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シュクリ・エルムの涙  作者: 朧 月夜
■第六章■ TO THE SUMMIT(山頂へ)!
42/86

[42]希望の笑顔?

☆ 新年明けましておめでとうございます ☆


 昨年は突然の復帰にも拘らず、温かく迎えてくださいまして、誠にありがとうございましたm(_ _)m


 今年は沢山旧作を再掲載し、新作も連載したいと思います。


 その節はまた何卒宜しくお願い致します(^人^)


   朧 月夜 拝

「あっ……は! ははっ……くくくぅ……アハハハハハ!!」

「ル、ルヴィ~……だから「笑わない?」って訊いたのにぃ~~」


 お腹を抱えて笑い出してしまったあたしの前で、ルクは頬を沸騰させながら困惑していた。おもむろに両手を腰に置いて、徐々に表情を憮然とさせる。笑いの止まらないあたしの様子に、さすがにルクも怒ったみたいだった。


「ご、ごめ……ププッ……だってぇ~もっと深い理由があるのかと……思ったんだものー!」

「ど、ど、どうせボクだからねっ、でもアッシュだって同じなんだから!」

「ええ?」


 いやに力の入った言葉尻と、「アッシュだって同じ」という台詞に疑問が湧いて、お腹に向けていた鼻先を持ち上げた。「アッシュだって同じなんだから」──それって本名「アシュリー」の「リ」が付くから、アッシュはあたしを「リル」と呼ぶ、ってことなんだろうか??


 尋ねる前にルクはプイッと顔をそむけて、前を歩き出してしまった。ちょっと笑い過ぎちゃったかな……あたしは後ろから「ごめん、ごめん」と呼び掛けながら、肩を(いか)らせて進むルクを追いかけた。


「本当にごめんなさい、ルク! その……あたしも嬉しかったよールクともアッシュとも同じ「(おん)」を持っているのだなんてっ」

「……でも」

「え?」


 やっと追いついて並んだ肩が、その接続詞と共に停止した。数歩追い越して振り返ったあたしの前には、以前夜道を送ってくれた時と同じく、思い詰めた瞳がこちらを見詰めていた。


「でも……ボクが「ルヴィ」って呼ばなければ、ボクもアッシュと一緒にユスリハおばさんを助けに行けたんだ」

「ルク……」


 両側に垂らした拳が強く握り締められて、ルクがどんなに悔しがっているかが思い知れた。

 ありがとう、ルク。その気持ちだけで救われる。あたしだってルクの気持ちは痛いほど良く分かるよ。だってあたしだって悔しくて悔しくて、もうどうにも仕方がないんだから!


「……でも」

「え?」


 口元を噛み締めて黙ってしまったルクの俯いた顔に、今度はあたしが否定の言葉を繋いだ。途端さっきのあたしのようにルクの(おもて)が持ち上げられた。

 

「あたしはルクが「ルヴィ」って呼んでくれていて、良かったって思ってるよ」

「ど、どうして?」


 目の前まで歩み寄り、あたしはニッコリ笑ってみせた。戸惑う表情が小首を(かし)げて、キョトンとした(まなこ)であたしに問い掛ける。


「だって~ルクが呼んでいても呼んでいなくても、あたしは結局帰されていた訳でしょ? 独りで山を下りるなんて怖くて出来ないもの。だからきっとルクは、あたしを守るためにずっと「ルヴィ」って呼んでいてくれたのよ。だから、ね! サー・ルクアルノ! タラお姉様のお家まで、あたしの護衛よろしくね!!」

「ラ、ラジャー!!」


 あの時と同じおかしな敬礼が、辺りの空気を(なご)ませてくれた。ルクの口元にもゆっくりと笑みが戻る。良かった……これでいい。きっとこれで……笑顔でさえいれば、パパもママも絶対無事に戻ってきてくれる。あたしは二人の笑顔に育てられたんだ。アッシュが話してくれたように、パパとママの愛情があたしを輝かせてくれていた。だから失くしちゃいけない。あたしが笑顔を失くしたら、二人も輝きを失ってしまうもの!


「行こう、ルク。きっとみんなも無事に戻ってくるよ」

「うん、そうだね。ボクもちゃんとルヴィを守る」


 いつぞや見せた奇跡のたくましさが、ふとルクの眼差しに宿された気がした。その瞬間キュンと鼻の頭が痛くなったのは何故だろう? 合わせた視線を不思議と逸らしてしまう。そんな揺れる瞳を向けた進行方向、少し先のこんもりとした繁みが、白いザイーダに襲われた時のようにザワザワと揺らいで……


「ルヴィ……下がって」

「う、うん」


 小声で囁いたルクが、(かば)うようにあたしを背後へ回した。左腰に結わえた剣を、鞘からそっと抜いて構えた。


 またザイーダが現れたのだろうか? ママの髪を使って。ママの心を哀しませながら。


 繁みを揺らす音は、奥から手前へと徐々に大きくなってくる。


 ついに全貌が緑の海から現れたその時!


 頭上から振り被ったルクの剣が、大きな弧を描こうとした──!!




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