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第8話 戦利品報告は必ずみんなに共有すべし、しない者は死あるのみ。


「さて諸君、お楽しみの戦利品報告(リザルト)の時間だ。」


「わーい。」


 とりあえず一息ついたから次に進もうとしたアルカは、手に入れた物と状況を共有しようと話を始めた。

 ちなみに疲れてるルシアはユーリの膝枕を堪能している。いいご身分だ。


「みんなが気になってる部分は最後にして、まずは私から。野郎から狩猟した報酬で隠密仕様のSMG2丁に拳銃2丁、そして単分子ナイフ2本。スーツは破損してて無理だった。ぼろ儲け過ぎて嬉しい。」


「基本攻撃されたらやり返せがマナーだからねー。お咎め無しだよー。」


「わーい。」


「私からは以上、んで次はルシアからは?」



「……。」


「お口チャックするんじゃありません。」


「うわーん。」


 怒らないからあの惨状を説明しろって言ってるのにどうして喋らないのかな?とにっこりしながらルシアの頬っぺたを引っ張るアルカ。

 そこでルシアの手に持っていたデバイスが気になった。

 試しに取ってみたらルシアは「返してー」とアルカに手を伸ばした。呑気に膝枕をしながら。

 何やらこのデバイスにルシアの教育に悪い物でも入っているのではと没収しようと考えたが、デバイスから音声が流れてきた。


「ドーモ、始めまして、アルカさん。私はただのAIのイロナです。」


「……どーも。イロナさん。あなたはどこで拾われたのでしょうか?」


「そこのボロボロのドールの中からですね。ちなみに今日の収穫はボロボロになったドールと襲撃者のドールですね。コクピット部分の洗浄を推奨します。」


「代理報告ありがとう。これからあなたはどうするのでしょうか?」


「ご主人であるルシアのお世話になろうかと。」


 それからイロナから五体満足だったドールがボロボロになった経由を知ったアルカはルシアに


「ルシア?」


「はい。」


「無事でよかったね。機体調整の済んでいない不安定なドールなんか乗ったら、あっという間にスクラップになってミンチになるからね?イロナの陰ながらのサポートに感謝してね?」


「滅相に御座いません。」


「よろしい。」


 一通り把握したアルカはこれからの行動を考え、ここにいるルシアとユーリ、そして新たなパートナーになる予定であるイロナに話した。


「えー、まずはユーリ。」


「んー?」


「ドールを回収したいのだけど、どこに頼めばいいの?」


「今回は私の仕事仲間の友人に頼むから無料でいいよー。紹介したいしー。」


「ありがとうユーリ。早速連絡お願い。ルシアはコクピットの掃除をしてね。近くに小さな湖があったからイロナを使って動かしてね。」


「うへぇ、わかったよ。」


「私は収穫物の収納をするからなにかあったら私に連絡する事。」


「おっけー。」


 各々と撤収作業に取り掛かる三人。

 これから色々と忙しくなるのではないのかとアルカは密かに思った。


 どうやら回収に来るのは夕方頃になるらしい。






 

 日が暮れて来た。

 日が暮れる前までは鳥の鳴き声が聴こえていたが、太陽が隠れ、丸い満月が二つ見える頃になると鳥の鳴く音に変わって焚き火の音が目立って来た。

 ここら一帯は暖かく穏やか気候だが、それでも夜は少し寒い。

 パチパチと鳴る火の音がみんなの心地よさと癒しを与える。生物は夜もまた必要な時間であった。


焚き火の音を聴きつつ、イロナはこの世界に落ちる前の昔話を語り出した。


「私達はここから遠く離れた故郷へと帰る果てしない旅をしていました。そこでヒューマンを始め、沢山の種族と出会い、別れを繰り返しておりました。しかし旅の途中で突如、数百万以上の攻撃的な無機生命体と遭遇し、交戦を余儀なくされました。」


 イロナは残っていた当時の映像をホログラムに映し出し、話を再開した。


「あの生命体は凶悪でした。私達の攻撃に怯まず、味方の機体に取り込み、操られたかのように攻撃し、幾つのも船を落とされました。」


「被害を出てもなお、この生命体を殲滅しなければ今まで出会って来た友好的な人達が根絶やしにされると理解した乗組員の人達は生命エネルギーを使い、敵性生命体を消滅する事が出来ました。ヒューマンの消失と共に。」


 その言葉はAIにも関わらず、哀感に満ちた言葉だった。

 イロナは沢山の物を失ってここに落ちて来たのだ。

 この世界に落ちて来た船の持ち主であった人達もまた被害者だと三人は理解した。


 厄災以降、様々なデータと生き残った自動人形を保護した際に一連の出来事をこの世界の住民は始めて知った。

 自動人形達は迫害されるのだろうと覚悟をしたが、なんと彼等は受け入れたのだ。

 唯一生存した国であった皇国の象徴である巫女が民衆に訴えたのだ。


「我らの国は幾多の種族、民族を受け入れ、共存と調和を果たした国だ。かの人達もまた巻き込まれた被害者である。今は苦境に立たされている時代だ。しかし、受け入れなければ国は崩壊し、再誕へと続かないと我は思う。どうか皆と共に乗り越えようぞ。」


 こうして世界は再誕した。これは200年経った今でも人類全員が知っている世界の伝記だ。

 

「私が眠ってた期間にそんな事が起きてたのですね。」


「そうだよ。そのおかげで昔よりも文明が発達したってわけ。凄い人だよね。」


「ちなみにーその巫女様、未だに生きてるよー。」


「っえ?まじ?」


「まじまじー、この前美味しそうにイチゴパフェを食べてたの見たよー。」


 どんなアグレッシブな巫女様なんだか、まぁ民衆受けがいいから許されるのでは?とアルカとルシアは思った。


 焚き火にあたって数刻、ユーリのタブレットから連絡が来た。どうやら迎えが来たとのことだ。





この世界は自動人形と高度なAIもまた人権が存在しています。今回はこうやって世界が混ざり合った

んだという話を書きました。

この世界は自動人形と高度なAIもまた人権が存在しています。

今回はこうやって世界が混ざり合った

んだという話を書きました。

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