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Act.1  第1話 少女達は新たな運命と生きる力を手にする

 


 二人の少女が広大な森にある巨大な船の残骸の中を慌てふためいた様子で走り回っている。

 太陽が剥き出しになった船を照らし、二人の走り行く道を補足していく。

 その背後には大きな足音が聞こえる。

 

 大きな足音がする者は道中、障害物にぶつけながらも怯まず、今でも喰い殺そうかの勢いでその四本脚と二つの鎌で彼女達を追い掛けていた。

 人々は怪物の事をクリーチャーと呼ばれ、恐れられている。

 厄災以降から出没した従来の生態系から逸脱した化け物だからだと言われていている。

そのクリーチャーに追われている彼女達は、どうにかこの一大事から逃れようと小さな脚と腕と、そして少ない経験と知恵を使い、全速力でこの大きな船を走り回っていた。

 

 「アルカ!アルカ!あいつを足止めとか何か出来ない!?このままじゃ食べられちゃうよ!!」

 

 「無理だよルシア!あの武器を落とした時点で逃げの一択しかないよ!」

 

 少女達はみすぼらしい格好をしていた。

 クリーチャーが住処にしているこの船で薄汚れているただの服に使い倒したボロボロの靴、そしてメンテナンスをしたかどうか分からない一丁の拳銃……は先程落としたので持っていないが、貧弱な装備でこの時代では理解するのは難しい未知のテクノロジーが詰まった船の残骸を漁りに行くのは自殺行為であった。

 もはや既に死に直面しているのだが。

 泣きそうな顔で二人が走った先には、人が入れる程の開きかけているゲートが見えた。

 

 「そこの隙間に入るよ!ルシア!」

 

 「分かった!」

 

 ルシアは目の前にあった廃材を倒し、二人がゲートに入る為の少ない時間を作った。

幸運な事に倒した廃材はクリーチャーの真上に落ち、僅かながらも怯んでいた。

 

 「今のうち!」

 

 とそう叫び、二人はゲートの中に入った。





死にものぐるいでゲートに逃げ切れた少女達が見た光景は1つの人型機動兵器であった。

人型機動兵器「ドール」 それは体長16m~20m程あり、宇宙から船とともに墜ちたと言われている未知の兵器。


 災厄後、人々が復興する最中に発見されてから運用するようになり、200年たった今でも探索者や軍人、職人等など全ての人類によく使われている愛されている兵器だ。

 本当は長ったらしい名前にしようとしたらしいが「短い名前の方がいい」との事で必然的にそうなったという話がある。

 そんな未知のテクノロジーが詰まった遺物である人型機動兵器を眺める少女二人、あまりにも大当たりを引いたのか後からやって来る化け物なんて気にせず放心状態になってしまった。

 主な探索者は船の中にある遺物・・・テクノロジーを回収して売り払い、クレジットを貰う仕事である。

 そこでドールを手に入れるとなると行動範囲がかなり広くなる。

 未知の船、未知の技術、はたまた放置されたドールを見つけやすくなる。

 探索者はドールを手にしてからが本番であり、底辺探索者の憧れであるのだ。

 その底辺探索者の位置にいる二人にとって始めての遺跡漁りで大成功とも言える戦果を収めたのだ。   

 もちろんこれを持ち運べればの話だが。


 「これ!このドールを使えばさっきのクリーチャーなんかあっという間に倒せるよ!」

 ルシアは嬉しそうにドールに近付きながらアルカに言うが


 「……これどうやって動かすのよ?しかも錆びてるよ?」

 

 とアルカは疑問に思っていた。

 通常のドールにはハッチを開くためのセンサーやスイッチがある筈だがルシア達が見つけたドールにはそれらにが何処も付いていないようだ。

 そして200年という時間は手入れされていない機械は全身に錆びが出て今でも壊れそうな状態であった。

 急いでどのように動かすのか探し出す少女達だが、時間は許されなかった。

 二人の背後にある開きかけていたゲートから破壊音が聞こえた。

 その破壊音の正体は、二人を切り刻み、そして喰らい尽くそうと追い掛けていたクリーチャー。 周囲を確認し、じわじわと動き出す化物だ。

 ここは行き止まりだ、諦めるがいいと……少女二人にはそう伝わり、もはや負傷覚悟で戦うしかないのかと顔から一雫の汗が落ちた。

その直後、錆びれた人型機動兵器から大きな爆音が部屋に響いた。

 二人は思わず耳を塞ぎ耐えようとするが、クリーチャーはその隙を逃さないと鋭い鎌を振り下ろそうとした。

 次の瞬間、クリーチャーがゲートを破壊した衝撃か、はたまたドールから発した爆音の影響なのか天井から鉄骨が崩れ落ち、クリーチャーに串刺し……その鎌が少女達に振るう事なくクリーチャーは絶命してしまった。

 呆気ないおわりに二人は呆然としたまま立ち止まった。

 思わずアルカは


「何なのよ・・・この機械」

 

 と呟いた。



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