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勇者様と言うなかれ  作者: 大島周防
勇者様編
15/91

15

「どうしてよ!この任務中に決めたいんだから協力してよ!他に誰を選べっていうのよ!」


そうイザドラが叫んだ途端、殿下とアプレイウス師、そしてテオまでが、後ろにのけぞった。私は幾ら何でも・・・


セスが、吐き出すように言った。


「うるさいわね。なんのためにこんなにはっきりゲイだって言ってると思うのよ?女はいらないの!別に女性らしい言葉を使わなきゃいけないわけじゃないのよ。そのせいでどんだけつまはじきにされてると思う?こんだけやるのは、はっきり、男性が相手だとわかってもらうためよ!」


殿下とアプレイウス師、テオがさらにのけぞった。私は・・・まあ・・・


イザドラはめげなかった。


「いいじゃない、1回ぐらい。鼻つまんで水中に潜るようなもんよ!息止めてちゃっ、ちゃっと・・・」


私は思いっきり手近にあったものをイザドラに投げつけた。


ボコッ!見事に命中したのが、ただの上着でよかった。セスが、


「い や よ。」


と、きっちり明確に発音しながら断った。


「ようやく相手が見つかったんだから、やめてよ。どんだけ大変だったと思うのよ。初めての両思いなのよ。」


「「誰と?」」


驚いてイザドラと声が合ってしまった。


幸せそうに恥じらいながら、セスが、


「モーガンよ。モーガン・バスケス。」


頬を赤らめた大男などあまり絵にならんのだが。私の経験から語らせてもらおう。まあ、当人が幸せならよいか。だが、殿下がためらいながら口をはさんだ。


「あの、バスケスなら、イエーツ家に婿入りするよ。」


いかに穏便に話をするかに気をとられているのか、吃音も出てこない。


セスがジロッと殿下を睨む。


「そんな話があるのは知ってるわよ。モーガンは三男坊だし、いい男だから、イエーツのところの一人娘がちょっとポーッとしてるのよ。殿下、誰から聞いたの?」


殿下がさらにためらいながら、


「い、イエーツ伯爵が、この任務に、せ、セスを任命し、しろって。その間に話をまとめるからって、へ、陛下に。もう、仲良くなってるから、後に引けないって。」


そこまで言って、殿下は急いで目を瞑った。セスは怒りのあまり立ち上がったが、さすがに殿下に対して怒鳴ることはない。


何か言いそうに口を開けたイザドラを目で制すると、私も立ち上がる。


「セス。早めに任務を終了して、戻れば良いことだ。君が弓の名手であることは明らかだし、魔女を倒して、その功績をもって周りを納得させればよい。」


納得してくれるかどうかは別だが。だが手ぶらで戻れば、セスとその恋人やらとの将来は完全になくなるだろう。


イザドラはさておき、各自やらなくてはならないことが、それぞれの立場であるのだということははっきりした。


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