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もう一度だけ恋がしたい  作者: 東風
8/10

ひとつひとつ彼を知っていく。それだけで途方もなく嬉しかった。

彼は飲み込みが早く、一度説明したことは次から完璧にこなしていた。

「さすが、脳みそが若い!なんでも吸収できちゃうね。」

言いながら、昨日のことも忘れてしまう自分の衰えた脳と比べて、軽くため息がもれた。

ため息に気付いてか、こっちに視線をやった彼と目があった。

「あ、違う違う。つい自分の脳みそと比べちゃって‥」

彼が少し微笑んだ。


ドキッ


柔らかい表情の彼を見るのは初めてだった。

もっと色んな顔が見たい。

笑い転げたり、冗談を言ったりもするのかな…

私の頭の中は隼人のことでいっぱいだった。


ランチのお店をまだ知らないという彼に、穴場の定食屋さんを教えてあげると言って連れ出した。

知子も一緒にと思っていたが、面接の準備があるからと断られた。


2人で外を歩くだけでも緊張するのに、ご飯なんて、喉を通るか心配なくらいだった。

緊張が悟られないように、普通の会話をしようと意識しながら話しかけた。


「食べられないものとかってあるの?」


「いや、基本ないです。あ、卵は好きなんですけど、ゆで卵とか目玉焼きにすると食べられないです。」


「わかる!私も黄身が固い目玉焼きってダメなんだ。でも、ゆで卵は好きだなー。」


「え?黄身が固くなった感じ同じじゃないですか?」


他愛もない会話なのに、ひとつひとつ彼を知れることが途方もなく嬉しかった。

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