26 エピローグ
「いい加減にしなさいよ。なんなら本物の犬かなんか連れてこようか?毎回真っ裸な男と寝てる聖女様なんて聞いたことないわよ!」
私の様子を見にきてくれた殿下の前で、セスに怒られた。
そうか、精神的不安からくる不眠症の人に、おとなしめの動物を与えてみるというのは、治療法としてはいいかもしれない。でも、私は必要ない。
「いやよ。このままでいい。聖女の評判が下がれば御の字だわ。むしろ早くそうならないかな、神殿出ていけるし。」
殿下がニヤッとした。
「無理じゃないかな。イザドラがどんなに評判下げようとしても、街の人たちや難民達の崇拝の念は変わらないんと思うよ。ついでに言えば、騎士達もね。ハリソンの処刑に、皆参加してたよ。」
私は見にいかなかったが、一部元兵士たちでさえ参加していたと聞いた。あれに耐えられる元兵士が出てきたということは、彼らがかなり回復していることを意味しているんだろう。
「男性機能のことを考えてあげなさいよ。あんたは良くても、テオは困るんじゃないの?」
セスが指摘すると、テオが咳き込んだ。赤い顔をしながら、ぶんぶんと首を横に振っている。
でも最近のテオは、先に起きると毛布を独占してる。自分の体を毛布でぐるぐる巻きにしてた。毛布をとられて寒いから、文句を言ってテオにくっ付いていたら、翌日せっせと余分の毛布を運びこまれた。
残念でした。狼になって、一緒に寝る任務からは外してやらない。
テオが言ってた独り言をちゃんと聞いてたよ。
手をランプの光にかざしながら、
「いつの日か、この手がイザドラを傷つけるためにあるんじゃなくて、守るためにあるってこと、わかって欲しいんすよ。」
ってね。
うん。私の心がそれを確信するまで、狼くん、添い寝よろしくね。




