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闇と光の物語 ~神が人間を創造した理由~  作者: synaria
長期休みから王立学院二年生
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王宮図書館の書庫室に入ってみた

 書庫室の中に入ると、広さは先ほどの図書室ほどはないものの、見るからに貴重で豪華そうでぶ厚い本が並んでいて、手に取るのも躊躇っちゃうような本が、ズラーっと並んでいた。

 で、クラウス先生は先に『古の魔術書』を閲覧机の上に出されていたので、その閲覧机のところまで案内して下さった。

 閲覧スペースは、閲覧机ひとつに椅子ひとつつけられていて、閲覧机と閲覧机は少し間隔があり、ゆとりをもった配置になっている。

 蔵書の奥には小部屋もあって、さらに読書に集中できる環境になっている場所もあるんだけど、今日はこの書庫室の中に私たち以外誰もいないということもあって、閲覧スペースで『古の魔術書』を見ようということになった。


 クラウス先生が紳士的に椅子を引いて、私を座らせて下さると、クラウス先生は別のところから椅子を持ってきて、私の隣に座られた。


「まず、『古の魔術書』を見る前に言っておきたいのですが……今日、授業の後で私に声をかけるとき、気まずい思いをさせてしまい、申し訳なかった」


 クラウス先生はそう仰って、苦笑いされた。

 ああ、女子生徒たちのやっかみ半分の視線のことを仰ってるんだなって、すぐに理解した。


「いえ、ああいう視線はルーク兄様で慣れていますんで」

「いや、慣れる慣れないの問題ではありません。そもそも私が王立学院の教師になったのは、ソフィーを見守るためです。その業務に支障をきたすようでは、何のために私が王立学院の教師になったのか分かりません。よって、早急に対策を練りますので、少々お待ち下さい」


 そう仰って、クラウス先生はまた優しく微笑まれた。

 私はその、気品溢れる王子スマイルに癒されつつ、女子生徒の対応をさせることとなり申し訳なく思いつつ、でも、ちゃんと先生にお任せしたほうがいいなとも思った。

 去年の上級悪魔イジメ事件のことも、頭の片隅におありだと思うんだよね。全て、早め早めに対応しようと思っておられるんだと思う。

 正直、女子生徒相手に私ができることなんて全くなにも思い浮かばないし、クラウス先生のなさることに委ねたいなと思った。


 ……にしても、”ソフィー”……呼び捨てになってしまった……めちゃ萌えポイントだ。

 今までずっと”様”付けだったから、急に距離感が近くなったなって思う。まあ、神体山解放のときは、任務の都合上、時々呼び捨てではあったけれど、それはあくまで任務なので、距離が近くなったと思ったことなかった。

 でも、これからはきっとずっと呼び捨てなのかな? ボールドウィン侯爵家の皆さまは皆私のことを呼び捨てなので、本当に家族っぽいなって、ちょっと思っちゃった。

 クラウス先生は、私がこの世界に来て、私を拾い、一番長く時を過ごしている方だから、家族っぽいのは当然と言えば当然だけど。

 ……ただまあ、この世界の第一王子でいらっしゃるんで、あんまり親近感を持ちすぎるとよくないかも知れない……ほどほどに気をつけようと思う。


 そんなことを考えていると、クラウス先生がさらに仰った。


「そして、『古の魔術書』を見る前に、もうひとつ言っておきたいのですが、サナモニア山で私の命を助けてくれたこと、まだきちんとお礼を言っておりませんでしたね。

 たった一人で七大悪魔を退け、一枚岩に魔力奉納したあとで、一体どれほどの負担があったか……

 それなのに貴女は一目散で来てくれたのですね。モーゼの杖があるとはいえ、あれほどの治癒魔法を私に施してくれたのは、本当に想像を絶するものです……私はとても嬉しかった。

