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第5話 永久機関は技術者の憧れ。ロマンが詰っている。

ブックマーク、評価をしてくれた方々、感謝します。

出来れば感想、レビューの方を書いてくださると私は更に嬉しくなります。


 〜城塞都市アザールから数十キロ離れた森の中心地〜


 そこには科学の集大成とも言える宇宙船があった。

 だがその宇宙船ははるか彼方の上空である宇宙へと再び旅立つ事が出来ずに200年以上経ってしまい、船は朽ちてしまった。

 しかし船が朽ちても内部には貴重な部品やデータ、あるいは兵器や日常品が沢山眠っている。

 それらを探索者が見つけ出し、探索者を取り締まっている協会に売るか、個人で契約している店へと売りつけるのかのどちらかだ。

その売られた遺物は新たな武器を作る為に使われるか、政府の研究所へと届き、遺物の使い道を解析する。

 そして新たな技術を蓄積して放出する。

 そうすることによって文明開化への道のりがまた早くなるのだ。


 ルシア達三人は目的地である朽ちた船の内部へと探索を開始した。


「そう言えば私たちってどれが高価な遺物かどうかよく分からないんだよね。」


「ならおねーさんに任せなー。」


「おぉー、パチパチパチ。」


「まず基本的に高価なのは破損が少ない物を指す事が多いねー。直すのが大変だしー。」


「ふむふむ。」


「あとは自動人形のパーツを覚えるのもいいかもー。自動人形の人達って病院で治せないから需要が安定していて狙い時―。最後はやはりドールと小型船が一番高く売れるのー。無傷なほど高く売れるよー。」


「なるほど。」


「クリーチャーとかの生物関連は詳しく話すと長くなるからまた別の機会ねー。」


「分かったよー。」


船の中枢辺りでユーリの遺物講座が終えた時、ルシアとアルカは先ほどまでのほんわかした雰囲気が無くなり、アルカは再びユーリに問いかけた。


「そういえばユーリって確か強化系統の魔術が得意だっけ?」


「……確かに得意部類だよー。」


「私たちの強化欲しいな。」


「OKOKだよー、移動強化と筋力強化!おまけに視界強化も付けちゃうねー!」


「よし!散開!」


合図とともに三人は一斉に走り出した。


「…ッ!!おい!あいつら何時から気づいたんだ!?」


「考えるのは後からにしろ!!あいつらを見失ったら俺達の方がやばいぞ!!」


 ここは階級が付けられていない未知の船。

 マップの把握や生息しているクリーチャーの脅威を調べないでのこの探索は命を賭けても全く足りないと理解しているガニルとへベルはすぐさま彼女たちの後を追うことになる。

 それが死神の鎌が振りかざすのを知らずに……。




 

常人とかけ離れた速さで朽ちた巨大な船を掛け走る三人は、追跡していた連中を撒いたと知ると一旦足を止めた。


「ねーねー、何時から追っ手が居たの気付いてたのー?」


「休憩してた所でなんか見られてる気配がしたからかな。ここで撒かないと後々が面倒臭い事になりそうだし。」


「凄いねー。おねーちゃん君達の成長してたのを見て感激しちゃうよー。」


「話はそこまでにしてっと、ここらへんで二手に分かれるよ。ルシアとユーリは先にお宝のところに行ってて。」


「アルカは?」


「連中を仕留める。」


「オッケー、さっそくユーリを連れていくね。」


 アルカはカバンからロープと爆薬を取り出して作業に取り掛かり、ルシアはユーリの手を繋いで奥のお宝の場所へと向かった。


「んー?いいのー?怖い人にやられないのー?」


「大丈夫だよ!アルカは人との戦い方を熟知してるし、それに時間を与えたアルカはめちゃくちゃ強いよ!」


「ほほー、よっぽど信頼してるのねー。ならば私達は早く頼まれ事を成し遂げないといけないねー。」


「うん!」


 魔法によって強化された足を使って走り出したルシアとユーリはすぐさま目的の物があるゲートを見つけた。

 ゲートを潜った先には一体のドールが存在していた。

 そのドールは今まで誰にも手入れされていなかったのか、全身が茶色に錆びて苔が生えていた。

 所々被弾していたのか装甲には銃痕があり、機能が停止する直前まで戦場に出撃していたのではと思わせる跡。

 朽ちた船の残骸に力尽きたかのように座っている光景はまさに忘れ去られた英雄の最期の眠る場所だと錯覚してしまうほど、美しくそして儚い光景であった。


「まさか開かずの扉ってこれの事だなんて聞いてないよー。」


「そりゃあ、ユーリを驚かせたかったからね。ハッチもなにも反応しないしお手上げ状態だよ。」


 早速ユーリはドールに近づき、コックピット付近にあるハッチを調べた。


「うーん?確かに変わったタイプだねー?従来のと違うハッチしてるから多分これってワンオフ機かもねー。」


「凄いものを見つけたねー」と関心をしつつユーリは開けるためのタブレットとドールへと繋ぐ接続機を取り出し操作を開始した。

 作業しているユーリを後ろからチラチラと眺めるルシアはこうしてやる物なのかと理解しようとしたが、先程の連中がまだこの船の中にいると思い出し周囲の警戒をした。


「まずは外側からドールを起動するようにと中枢機能にアクセス......あれ?」


「どうしたの?」


「普通のドールは中身も全て停止してて、外側からアクセスしたら補助電力を使って少しだけ動く事が出来るんだよー。」


「んで?」


「このドール......ずっと動いてるー。200年も。」


「はぇ?」


いくらなんでも科学の叡智を駆使した機械でも200年間動き続けているのは不可能だとルシアは分かっている。

 全てのドールには動かす際の動力源があるのだ。   

 その動力源が補充無しで永久に動く事なんて出来ないはずだと機械に疎いルシアにだって理解していた。


「いくらなんでも可笑しくない?このドールって永久機関で凄いものを積んでるの?」


「それは親方が調べないと分からないよー......。」


 不思議に思っているルシアとユーリは「とにかくハッチを開けるよー」と再び作業を開始するが、突然と部屋から低く大きな音が聞こえてくる。

 ルシアとユーリが警戒をした瞬間、天井が破壊され、その穴からドールがこちらを覗いていた。



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