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君との音声記録(レコード)  作者: 滝祥 凛
5/5

電車に揺られながら。

すみません。投稿遅れました。ま、俺の作品誰も見てないけど(自虐)

外の景色はせわしなく変わっている。さっきまで近くにあった大きなビルやタワーはもう米粒ほどの大きさに見える程に。


電車に乗っても俺と麗奈れいなは一緒だった。そりゃ降りる駅が一緒なら当然同じ電車に乗るのだが、誰かと一緒に家に帰るなどそれこそ何年も記憶にない。確かに俺は騒がしいよりは静かな方が好きだが、それでも好きな静かさと嫌いな静かさと言うものがあるわけで、今はまさにその嫌いな静かさなのだ。何か喋らなきゃ行けないような気もするし、かと言って会話を始めても長く続く気がしない。なので俺は無言を貫くことにした。そうと決めてしまえば心も少しは楽になるもので、スマホを片手に最近のニュースやらを調べようとした。


「ちょっと咲斗、この私といるのにスマホを触るなんて頭おかしいんじゃないかしら?馬鹿なの?死ぬの?」


麗奈は言うと俺のスマホを取り上げた。何も話さないならスマホぐらい良いじゃねーかよ。とは言わなかったものの麗奈にそう言われると少しムカッとする。


「悪かったよ、でも他にやることも無いだろ?」


そう言いながら麗奈からスマホを取り返した。


「本当に馬鹿ね、この私を間近で見れるのよ?それ以外に何か必要?」


こいつ、本気で言っているのだろうか?この俺でもさすがにそれは引くぞ?


「はいはい、それは申し訳ございませんでしたー。」


適当に返事をしもう一度スマホの電源を入れ直す。


「分かればいいのよ。って!言ったそばからスマホ触らないでもらえるかしら!」


おー、ナイス!ツッコミ!麗奈にもこんな一面があるとは少し驚いた。学校では大人っぽく振舞ってるのかな?そんなことを思いながらスマホをカバンにしまう。さすがに何度も言われちゃスマホをイジる気も失せる。すると会話が途切れまた直ぐに沈黙が訪れた。やっぱり気まずい。


「よし!分かった!麗奈、何か趣味とかないか?」

「いきなり何よ?」

「いいからいいから」


麗奈は目を細めて俺を見てくる。別に他意たいはない。ただ今日の学校での件もあるので少しは周りの人と仲良くなってもらわないと何が起こるか分からない。まーその、何?顔見知りがイジメられるのも夢見が悪いからさ、いや俺はツンデレか!おー、麗奈に負けないツッコミだったぜ!

だが何故か俺はこの時、本気で麗奈だけはイジメられないようにしたい。という思いが心のどこかにあった。


「そうね少し言いづらいのだけれど、やっぱり他人の不幸を見ることかしら?」


まじか、こいつ、それは普通に引くぞ、てか少し言いづらいってレベルじゃねーだろ。俺はしばらく固まっていた。


「咲斗?」


麗奈が俺に呼びかける。


「咲斗?...さーくーとー?」

「あっ、あー悪い、それでなんの話だっけ?麗奈の性格が悪いって話だっけ?」


麗奈の呼びかけに俺はちゃんと答えられなかった。少し脳にダメージがあったようだ。あー俺のさっきの気遣いは何だったのだろうか。こいつはイジメられる側じゃなくて完全にイジメる側だわ。


「違うわよ、趣味の話でしょ、というか誰の性格が悪いですって?」


そう言いながら麗奈はニッコリ笑う。何故だろう麗奈は笑顔が似合うはずなのに今の笑顔は背筋が凍るほど怖かった。


「間もなく×××駅ー×××駅ーお出口は左側です。○○線△△△線のお客様はお乗り換えです。」

「っと、もう着くか」

「そう見たいね」


話していると時間の流れは早く感じられた。少し前まではいつまでも続きそうな沈黙だったのに。


―プシュー―


扉が開き次々と人が降りて行く。このまま流れに乗って降りるかーなんて思っていた矢先。油断した。


「あっ!」


麗奈が誰かの荷物に足を引っ掛けてしまう。ヤバい!危ない!


「麗奈!」


とっさに手を引く。それとほぼ同時に

”ゴン!”


「っ痛ー、」

「だっ大丈夫!?」


俺は駅のホームに仰向けで倒れていた。麗奈を上に抱いたまま。

どうやら勢いよく手を引っ張ったため外へ飛び出てしまったらしい。


「あ、あー俺は大丈夫。麗奈は?」

「ふぅ、良かったぁ。私は咲斗がいたから平気。その、ありがとう(照れ)」


麗奈が耳と頬を赤らめながら言う。くそ、可愛いと思っちまった。


「お、おう(照れ)そ、それより何ともないなら早くどいてくれないか、その周りが.......。」

「.......っ!」


麗奈は1度周りを見渡しその後に勢い良く立ち上がった。


「そ、その私は別に気にしてないから。」

「いや、お前が気にしてなくても俺が気にするんだよ。」


俺と麗奈はそう言いながら足早に改札へと向かった。やっぱり麗奈も周りの目を気にしているようだ。


「これで2度目だね」


麗奈がそう言う。


「ん?何がだ?」

「なんでもないわよ、それより早く家まで送ってちょうだい。」

「へいへい」


何が2度目なのかは気になるが、まぁ今は良いだろう。てか、さっきは大丈夫って言ったけどめっちゃ腰いてー。


改札を出た後も俺たちは2人並んで歩いた。夕日の中を無言のまま。

ん?俺は本当に麗奈を家まで送らないと行けないのか?

これからも頑張ります!

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