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勇者様と言うなかれ  作者: 大島周防
聖女様編
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22

セスにジェイミーの殺害もハリソンがやった可能性が高いという話をしたら、


「え??今頃そんなこと言ってるの?仮にも訓練受けた騎士なんだから、ヒョロい難民の男に襲われて殺されるわけないじゃない。弓部隊はハリソン犯人説に落ち着いてるわよ。」


と、言われた。元々疑われているところに、カマルがクリストフから、ハリソンが死体をテントに放り込んだという話を聞き込んできた、という火種を放り込むそうだ。ハリソンが犯人かもという話は煙のように広がるだろう。


「カマル、わかってるわよね。オスロフ隊長とかの上部に最初から訴えるんじゃないわよ。法的にどうこうしたいわけじゃないんだから。あくまで、噂として難民達と担当の騎士達に漏らせばいいの。」


頷きながら、カマルは嬉しそうだ。ハリソンに一矢報いることができると思っているのだろう。カマルの安全を十二分に気をつけるように言ったら、


「クリストフとやらは?」


と、反対に指摘された。


「クリストフは街の毛織物屋さんの奥さんのところに匿う。奥さん元兵士たちの扱いに慣れてるし、あそこには、ハリソン絶対近づかないから。」


今まで三三奥さんの要求を避けてきたんだ。大丈夫だろう。



セスとカマルが砦に戻って、一週間も立たないうちに、ハリソンが追い詰められているという連絡がセスから入った。セスの手紙によると、噂を信じる騎士達が、一斉にハリソンを無視し始め、砦内に移動してきた難民の女性の周りを、自主的に警備しているそうだ。それなのに、テントの辺りをウロウロしているところを見つかって、ハリソンは、この寒いのに、水をぶっかけられたらしい。噂に信憑性が加算されたわけだ。


すでに隊長の耳にもハリソンの悪口は伝わっていて、オスロフから砦を出ていくように通達が出るのも時間の問題らしい。


ふっ、ふっ。


神殿に泣きつくわけにもいくまい。砦を追い出される理由を問われるだろうし、下手をするとオスロフから神殿に抗議の手紙がいくかもしれない。


絶対にこの神殿に戻ってくるだろう。そうしたら、<何も知らない>私が、ハリソンを頼って、隙を見せれば良いのだ。何も知らない<私>が作業場で、夜遅く、作業をしていると、ハリソンに襲われる、と言う算段だ。


神殿も民の信頼を失墜させた上に『聖女』を辱めたハリソンの庇い立ては絶対にしない。


その時の私は、ハリソンが砦を追い出されて、神殿に来るとばかり思っていた。まさか、そのまま、神殿に忍び込んでくるとは思いもよらなかったのだ。そこまで腐っているとはね。人一人殺した、その後はなんと簡単に次の獲物を襲えることか。ハリソンにはなんの躊躇もなかったのだ。


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