を知ってる生徒もいるんだけど、特に一年生なんかはクラウス先生の授業に参加する機会もなく、突然、第一王子が目の前にいる状況にテンパって、心の動揺を抑えられない生徒たちもいた。

「なんでこんなところに第一王子が……」っていう声から、

「生クラウディウス王子、ステキすぎる……」っていう声まで、様々な声が聞こえてくる。

 まあ、こんな感じで皆色々集中力が持たないということで、今日の礼拝は早々に切り上げられ、続いて朝礼が始まった。



 隣にいらっしゃるエミール様が、私に話かけられる。


「クラウス先生が、まさかクラウディウス王子だったとは……さすがの私も想像ができませんでした……なるほど、どれだけ調べても、クラウス先生の過去が遡れないわけです……」


 エミール様は、王立学院に編入するに辺り、在校生徒と教師の皆さま、全ての情報をご自身で調べ上げて編入されて来たのだけれど、クラウス先生の過去だけ遡れなくて、訝しがっておられたのだ。


「そして、あれほど優秀な理由も、合点がいきました。さすがは第一王子といったところです」


 このエミール様が、これほど仰るくらいだもの。クラウス先生は本当に凄いんだなあ……って、私は優秀なだけでなく、世界遺産レベルでのイケメンでいらっしゃることにも、めちゃ合点がいってるんだけどね。王位継承権第一位の貫禄、凛とした美しさ、カッコよさを全てお持ちだ。


 思わず見惚れちゃうな……まあ、いつも見惚れてるけどね。


 ところで、今日の礼拝は短く終わったんで、讃美歌のパートを端折られたけれど、歌と言えばエイデン先生を思い出してしまう。

 エイデン先生はどんなご様子かな?

 ……まあ、いたっていつもと変わらないご様子か。

 ハンナ様は、どうだろう?

 ……まあ、ハンナ様もいつもどうりでいらっしゃるな。

 あの笑撃?のおもしろ朝練から、ハンナ様は毎日のようにエイデン先生と朝練をしていらっしゃるようだ。

 私とルシフェルは、毎日その朝練の様子を見に行っているわけではないけれど、でも、面白いもの見たさとハンナ様のご様子を確認するために、先日また見に行ってみた。

 お二人とも阿吽の呼吸で実に素晴らしい。

 音色に意識を全振りすれば、けっこう名曲だなあって感動できるし、歌詞に意識を全振りすれば、もうホント笑えて笑えて仕方ない。

 ランチはいつもハンナ様と一緒に食べてるので、ハンナ様がその朝練の様子をルシフェルや私に伝えて下さるんだけど、これまた話が膨らんでめちゃ大笑い、ハンナ様いわく、朝練もランチもとても楽しいらしく、これからも続けていきたいそうだ。

 うん、実に素晴らしすぎるな。光属性の魔力、めちゃアップしているに違いない。

 で、いつもならそんな素晴らしい朝練をされているエイデン先生が、まあ、黙っているはずはなく、この朝礼という場で日頃の成果を発揮するとかなんとか仰って、ハンナ様に伴奏を指示して、張り切って歌いだされるのではと危惧してたんだけど、ハンナ様がちゃんと列に並んでいらっしゃるのを見ると、それはなさそうだ。

 ……どうしたのだろう……

 私はちょっと不思議に思い、後ろにいるルシフェルに、声をかけてみた。


「ねえ、エイデン先生とハンナ様の様子を見てみても、エイデン先生が歌を歌われる様子に見えないんだけど、ちょっと、意外じゃない?」

「……確かにそれはそうだよな? いつもなら鼻息荒くして、壇上にヅカヅカのぼって行きそうなのに」


 私はルシフェルと一緒にちょっと訝しがっていると、エミール様が涼やかに微笑まれ、話しかけてこられた。


「私が、事情をご説明致しましょうか?」

「え? エミール様がどうして、このことをご存じなのでしょう?」


 エミール様が仰るには、先日のサナモニア山解放後から、色々とエイデン先生の相談に乗っていらっしゃるという。

 ……そういえば神体山解放後、下山するときも、エミール様がエイデン先生に『私が策を授けましょう』とかなんとか、仰ってたの思い出した。

 それで、エイデン先生的には次の対抗戦で聖具対決に持ち込みたいらしいんだけど、次の対抗戦を取り仕切るのがクラウス先生だから、なんとしてもクラウス先生のご機嫌を取りたいという。

 で、クラウス先生は入学式に今後『聖具禁止』と仰るくらい、この講堂での催しに聖具を用いることに忌諱感を示していらっしゃるんで、今は”耐え忍ぶときだ”と、エイデン先生を諭されたのだという。


「エイデン先生は、私の言いように非常にガッカリしておられましたよ。良い曲ができたのにとかなんとか……ですが、対抗戦での聖具使用実現のため、今は我慢しておられるようです」


 そう仰って、エミール様はクスクスと笑われた。

 まあ想像すると、確かにちょっと、笑えるよね。

 私はふとエイデン先生を見た。

 心なしか、手に汗握っていらっしゃるようにも見える。

 あれは、我慢の現れなんだろうか?