 だから、礼を言いたい。本当にありがとう」


 そう仰るクラウス先生、笑顔がめちゃめちゃ眩しいです……

 これは俗にいう、”王子スマイル”というやつだな、うん。


 そして、クラウス先生の爽やかキラキラ笑顔に見惚れていると、早速クラウス先生は、『古の魔術書』をパラパラとめくりながら、仰った。


「それで、どの辺りが以前と違って読めるようになったのでしょう?」

「光属性の部分は、この部分です……前方に光の力を収束し、光線のように一直線状の範囲のものを消滅させる……丁度イメージとしては、一番最初に憤怒の七大悪魔ジミマイと対峙したとき、勝手にモーゼの杖が現れて、勝手に魔法をぶっ放し、ジミマイが倒れてしまったときの魔法と、感覚が被る感じがします」

「なるほど……前に一度使ったことがあるので、イメージがしやすかったのかも知れませんね……使えそうですか?」

「うーん、ちょっとまだよく分からない感じですね……ちなみに、使えそうな感覚がするのは、闇属性のほうです」

「どれでしょう?」

 私は『古の魔術書』をパラパラし、該当ページを開いた。

「これです……」


 クラウス先生はそのページをご覧になりながら、険しい顔をされた。


「……これがもし使えるとなると、凄まじいですね……」


 このページのルーン文字は、クラウス先生でも解読可能なので、ただただ信じられないといった顔をされて、頷かれる。


「ちなみに、どうしてこの『古の魔術』が使えると、思われたのですか?」

「えっと、なんていうかですね、ページを開いた途端、バッとイメージが飛び込んできて、どんな魔法かすぐに分かって、モーゼの杖を出して呪文唱えてもいいかもって、ふと思ってしまったんですよね……」

「……なるほど、それは確かに使えそうな感じがしますね……でもこれ、凄く恐ろしい魔術ですよ……?」

「……私のイメージ通りならば、そうなんだろうなと思います……なので、あまり使う機会がないことを祈らずにはいられないんですが……とりあえずクラウス先生には、お伝えしたほうがいいのかなと思って」


 私がそう言うと、クラウス先生は黙り込んで、何か少しお考えになられてからまた口を開かれた。


「承知しました。一度試しに練習してみましょうか。『古の魔術』ですので、王宮の魔法訓練施設が良いでしょう。また、日程考えますね。教えて頂き、ありがとうございます」


 と仰って、クラウス先生がにっこりと微笑まれた。

 ちょっといつもより微笑みが深い気がするのは、『古の魔術』のことが、楽しみなのかも知れない。

 ご自身どころか今現在使える人がひとりもいないという『古の魔術』。当然ご覧になったこともない。なので、興味は持たれるのは当然と思う。こういうところはちょっと、自作魔法陣を開発されるだけあって、研究者魂が刺激されるのかも知れないな。


 で、微笑みが深い国宝級のイケメン、金髪バージョンを目の前にしたら、私が見惚れてしまうのは自然の摂理なので、思わずずっとクラウス先生のほうを見て、にこにこしていると、クラウス先生は少し困ったお顔をされて、仰った。


「まだ、この髪色には慣れませんか?」


 ああ、慣れてないというか、見惚れていただけなんだけど……


「髪があまりに美しくて、思わず見惚れていました。でも、まだ慣れていないから、見惚れてしまうのでしょうか……」

「この世界では、金髪は、珍しいですから」


 ……そう言えばそうだ。

 金髪の人って、今まで見たことない。

 養父様やルーク兄様の髪色は琥珀色で、あとは黄色っぽい髪色の人は見たことあるけれど、ここまで鮮やかな金髪の人は、クラウス先生が初めてだ。

 この異世界が中世ヨーロッパ風だから、金髪の人、もっといてもよさげなんだけど……なんでだろ?

 まあ、私のような真っ黒な髪や、以前のクラウス先生のような黒に近い紺色みたいな髪色は、この世界観では珍しいのは当然だけど、金髪が珍しいっていうのは、この中世ヨーロッパ風の世界観では、めちゃ以外だなと思った。

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