 正直いつも熱すぎて、あれが我慢なのか、いつもの気持ちの高ぶりからくる熱さなのか、はためにはちょっと、わかんないな。

 まあ、どっちでもいいんだけど。


「エミール様、ありがとうございます。さすがに礼拝で聖歌でもない歌を歌うのは、私もどうかと思いますんで、止めて下さって感謝します」


 するとルシフェルが、すかさず会話に入ってきた。


「俺、よくわかんねーけど、とりま最後に『アーメン』って入れておけば、聖歌になるんじゃねーの? あと、なんなら途中に相槌も、俺なら入れれるけど?」

「ルシフェル的にはどんな歌も、途中に相槌入れて、最後に『アーメン』って言えば聖歌なのかも知れませんけど、司祭さんも来られる中で、それはマズいです。恐らくはクラウス先生の、逆鱗に触れることと思います」

「え、マジで? 歌詞の意味よくわかんねーから、ぜんぜん知らなかった」


 ……確かに聖歌って言葉遣いが古語だから、意味が分かりづらいんだよね。

 これは、ルシフェルの言ってること分かる……でも、だからと言ってエイデン先生の歌に『アーメン』つけたら聖歌になる案には、同意できないけど。


「エイデン先生は、今必死に説得にあたっているようですよ。入学式でも聖具を使用しないし、礼拝や朝礼でも歌を歌わないので、対抗戦は聖具使用を許可するようにと……エイデン先生的には、入学式で聖具を使用できないのももちろんですが、礼拝や朝礼で歌を歌えないのも相当なストレスのようで、私に対しても『なんとかならないか』と必死に訴えていらっしゃいましたが、正直、私に訴えたところで事態は変わりませんので、それを伝えると、ウっと堪えられ、ありあまる情熱をクラウス先生に毎日のように注ぎ込んでいらっしゃるものと思われます。

 あと、聖具を使用した対抗戦にメリットがないわけではない……というか、むしろ武術的観点からいえば、メリットが多いものと思われます。生徒たちが実際に、戦いの場で聖具がどのように扱われるかを知り、また聖具所持者と一緒に戦うにはどうすればさらに効果的か、また、邪魔にならないかなど、様々に考えることがございます。それは、口で説明するよりも、見て知るほうが早いので、聖具所持者にとっても、生徒たちにとっても素晴らしいことだと言えば、クラウス先生も耳を傾けられるに違いないでしょう」


 おお、エミール様の仰ってること、めちゃ真理だな。

 例えば騎士団に配属され、魔物討伐に赴いたとき、聖具所持者と一緒に戦うことになって、初見で慌てふためくより、一度見ておく機会があったり、できれば一緒に戦うという経験があるというのは、とても良いことと思う。


「……と言って、クラウス先生を説得しろと、エイデン先生に伝えられたんですね?」

 って私がエミール様に問うと、エミール様はにっこりとお笑いになり、

「話が早くて、助かります」

 と仰った。



 ふと周りからさらなるざわつきと、黄色い声も混じり始めて来たので、何かと思い壇上を見ると、クラウス先生が舞台の真ん中に立っておられた。


 ……うん、神々し過ぎるな……女子の心が逸り立つの、めちゃわかる。


 クラウス先生は金髪の美しすぎる髪の毛を少しかきあげ、話し始められた。


「私は、この世界の第一王子、クラウディウスだ。わけあって去年よりクラウスとして教壇に立っていたが、正体が知れることとなったので、今後変装はしない。だが、この王立学院には教師として赴任している。なので、私に必要以上の礼儀は必要ない。今まで通り接して欲しいと思う」


 女子生徒たちの間からは華やいだ声が聞こえてくる。

「やっぱりクラウディウス王子でいらしたのね」とか、「今まで通り接していいだなんて、どうしましょう?」とか、思い思い感想をお持ちのようだ。


「私が去年よりこの王立学院に赴任した理由は、モーゼの杖所持者を見守るためである。知らない者もいるかも知れないが、王族は、聖具の中でも最も重要であり神体山解放に必須であるモーゼの杖所持者を見守らなければならない義務がある。これは、王族の中でも最重要任務といえよう。よって、私のこの任務を阻害する者がいれば、誰であろうと生徒であろうと容赦はしない。この世界の王子である私が、モーゼの杖所持者を守ることに不満を持つ者がもしいるならば、今すぐ前に出てきたまえ。王族に楯突く者とみなし、処罰する」


 ……

 講堂内がめっちゃ静まりかえる……なんかもう、息すらためらうレベルの静寂さだ。

 女子生徒たちのさっきまでの華やかな雰囲気は、一切ない。


 しょ、処罰するってさ、ちょっと極端すぎるんじゃないかな??

 皆んなマジで、固まっちゃってるよ!?

 まあ確かに前、『古の魔術書』一緒に見たときに、『対処する』とかなんとか仰ってたけど、まさか、脅しに入られるとは、思っても見なかった。

 でもまあ、ここまでハッキリ仰ったら、誰も文句を言う人は、出てこないとは思うけれど……


 私は壇上にいらっしゃるクラウス先生を見た。先生は、私に向かって満面の笑みを向けていらっしゃる。

 あの笑みを見る限り、クラウス先生的には”これで良し”って感じなのだろう。

 まあ、クラウス先生がそれでいいのなら、まあいいのかな……だって、私を守るのは先生ご自身だし、先生が一番煩わされないのが一番重要よね。

 ……ただ、今後私がクラウス先生に話かけに行くと、処罰を恐れて皆んな、波が引くように遠ざかっていくような気がする。

 それは、覚悟しておこうと思った。

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